多くの人を魅了するスイーツの代表格となった「パフェ」。たっぷりのフルーツが盛られたものからパティシエの技が光るもの、常識を覆すお食事系ものなど多様化し、様々な見方や考察が出る中で、今回ufu.(ウフ。)は一つのグラスの上で“職人が彩るパフェ”というものに一度立ち返り、食べ手側の考察ではなく、作り手の「頭の中」を紐解く、そんなパフェ連載を考えました。美しいパフェをグラスから、スプーンから、一つ一つ紐解いていきます。
美しいパフェを毎月ナビゲートしてくれるのは、AKB48で活躍する小栗有以さん。3度に渡りセンターを務めるなど、AKB48のエースとして活躍中。最近は女優、モデル、バラエティでも幅広い活動をしており、週3サウナ•アサイーに温泉•美容•腸活で美容と健康を「#美ユイティフル」で発信。
人気アイドル×パフェ。そんな斬新な切り口で、パフェの面白さを一緒に掘り下げていきます。
第9回となる本連載で訪れたのは、西荻窪にある「金木犀茶屋」。パフェの名店も多く、パティスリーやベイクショップも次々と増えていく人気エリア。そんな金木犀茶屋が今回の舞台です。
中国茶から広がる、金木犀茶店の自由なパフェ
JR西荻窪駅から歩いて約6分。個性豊かな飲食店や小さなショップが点在する西荻窪の街に佇む「sweet olive 金木犀茶店」。
中国茶を軸に、季節のフルーツを使ったパフェやかき氷、スイーツなどを楽しめる小さなカフェです。現在の店舗は2024年8月に西荻北へ移転オープン。パフェを楽しむ場合は予約がおすすめで、公式サイトから席を予約することができます。
店を立ち上げたのは、中国出身の王康鵬さん。中国茶を楽しめる場所として始まった金木犀茶店ですが、やがてそのお茶の世界は、ここでしか味わえない独創的なパフェへと広がっていきました。
旬のフルーツに中国茶を合わせるだけではなく、スパイスやハーブ、野菜、時には塩味のある素材まで。「それと、それを合わせるの?」と思わず驚いてしまう組み合わせも、実際に口にすると不思議なほど自然につながっていくのが、金木犀茶店のパフェの面白さです。
これまでにも、鉄観音やライチ紅茶などのお茶をはじめ、カレーやとうもろこし、トマトといった、一見するとスイーツから遠く感じる素材までを一つのグラスへ。
そこにあるのは、奇をてらうための組み合わせではなく、それぞれの素材が持つ「香り」「甘味」「酸味」「苦味」「食感」を捉え直し、一杯のデザートとしてつなぎ合わせていくクリエイションです。
そんな金木犀茶店で今回、小栗有以さんが出会ったのが「翠玉の庭」。主役は、秋の訪れを感じさせるシャインマスカットとお茶です。そこへセロリや枝豆、レモングラスといった意外な素材も重なり、ひと口ごとに異なる表情を見せていきます。
「野菜がたくさん使われているのに、こんなにスイーツに合うなんてびっくり!」そう小栗さんを驚かせた一杯は、いったいどんな考えから組み立てられているのでしょうか。グラスの形からトップ、中間層、そして最後のひと口まで。その“頭の中”を紐解いていきます。
「グラス」:美しい層そのものを、パフェの“物語”に
まず注目したいのは、パフェを包み込むグラス。透明なグラス越しには、シャインマスカットをはじめ、ジュレ、アイス、クリームなどの異なるパーツが重なり合う様子がはっきりと見えます。金木犀茶店がグラス選びで大切にしているのは、この“層が見えること”。
王さん「シャインマスカットやジュレ、アイス、クリーム、それぞれの層がしっかりと見えるグラスを選んでいます。色や質感のコントラストを目でも楽しんでもらいながら、食べ進めていくことで一つのストーリーになると考えています」
パフェの口元が広く設計されていることにも理由があります。
スプーンを自由に動かすことができ、上から下へと掬いやすい。そして、一つひとつ丁寧に組み上げたパーツを必要以上に崩すことなく食べ進められること。
つまり、このグラスは美しく“見せる”ためだけのものではなく、美味しく“食べる”ための器でもあります。そしてグラスの形が変われば、当然パフェの姿も変わります。
王さん「グラスの形によってパフェの構造や断面も変えています」
器が先か、パフェが先か。パフェにとってグラスは、完成したデザートを盛り付けるためだけの存在ではなく、構成そのものを左右する“設計図”のひとつなのです。
「スプーン」:最後まで自然に食べられること
パフェを食べるために欠かすことのできないもう一つの道具が、スプーンです。
金木犀茶店では、スプーンそのものに特別な仕掛けを施しているわけではありません。その代わり大切にしているのが、「使いやすさ」。
持ったときの感覚や素材の耐久性など、食べ手に余計なストレスを感じさせないことを重視しているといいます。
