「OPPO Pad Neo」は、11.4型のAndroidタブレットだ。白銀比に当たる7:5というめずらしいアスペクト比を採用しており、電子書籍のページを余白なく表示できることが大きな特徴だ。
Androidタブレットの多くは、16:9や16:10というアスペクト比(縦横比)を採用している。このアスペクト比は動画表示でのフィット感は高いが、電子書籍を表示すると画面左右に大きな余白ができてしまう。アスペクト比4:3が多くを占めるiPadシリーズと比較して、没入感を削ぐこの仕様はどうしてもネックになる。
本製品はAndroidタブレットとしては非常にめずらしく、7:5という白銀比のアスペクト比を採用している。16:10よりも天地に余裕があるほか、電子書籍を表示した場合も左右の余白が少なくて済み、その分ページを大きく表示できる。電子書籍利用には極めて向いた製品だ。
今回はメーカーから借用した本製品を、既存のAndroidタブレットや、Apple「iPad(第10世代)」などと比較しつつレビューする。
まずはざっとスペックをチェックする。ここでは本製品と同じくAndroidを採用し、アスペクト比が16:10のGoogle製タブレット「Pixel Tablet」と比較する。
本製品はSoCにMediaTek Helio G99を採用しており、ミドルクラスのタブレットの中でもエントリー寄りに近い製品だ。ここで比較しているPixel Tabletはミドルクラスの中でもハイエンド寄りなので、同じ11型前後のAndroidタブレットでありながら性能差は少なからずある。具体的な性能は後ほどベンチマークの項で見ていく。
アスペクト比以外で両者の違いを見ていくと、本製品は4万円台という実売価格を実現するために、妥協したとみられる点がちらほら見られる。具体的には顔認証にしか対応せず指紋認証は対応しないことや、重量が500gオーバーとやや重めであることがそれだ。
その一方で、解像度は2.4K(2,408×1,720ドット)をサポートするほか、リフレッシュレートは最大90Hzまで対応、さらにバッテリ容量が8,000mAhと多いなど、この価格帯の製品としてはかなり健闘している点も目立つ。Pixel Tabletが非対応のメモリカード(microSD)を最大1TBまでサポートするのも強みだ。
比較対象のPixel Tabletは、電源ボタン一体型の指紋認証センサーを備えるなど、ハードウェア面でのプラスアルファがあるほか、専用のスピーカースタンドをラインナップするなどの独自性もあるが、OPPO Pad Neoはそうした際立った特徴はない。全体としては、アスペクト比がやや特殊なことを除けば、普通のAndroidタブレットと言って差し支えない。
以上のように、アスペクト比を除けばそれほど突出した特徴はないが、こと電子書籍ユースでは、そのアスペクト比だけで「買い」と言える製品に仕上がっている。同じく余白ができにくいiPad(第10世代)を候補から除外している場合は、購入候補の筆頭に来る存在だろう。
また実売価格も4万円台と、コストパフォーマンスも優秀だ。スペックがエントリー寄りなのは気になるところだが、電子書籍ユースであれば大きな問題はなく、またワンランク高いスペックを求めるのであれば、実売6万円台で同じくアスペクト比7:5の上位モデル「OPPO Pad 2」を選ぶ手もある。
いずれにせよ、電子書籍ユースで使う場合は非常に魅力的な製品であり、またエントリーモデルのiPad(第10世代)が6万円前後、Pixel Tabletもほぼ同等の価格帯であることを考えれば、お買い得感は高い。本製品が一定の評価を得ることで、Androidタブレットにも同等のアスペクト比を持つ製品が増えてくるのを期待したいところだ。