ADRバイオメディカルホールディングス株式会社(旧株式会社ADR120S)は2026年7月21日、2027年3月期を初年度とする3カ年の中期経営計画を策定した。同社はこれまで進めてきた再生医療分野の研究開発と事業基盤整備を土台に、本格的な事業化と収益化を推進する「Regeneration(再生)フェーズ」への移行を宣言した。2027年3月期の黒字化を皮切りに、最終年度となる2029年3月期には営業利益率61%という高い収益性の実現を目指す。

再生医療の社会実装が加速する2026年の市場環境

2026年現在、日本の再生医療市場は大きな転換点を迎えている。高齢化の進展に伴い、変形性膝関節症や尿失禁といった慢性疾患に対する新たな治療選択肢として、再生医療への期待がかつてないほど高まっている。市場予測では、国内の再生医療関連市場は2035年までに246億米ドル規模に達するとされており、研究段階から実際の医療現場への普及、すなわち社会実装の段階へと移行している。こうした中、政府による規制手続きの簡素化や保険適用の進展が、企業の事業化を強力に後押ししている。

業界内では、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)などの先行企業が、細胞を培養して組織を再生する手法で実績を上げている。これに対し、ADRバイオメディカルホールディングスは、患者自身の脂肪組織から短時間でADRCs(脂肪組織由来再生細胞)を調製し、同日中に治療を行う「非培養・自動閉鎖系」の技術を強みとしている。この手法は、高額な投資を要するCPC(細胞培養加工施設)を必要としないため、医療機関にとっての導入ハードルが極めて低いという特徴を持つ。

営業利益率61%を掲げるストック型ビジネスへの転換

今回の中期経営計画において、同社は極めて高い収益目標を掲げた。2027年3月期に売上高7.5億円、営業利益0.3億円で黒字化を達成し、最終年度の2029年3月期には売上高40.6億円、営業利益24.7億円、営業利益率61%を目指す計画だ。この高収益を支えるのが、ストック型ビジネス(継続的に収益が発生する事業モデル)への転換である。

具体的には、主力製品である「セルーション遠心分離器」の販売やレンタルによる初期収益に加え、治療のたびに必要となる専用の消耗品(ディスポーザブルキット)の提供、保守サポート、さらには新製品の展開を組み合わせる。医療機関への導入台数が増えるほど、消耗品による収益が積み上がる構造を確立することで、持続的かつ安定的な成長を図る方針だ。2026年10月からは、医療機関の初期負担を軽減するためのレンタル事業も開始し、導入の加速を狙う。

泌尿器科など3領域を重点化し国内生産体制を確立

同社は今後の成長を牽引する重点領域として「美容外科」「整形外科」「泌尿器科」の3分野を設定した。特に泌尿器科領域では、男性腹圧性尿失禁(SUI)治療向けの「セルーション セルセラピーキット SUI」が重要な役割を担う。同製品は2022年に製造販売承認を取得しており、2026年6月には保険適用に向けた手続きが次段階である中央社会保険医療協議会の専門組織での審査へ進展した。保険適用が実現すれば、普及に弾みがつくことは確実だ。

また、製品の安定供給とコスト削減に向けて、主力機器の国内生産体制を構築したことも大きな前進である。新型機「セルーション・エリート」の上市を控え、海外生産に依存しない体制を整えたことで、供給の安定化と収益性の向上を同時に実現する。さらに、将来の成長ドライバーとして、臍帯由来の細胞外小胞製品「NeoCella(ネオセラ)」の展開も開始しており、既存顧客へのアップセル(追加製品の販売)商材としての活用を進めていく。

医療機関の導入ハードル低減と今後の展望

ADRバイオメディカルホールディングスが目指すのは、再生医療をより身近なものにすることだ。同社の技術は、大規模な施設投資を必要とせず、大学病院から専門クリニックまで幅広い医療機関で導入が可能である。今回の計画では、これまでに蓄積した臨床実績を武器に、医療機関への実装を加速させる。2027年3月期からの3年間で、研究開発中心の企業体質から、確固たる収益基盤を持つ事業会社へと脱皮を図る考えだ。

今後は国内市場での地位を固めるとともに、将来的な海外市場への展開も視野に入れている。再生医療の社会実装を通じて、患者のQOL(生活の質)向上に貢献しながら、企業価値の最大化を目指す同社の動向は、2026年以降の医療産業における重要な指標となるだろう。

出典:ADR120Sプレスリリース(PR TIMES)

※文中の製品やサービスなどの名称およびロゴは、各社の商標または登録商標です。

タグ: その他, 海外展開, 規制・認証

広報・PRご担当者様へ

特集記事

関連記事

記事選定/ライター

VOIX編集部VOIX編集部

VOIX編集部

2020年代をリードするビジネス情報を中心にニュースを発信します。取材やリリースを中心に、価値のある情報をお届けします。
リリースをご希望の方

WACOCA: People, Life, Style.