妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

医療技術の発達や女性の社会進出、ライフスタイルの多様化に伴い、高年齢出産の割合は年々増加している。厚生労働省の「人口動態統計」などを見ても、35歳以上の初産や、40代での出産は珍しいものではなくなった。

一方で、上の子どもたちと大きく年の離れた「年の差出産」においては、単に「新たな命の誕生」を喜ぶだけでは済まない現実的な課題が浮き彫りになることもある。

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「ヤングケアラー問題もその一つですよね。それ以外にも将来の介護の手伝いを誰がするのか、はたまた親が無計画に妊娠すること自体に嫌悪感を抱くケースも耳にすることがあります」

そう解説するのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。

「若い頃の子育てとは異なり、40代半ばでの出産は、子どもの教育費のピークと親の定年退職・老後資金の準備時期が完全に重なります。『授かったのだからなんとかなる』というライフプランなき楽観は、相当なお金の余裕がある場合を除いては難しいでしょうね」

都内で暮らす会社員の山口元子さん(仮名・44歳)は、同い年の夫との間に昨年、命を授かった。20年ぶりの妊娠だったという。

「24歳の時に双子を出産し、彼女たちがちょうど20歳になったタイミングでした。実際、夫婦で『なんとか子どもたちを大学に進学させられてよかったね』とホッとしていた時期でもあったんです」

元子さん夫婦は10年以上、セックスレスだったという。

「日本のご家庭には多いと聞きますが、もれなく我が家もそうでした。狭い家ですし、思春期の子どもがいるなかでそういう行為をするのは気が引けますからね。とはいえ、今後も一生夫と添い遂げるなら、私はスキンシップが欲しいと思っていたんです」

その思いを夫に正直に明かしたという。

「夫も同じように感じていたみたいで。『となれば話は早い!』と、2人で旅行に出かけるようになりました。そこで夫婦関係が再燃し、若い頃に戻ったかのように頻繁にするようになったんです」

しかし、妊娠するとはまるで思っていなかったそうだ。

「実は、私たちはこれまで避妊をしたことがありませんでした。双子ができて以来、数年間も避妊なしでできなかったから、すっかり油断していて……。その結果が44歳での妊娠でした」

問題はここからだったという。

「双子にこの事実を報告しました。もちろん驚いていましたね。まさか20歳違いのきょうだいが生まれるなんて思っていなかったでしょうから。ただ、話の流れで私たちが『うっかりできちゃった』と笑い混じりに話した瞬間、2人の表情がみるみる変わって……」

――きしょ……。お父さんもお母さんも、頭おかしいんじゃないの?

「私たちはなぜ、そんなふうに言われたのかさっぱり分からなくて。その日以来、2人は口をきいてくれませんでした。でも今、徐々にその意味が分かり始めています……」そう元子さんは振り返った。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏【聞き手・文・編集】悠木律 PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省|人口動態統計

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