勃起不全が先か?早漏が先か? 男性性機能障害は双方向性か一方向性かの謎を探る

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 勃起不全(ED)と早漏は併存することが多いが、EDが重症化するほど早漏を併存しやすくなるのか、逆に早漏が重症化するとEDが増えるのか、両者の関連の方向性は明らかでない。中国・The First Affiliated Hospital of Gannan Medical UniversityのYong Ouyang氏らは、EDおよび/または早漏を有する男性230例を対象に、両者の併存パターンと重症度との関連を検討。 特に軽度から中等度EDへの進行と早漏併存リスクとの関係に着目した結果 を、Front Public Health( 2026;14:1956425 )に発表した。(関連記事「 早漏は世界の2割の男性を悩ませる『疾患』 」)

EDに関連する病態が射精に影響する可能性

 EDと早漏は、世界の成人男性で最も一般的な性機能障害である。いずれも患者の性的満足度を低下させ、メンタルヘルス、自信、パートナーとの関係に悪影響を及ぼす。

 EDの有病率は加齢とともに上昇し、20~29歳の約20.1%に対し60~69歳では約70%まで急増する。病因は複雑で慢性疾患、喫煙などの不健康な生活習慣、うつ病や不安などの心理・精神医学的問題を含む複数の危険因子が関与する。早漏は発症時期に基づき、初回の性交時から認められる生涯型と後天性に分類される。早漏の世界的な有病率は5~30%で、アジア太平洋地域ではより高く16~30%との報告もある。

 EDと早漏の併存は広く認識されているものの、関連の方向性については議論がある。両者には双方向性の関連があり早漏もED発症リスクを高めることを示唆する報告があるが、病態生理学的観点からは、EDに関連する血管内皮機能障害や慢性炎症、不安により生じる代償性の行動変化が、射精コントロールに対してより直接的な影響を及ぼす可能性もある。また実臨床ではED患者が早漏の併存を自己申告する割合が低く、EDから早漏へと進展する経路が十分に認識されていない可能性がある。

 今回の対象は、2023年1月~24年12月にThe First Affiliated Hospital of Gannan Medical Universityの生殖医療科外来を受診した22~45歳の男性230例。EDは国際勃起機能スコア短縮版(IIEF-5)21点以下、早漏は国際性機能学会(ISSM)の基準に基づき症状が3カ月以上持続し、過去4週間以内に1回以上の性交試行がある場合と定義した。

ED重症化に伴い早漏併存率は上昇傾向だが、中等度以上は頭打ち

 対象の内訳は、早漏単独が120例(52.2%)、ED単独が72例(31.3%)、両者の併存が38例(16.5%)だった( 図-左 )。早漏単独例がED単独例より有意に多く、併存分布には非対称性が認められた(P=0.0007)。

 EDの重症度別に早漏併存率を見ると、軽度EDの22.2%(45例中10例)に対し、 中等度EDでは42.9%(35例中15例)に上昇 。ただし重度EDでは43.3%(30例中13例)と、中等度以降はほぼ横ばいだった( 図-右 )。EDの重症化に伴う早漏併存率には有意な上昇傾向が認められた (P=0.021)。

図.症例分布(左)およびEDの重症度別に見た早漏の併存率(右)

勃起不全が先か?早漏が先か? 男性性機能障害は双方向性か一方向性かの謎を探る

(Front Public Health 2026;14:1956425を基に編集部作成)

 多項ロジスティック回帰分析では、 中等度EDと早漏併存との有意な関連 が示された〔オッズ比(OR)2.66、95%CI 1.42~4.98、P=0.002〕。しかし、中等度EDに対する重度EDでの関連のさらなる増強は認められず(同1.02、0.62~1.68、P=0.932)、 リスク上昇は主として軽度から中等度への重症化によるもの であった。

 年齢、BMI、婚姻状況を調整後も、中等度ED(OR 2.47、95%CI 1.30~4.69)、重度ED(同2.52、1.32~4.81)は、いずれも早漏併存との有意な関連を示した。

早漏→EDの逆方向の関連は認められず

 早漏の重症度別にEDとの関連を検討すると、 早漏の重症度とEDの有無との間に有意な関連はなかった (P=0.367)。

 Ouyang氏らは、EDと早漏の関連について「 EDは血管系、神経系、内分泌系などの調節異常を伴う基礎的な病態 であり、 早漏はそれにより誘発または増悪する表現型 である可能性がある」と考察。

 研究の限界として、同氏らは「横断研究であり因果関係や時間的前後関係は明らかにできず、重度ED群が30例と少ないことも踏まえ、仮説生成的な知見と位置付けるべきだ」と断った上で、「ED単独より早漏単独が有意に多い非対称性が示され、EDの重症度と早漏リスクとの間には一方向性の関連パターンがあることを明らかにした」と結論。「今回の結果は、“両者が併存するか”という問題から “どのように、なぜ関連するのか”という、より詳細な機序解明および臨床診療に向けた新たな出発点となるものだ」と付言している。(編集部・関根雄人)

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