個性的な素材が次々と現れるパフェだからこそ、食べるための道具はあくまで自然に。グラスとスプーン。目立たない二つの存在もまた、一杯のパフェを最後まで心地よく味わうための大切な要素です。
「トップ」:緑と白で描く、“清涼感”から始まる一杯
「翠玉の庭」という美しい名前を持つ今回のパフェ。その第一印象を決めるトップには、金木犀茶店が考える季節が凝縮されています。
王さん「意識したのは清涼感です。緑と白を基調とした色彩でまとめることで、まだ暑さの残る季節の瑞々しさと、その先に訪れる秋の気配を表現しています。
そして、見た目以上に大切なのが“最初のひと口”。一口目から、なめらかさとジューシーさを感じてもらえるように考えています。」
驚くほどトップはシンプル。しかし、そこにも理由があります。
王さん「上にさまざまな装飾を重ねるのではなく、あえて抑えることで、透明なグラスの向こうに広がる美しい層を引き立たせる。派手に飾ることだけがパフェの美しさではないと思っています。」
これから始まる“グラスの中の旅”を予感させるような、余白のあるトップの表現は金木犀茶屋の世界観を表していると感じました。
「中間層」:違うからこそ、美味しい。温度、食感、味、香りをつなぐ
そして、金木犀茶店のパフェの面白さを最も感じられるのが、スプーンを進めた先に待っている中間層です。
王さん「パフェを組み立てるうえで、一番大切にしているのは“最初のひと口の印象”です。そこから先は、同じ美味しさを繰り返すのではなく、次々と違う感覚が現れていくように設計しています。
温度なら冷たいものと常温のもの。食感なら、ふわっとしたものからクリスピーなもの、ゼリーのようなもの。味なら甘味や酸味、時には塩味のアクセント。そして香り。必ず異なる要素を組み合わせて、単調にならないようにしています。
“それぞれが違いながらも、どこかでつながっていること”」
そこに金木犀茶店のパフェらしさが。今回の「翠玉の庭」も、シャインマスカットとお茶という軸がありながら、そこにレモングラスやセロリ、枝豆などが加わります。
ひとつだけを取り出せば「本当にパフェに合うの?」と思ってしまうような素材も、香り、温度、食感という別の要素を介することで、ひとつのグラスの中で自然につながっていく。
“珍しい食材を使うこと”が目的なのではなく、それぞれの素材の新しい一面を見つける。そんな組み立てが、この一杯には隠されています。
「ボトム」:“終わらせる”か、“余韻を残す”か
華やかなトップから始まり、さまざまな味や食感に出会いながら進んでいくパフェ。では、最後のひと口にはどんな役割を持たせているのでしょうか。
金木犀茶店では、ボトムに毎回同じ答えを用意しているわけではありません。
王さん「味をきれいに閉じたい場合は、パンナコッタのようなまろやかで柔らかなものを置きます。一方、余韻を残したい場合は、逆に酸味や苦味を置いて口の中をリセットします。
まろやかに着地させるのか。それとも、最後に少しだけ酸味や苦味を残すのか。
目指しているのは、“食べ終わった”という感覚だけではありません。次の一口が欲しくなる、もしくは『また食べたい』と思ってもらえるラストにしたいです。
パフェの底は、物語の終着点。でも同時に、次に食べるパフェへとつながっていく場所なのかもしれません。
小栗有以さん試食後コメント
「野菜がたくさん使われているのに、こんなにスイーツに合うなんてびっくりしました! 初めて食べる味がいっぱい。レモンとオリーブの組み合わせや、セロリのアイスも珍しくて、身体に良いものを食べている感じがするのも嬉しいです。罪悪感が全然ないので、みんなにも食べてほしい!」
Profile
小栗有以
2014年にAKB48 Team 8の東京都代表として加入。2018年「Teacher Teacher」で初のセンターに抜擢され、2025年8月発売のAKB48 20周年記念66thシングル「Oh my pumpkin!」でセンターを務めるなど、AKB48のエースとして活躍中。女優、モデル、バラエティなど幅広いフィールドで活動している。
About Shop
sweet olive 金木犀茶店
東京都杉並区西荻北2-9-15
営業時間:12:00~16:00(土曜日11:00~)
定休日:日、月、火
Instagram:@sweetolive_nishiogi
Photo/郇澤和之(まきうらオフィス) スタイリスト/大友洸介 ヘアメイク/夢月(スリーピース)
![ufu. [ウフ。]](https://www.wacoca.com/life/wp-content/uploads/2022/11/ufu-sweets.jpg)

WACOCA: People, Life, Style.