妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

少子化に伴い国内の年間出生数が減少を続ける一方、35歳以上の高齢出産や40代での妊娠割合は過去最高水準を推移している。

「医療技術の発達によって高齢妊娠へのハードルが下がりつつある反面、高年齢での妊娠には母体へのリスクや、出産後の育児負担が重くのしかかる現実があります。さらに経済的な問題も大きく関わってきます」

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そう指摘するのは、トラブルやリスク管理に詳しい危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。

「特に予期せぬ妊娠の場合、パートナーとの合意形成やサポート体制が不十分なまま決断を迫られるケースが少なくありません。『産む・産まない』の選択は個人の自由ですが、現実的なリスクを見誤ると、出産後に当事者だけでなく子ども自身も過酷な環境に置かれる危険性を孕んでいます」

都内のデザイン事務所で働く山本花さん(仮名・43歳)も、まさかの事態によって人生の重大な選択を迫られた一人だ。

「離婚してから、前の夫との間に生まれた娘と二人で暮らしてきました。その娘が大学生になったことで、一気に『子育て卒業感』が増したんです。サークルやアルバイトで帰りが遅くなったり、友人の家に泊まってくることも増えて、一人で静かに過ごす夜が多くなりましたね」

肩の荷が下りた感覚だったという花さん。離婚したのは、娘がまだ小学生高学年の頃だった。

「決定的な不倫や事件があったわけではなく、徐々にすれ違いが起きた形でした。当時は今ほど共働きが当たり前ではなく、『母親が全部やって当然』という空気が強かったので、結局私がワンオペに疲れ切ってしまったんです。『なんで夫の面倒まで見なきゃいけないの?』と疑問を感じてしまって。元夫も仕事で忙しく、そんな私を煩わしく思ったのでしょう。財産分与なども揉めることなく円満離婚でした」

離婚後も、元夫との関係は良好だったという。

「養育費もしっかり支払ってくれていましたし、娘は月に1度は必ず元夫の家にお泊まりに行っていたので、顔を合わせる機会もありました。これまでは『父と母』としての適度な距離感で関係を築いていたんです」

しかし、娘の手が離れてお互いに寂しさを感じていたのだろう。変化が訪れる。

「40代を超えると、恋愛でも友人関係でも、新しい人間関係を一から築くのってすごく疲れるじゃないですか。どこか怖さもありますし。そんな思いもあったのか、元夫から飲みに誘われることが増えたんです。私も自然に受け入れていましたし、私たちが仲良く食事に行っていることを娘もすごく喜んでくれていました」

そしてある夜、ふとしたきっかけで一線を超えることになる。

「本当に久しぶりに関係を持ちました。元夫と別れてから一度も異性とお付き合いしていなかったので……なんていうか、こんな幸せな充足感を得られるんだと舞い上がってしまって。勢い余って避妊を怠ってしまったことは、本当に反省しています」

それから数ヶ月後、花さんは衝撃の事実を突きつけられる。

「40代になって疲れやすくなったり体調が優れない日が増えていて、『更年期かな』と思い込んで通院を先延ばしにしていたんです。でも、ちょうど婦人科の定期検診があって受診したところ、医師から『妊娠していますね。あ、双子ですよ』と言われて……もうパニック」

妊娠の相手は、元夫しか考えられない。

「伝えるにも恥ずかしさがありましたが、黙っているわけにもいかず打ち明けると、元夫も当然びっくりしていました。それから2人で何度も話し合いました。お互いの気持ちはもちろん、娘にも黙っているわけにはいかないので正直に話したのですが、その時の娘の意外な反応にも驚かされましたね」そう、花さんは当時の怒涛の日々を振り返った――。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】河本美乃里 PHOTO:Getty Images 【参考】厚生労働省|人口動態統計

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