妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

子どものプライバシー保護や盗撮防止の観点から、近年急増している施設やイベントでの「撮影禁止」の措置。

「トラブルを避けるために『原則禁止』や『ご遠慮ください』といった配慮を込めた表現に留める施設は多いですが、その優しさや言葉の余白を『完全な禁止ではない=自分はセーフ』と都合よく読み替えてしまう人が一定数存在すると耳にします」

そう指摘するのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。

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「直接『禁止』と言い切らない日本語ならではの『配慮した言い回し』が伝わらない。これは読解力の低下も関係しているのかもしれません。2022年に昭和大学医学部の研究グループが発表した論文では、スマートフォンなどの電子機器で読書をした場合、紙の本と比べて読解力のスコア(正答率)が低下することが科学的に報告されています。スマホ時代の弊害、なのでしょうか」

都内在住の主婦・小林美咲さん(仮名・36歳)。今夏、7歳になる娘と夫と訪れたプールでの出来事が忘れられないという。

「その施設では、水中および更衣室での撮影は禁止されていました。プールサイドでの撮影はOKとなっていましたが、他人への写り込みには十分注意するよう書かれていました。私はそもそも子どもの水着姿を撮影することへの怖さもありましたし、かなりの混雑でどうやっても写り込みを避けるのは難しそうだったため、スマホはしまったままにしていました」

しかし、周りを見渡すと多くの人がスマホを片手に写真を撮っていたという。

「『写り込んでいないだろうか』と少し心配になる角度でカメラを向けられることもあって、それだけでも違和感があったのですが…」

さらには、明確に禁止されているはずの「水中」で撮影している人まで見かけたそうだ。

「そもそもマナー違反ですし、水中の写真ってどこか不気味ですよね。見かけるたび、監視員の方が注意に走っていて『なんだか大変だな…』と思って見ていたんです」

するとちょうどすぐ隣で、監視員から注意を受ける人物が現れたという。

「子連れのファミリーで、なんと言いますか…少しガラの悪いヤンチャ系の人たちでした。見た目で判断してはいけないけれど、何より違和感を覚えたのは注意されたときの対応です」

――申し訳ありません、水中での撮影はご遠慮いただいております。

――えっ。『ご遠慮ください』って書いてあるだけじゃん? 撮影禁止とは書いてないし、ちょっとくらいイイじゃん。他の人は写ってないし、遠慮してるんだし、撮ってるならいいっしょ。他の人だってやってるじゃん。

「『遠慮しながら撮る』ってどういう意味?と頭が痛くなりました。結局、スタッフと揉めている間もその人たちが撮影をやめることはなくて。ルールを守って我が子の写真を諦めた人たちがバカを見るような『撮ったもん勝ち』の状況に、強いモヤモヤが残りました」

実は話にはまだ続きがある。

「この家族、ほかにも『ご遠慮ください』を『遠慮するならOK』と都合よく解釈していて…。さすがの態度に、監視員の方にそっと報告させてもらいました。こんなこと言いたくないけど、マナーを守れない人って外見にも出ますよね」

そう美咲さんはため息をついた。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏【聞き手・文・編集】河本美乃里 PHOTO:Getty Images【出典】昭和医科大学|昭和医科大学PRESSROOM

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