顧客離れが続く米ベライゾンが、AIを新たな成長の柱に据える。Google Cloudとの提携を通じ、顧客対応やネットワーク、マーケティングなど幅広い領域でAI活用を進め、通信事業の収益力向上を目指す。
ベライゾンは、2024年と2025年に顧客の純減を記録したことを受け、顧客体験の向上と顧客維持を強化する戦略の一環として、AIの活用に注力している。
同社の最新の決算報告によると、顧客離れが続いたにもかかわらず、2026年第2四半期のモバイルおよびブロードバンドサービスの売上高は約234億ドルに達し、前年同期比で2.8%増加した。
通信の「稼ぐ力」に限界 ベライゾンが見出した活路とは
PwCが7月に発表した調査では、通信事業者は他のテクノロジー企業と同様の課題に直面していることが指摘されている。データトラフィックは増加を続けており、通信ネットワークには継続的な投資が必要となっている。一方で、従来型の通信事業から得られる収益の伸びは、こうした投資負担の増加に追い付いていない。
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ベライゾンの最高財務責任者(CFO)であるトニー・スキアダス氏は、第2四半期決算説明会で、同社がAIインフラへの積極的な投資を進めていると説明した。その中には、インターネットを支える数十年来の基盤技術である光ファイバー網の大規模な展開も含まれる。この光ファイバー網は、ハイパースケーラーがコンピューティングリソースを相互接続する上でも重要な役割を果たしている。
スキアダス氏は、AIインフラがベライゾンにとって新たな長期的収益源となる可能性があり、今後数年間でこの分野の収益が拡大すると見込んでいると述べた。
また、CEOのダン・シュルマン氏は決算説明会で、「米国全土で進められるAIインフラの構築は、私たちの生涯で最大規模の資本投資サイクルの一つになるだろう。ベライゾンは、その成長機会を取り込む上で他社にはない強みを持っている」と語った。
今回、締結された契約によって強化された取り組みは、ベライゾンが2025年から進めてきたAIおよび顧客体験への投資をさらに発展させるものだ(注1)。2025年の取り組みでは、店舗スタッフ向けのモバイルアシスタントや、コールセンターでの通話ルーティングツールなどへのAI導入が進められていた(注2)。
今回の提携では、ベライゾンがGoogle Cloudのエンタープライズ向け機能を活用し、AI導入を複数の領域で進める。
まず、同社はGoogleのGeminiが持つ対話型・マルチモーダルAI機能を、顧客向けの「AIファースト」なツール群の基盤として活用する。これには、顧客から寄せられる電話やチャットの大半を自動で処理する「自動解決」プラットフォームの機能強化も含まれる。
両社によると、今回の提携は、顧客に影響が及ぶ前にネットワーク上の異常を予測し、自動的に解決する「自律型ネットワーク・インテリジェンス」基盤の構築にもつながるという。
さらに、Google Cloudのデータ関連技術を活用することで、ベライゾンはクラウドセキュリティや脅威検知の強化を図るほか、コンテンツ制作やマーケティングキャンペーンの自動化を通じてマーケティング基盤の刷新も進める。これにより、顧客とのエンゲージメントを高め、顧客維持率の向上につなげる狙いだ。
最後に、Googleの「Agentic Data Cloud」は、ベライゾンが社内に分散するデータを統合し、AIエージェントを構築・展開するための基盤として活用される。ベライゾンの従業員はGemini EnterpriseのAIエージェントを利用することで、業務の生産性を高めるとともに、同社の中核的な事業機能の運営モデルを改善していく方針だ。
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