妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
子どものいない共働き夫婦「DINKs(ディンクス:Double Income No Kids)」。お互いのキャリアや自由な時間を尊重し、あえて子どもを持たない選択をするカップルは近年珍しくなくなった。
「現実問題、物価が上がり続けるこの国で子どもを育てていくことを考えられないと思う人も多いのではないでしょうか。しかし、その瞬間は『子どもはいらない』と決めても価値観が揺らぐことはあります」
そう話すのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。
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「いくら約束をしていたとて、『やっぱり子どもが欲しい』と思う気持ちは止められるものではありません。ここで問題になるのは、男女の違いです。男性側は年齢を重ねても再婚等で子どもを持てる可能性がある一方、女性側には生物学的なタイムリミットが存在します。日本産婦人科医会の資料等によれば、女性の妊娠しやすさは32歳頃から徐々に下降し、卵子数の減少に伴い37歳を過ぎると急激に下降していくとされています。40代での出産・不妊治療には大きな身体的・精神的リスクが伴うため、軽々しい心変わりはパートナーを追い詰めることになりかねません」
都内のIT企業で働く高橋由香さん(仮名・44歳)も、夫の突然の「心変わり」によって人生の選択を根本から揺さぶられている一人だ。
「もともとは仕事仲間だった人と恋愛に至りました。私自身、子どもはいつかできたらいいなと思っていましたが、夫は強くDINKsを望んでいました。本人曰く『親との関係が良くなくて、自分が父になることを想像できない』と。確かにご両親との仲はとても悪く、特に父親とは絶縁に近い状況。彼の気持ちも理解ができたので了承しました」
お互いの収入を合わせて自由にお金を使い、旅行に行ったり趣味を楽しんだりする毎日に幸せも感じていたそう。
「子どもについては心変わりもするかもしれないと当初は思っていましたが、付き合いが長くなるにつれ、『これは変わらないな』とどこかで腹を括ったと思います。3年付き合って、『今回の人生は子どもなし。彼とだけ生きていこう』と決めて結婚をしました」
ところが、結婚2年目を迎えようとしていた去年。夫から信じられない発言が飛び出す。
「『本当に申し訳がないんだけど、離婚したい』と。青天の霹靂とはこのこと。夫婦仲は自分でいうのもなんですけど、とびきり良かったと思います。性行為もありましたし、休日は二人で映画や買い物に行ったり、家で料理をして昼から飲んだり……。それがなぜ?と。その理由を聞いた瞬間、私は膝から崩れ落ちました」
――ごめん。子どもやっぱり欲しい。やっぱ親になりたい。
「なんで今さら?と思いました。私は子ども欲しかったけど、夫に合わせて諦めたのに…。ただ、この時点で私は43歳だったので、まだ妊娠の可能性もゼロじゃない。それなのになぜいきなり離婚なのかと問い詰めたとき、彼から返ってきたのは『あり得ない真実』でした」
そう由香さんは肩を落とした。
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※本記事で使用している写真はイメージです。
【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏【聞き手・文・編集】河本美乃里 PHOTO:Getty Images【参考】公益社団法人 日本産婦人科医会|妊娠適齢年齢
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