TISインテックグループのTISI株式会社は2026年11月6日、スマートフォンなどのカメラ映像から心拍数などのバイタルデータを非接触で測定できるAI技術を持つ台湾のFaceHeart Inc.(以下、FaceHeart)に出資したと発表した。今回の出資を通じて、TISIは予防医療や日常的な健康管理における新たなサービス創出を目指す。

医療DXの加速と非接触センシングへの需要

2026年現在の日本社会では、高齢化の進展による医療費の増加や、医療・介護現場での深刻な人手不足が大きな課題となっている。これらを背景に、ITを活用して個人の健康データを管理するPHR(Personal Health Record:個人の健康・医療情報のデジタル記録)や、病気になる前に防ぐ予防医療の重要性がかつてないほど高まっている。ITサービス業界では、NECが2026年8月に「長期予測AI」を発表し、富士通がヘルスケア特化型のAIエージェント基盤を構築するなど、大手各社がAIを用いた医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に注力している。特に、ウェアラブル端末を装着せずに日常的な健康状態を把握できる非接触センシング技術は、利用者の負担を軽減する次世代の健康管理手法として注目を集めている。

rPPG技術を活用した非接触バイタル測定の全貌

FaceHeartが提供する「FaceHeart Vitals™」は、rPPG(remote photoplethysmography:非接触型光電容積脈波計測法)という技術を活用している。これは、カメラで撮影した顔の映像から皮膚表面の微細な色の変化を解析し、心拍数や呼吸数などのバイタルデータを測定するAI技術だ。同社のソリューションは、心拍数および呼吸数の測定において米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の510(k)クリアランス(医療機器としての市販前届出)を取得しており、その精度の高さが証明されている。また、SDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)形式で提供されるため、既存のスマートフォンアプリや企業の業務システム、各種デバイスへの組み込みが容易である点も特長だ。専用のセンサーやウェアラブル機器を必要としないため、医療機関や高齢者施設だけでなく、オフィスや家庭など幅広いシーンでの活用が期待されている。

オフィスでの実証実験と今後の事業展開

TISIは今回の出資に伴い、FaceHeartとの連携を強化し、日本市場での事業展開を支援する。その第一弾として、2026年11月6日よりTISIの本社および豊洲オフィスにおいて活用検証を開始した。検証では、FaceHeartが開発し「CES 2025 Innovation Awards」を受賞したAI搭載スマートミラー「CardioMirror」を設置する。来訪者や社員が鏡の前に立つだけで心拍数や血圧などを測定できる環境を構築し、技術の紹介とともに社員の健康意識向上を図る。今後は、TISIが持つ4,500社以上の顧客基盤やシステム開発力と、FaceHeartのAI技術を組み合わせ、健康経営を推進する企業や介護施設、自治体向けのヘルスケアサービスなど、多角的な協業を検討していく方針だ。

出典:TISプレスリリース(PR TIMES)

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タグ: AI, 海外展開, 資本提携

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