妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

厚生労働省が公表した「労働安全衛生調査」によると、現在の仕事や職業生活に関して「強い不安、悩み、ストレスを感じる」と回答した労働者の割合は67.5%(前年調査では68.3%)にのぼり、高水準で推移している。

「その主なストレス要因としては仕事の量や仕事の失敗・責任が上位に挙がるほか、対人関係・ハラスメント等を挙げる割合も32.9%と大幅に増加しており、職場の人間関係やコミュニケーション不全が深刻な課題となっているのは数字からも明らかです」

そう語るのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。

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「特に昨今、危惧されているのが世代間によって異なる『当たり前の違い』です。今の管理職世代が若手の頃は、先輩の言うことは絶対的なムードがありましたが、今それをやればパワハラ確定。上司世代が『これくらい言わなくても察して動くだろう』と省略した部分を、若手世代は『指示されていないからやる必要がない』と合理的に解釈してしまうという話もよく耳にします」

都内の広告代理店に務める高橋健一さん(仮名・44歳)も、今年配属されてきた新入社員の部下(23歳)・Aくんの行動に、頭を抱えている一人だ。

「一見、人当たりのいい子なんです。ただ、とにかく『指示されたこと以外は1ミリも動かない』というか、応用がまったく効かない。または応用を効かせすぎてしまう…」

事件が起きたのは、ある日の午前中のことだった。

「午後に会う予定になっていたクライアントとあるお菓子について談義する必要があったため、部下のAくんにお使いを頼みました。会社と目と鼻の先にあるコンビニで、指定した特定ブランドのチョコレートと、それ以外の会社が販売しているチョコレートをふたつずつ買ってくるように伝えたんです」

どんなに混雑していたとしても15分ほどで帰ってくると思っていた健一さん。

「ところが待てど暮らせど、帰ってこない。事故にでも遭ったのかとだんだん心配になり、スマホに何度も電話をかけたんですがそれにも出ない。LINEを送ると既読にはなるものの、返信はなし。おかしいな〜と待ち続けましたが、ランチ時間に突入。もしこのまま帰ってこなければ、午後の会議には間に合わないので、結局自分で買い求めて戻りました」

しかし、Aくんはまだ戻ってきていなかったという。

「これはいよいよヤバいかもしれない…と思っているとLINEが入りました」

ーーコレから戻ります。

「悪気はまるでなさそうな文章に正直ドン引き。とは言え、クライアントとの会議が待っていたのでバタバタしていると、会議直前になってAくんが戻ってきたんです」

ーー2時間もどこ行ってたの?

ーーああ、チョコ探してましたぁ。

「そしてそこに広げられたのは、僕が指定したものとはまるで違うチョコレートの数々。もうなんと言ったらいいのか…。2時間かけてなんでコレなの?と思ったのは言うまでもありません。しかし、理由を聞いている時間の余裕はなく、そのまま会議に突入。会議中、ずっとモヤモヤしてましたよ」

なんとかクライアントとの話も終わり、Aくんに事の顛末を聞くことになった健一さん。

「悪びれる様子もなく、2時間の不在、指定されたチョコレートじゃないものを買ってきた理由を語る姿にもう、なんというか返す言葉もありませんでした。1から100まで全て言わなきゃダメなんだなと改めて思いましたね。Aくんが語った『とんでもない理由』の数々を受けて、皆さんならどう指導するか聞いてみたい」と、健一さんは語った。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】矢口頼子 PHOTO:Getty Images 【参考】厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」

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