花王は2026年8月17日、自社開発の需要予測モデルを活用し、製品の需要計画立案を支援するAIエージェント「Kao-MIKOMIL(みこみる)」を開発したと発表した。同システムを化粧品事業へ導入することで、2027年までに製品在庫を2024年比で約25%削減することを目指す。AIが計画の根拠を提示し、人間が最終判断を下す「協調型」の仕組みにより、需給計画の精度向上と業務効率化を同時に進める構えだ。

複雑化する市場環境とサプライチェーンの課題

2026年現在の化粧品業界では、消費者のニーズが細分化し、SNSを通じたトレンドの移り変わりが極めて速くなっている。これに伴い、製品のSKU(最小管理単位)が増大し、需要予測の難易度が飛躍的に高まった。競合他社も対策を急いでおり、資生堂はAIを活用した処方開発システム「VOYAGER(ヴォイジャー)」を本格稼働させるなど、研究開発から供給網までのデジタル化を加速させている。

花王はこれまで、全社データ活用基盤「Kao i-Lake」を構築し、事業や物流のデータを統合管理してきた。2026年4月には経済産業省から「DX銘柄2026」に選定されるなど、デジタル技術を経営の中核に据える姿勢を鮮明にしている。今回のAIエージェント開発は、こうしたデータ基盤を実業務の意思決定に直結させるための重要なステップとなる。

AIエージェント「Kao-MIKOMIL」の仕組みと役割

今回開発された「Kao-MIKOMIL」は、過去の販売実績に基づく客観的な予測値に、販促計画や販売チャネル、価格設定といった「施策情報」を反映させて需要計画案を作成する。最大の特徴は、AIが単に数値を出すだけでなく、その「判断根拠」を併せて提示する点にある。従来はデータサイエンティストと事業部門の担当者が膨大な時間をかけて類似商品の実績を分析していたが、AIエージェントの導入により、立案までのリードタイム(発注から納入までの期間)が大幅に短縮される。

運用面では、AIが提示した案を事業部門の担当者が確認し、最終的な実行計画を決定する。このプロセスにより、現場の知見とAIの高度な計算能力を融合させることが可能となった。まずは2026年7月より化粧品ブランド「KATE(ケイト)」で導入を開始しており、今後は他のブランドへも順次拡大していく計画だ。

サプライチェーン全体の効率化と今後の展望

花王は、このAIエージェントの活用を軸に、事業、生産、物流、販売をデータでつなぐ「戦略的S&OP(Sales & Operations Planning、販売・操業計画)」をさらに精緻化させる。在庫の適正化は、単なるコスト削減にとどまらず、欠品による機会損失の防止や、廃棄ロスの削減といったサステナビリティ(持続可能性)の観点からも重要視されている。

今後は、AIエージェントの活用を通じて蓄積される知見をフィードバックし、計画精度のさらなる向上を図る。サプライチェーン全体の効率を高めることで、ROIC(投下資本利益率)の向上につなげ、デジタル技術を武器にした経営判断の迅速化を加速させていく方針だ。

出典:花王プレスリリース(PR TIMES)

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タグ: AI, DX, その他

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