妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

「まさかこの年齢で、もう一度赤ちゃんを授かるなんて夢にも思っていませんでした」

そう語るのは、都内在住の会社員、佐藤美穂さん(仮名・49歳)。23歳で長女を出産し、子育てがようやく一段落した彼女が直面したのは、46歳で第2子のまさかの妊娠だった。

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近年、晩婚化や医療技術の進歩に伴い、高齢出産を選ぶ人は珍しくなくなっている。しかし、45歳を超えての出産となると、そのハードルは一気に跳ね上がる。

厚生労働省が発表している「人口動態統計」によると、年間の総出生数のうち、45歳以上の女性による出産が占める割合は、わずか0.2%程度。直近の令和7年でいえば1,644件と、極めて稀なケースであることは数字からもよくわかる。

「こうした40代後半の予期せぬ妊娠の背景には、多くの人が陥りがちな“ある油断”がある」と、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は指摘する。

「40代半ばを過ぎると、月経の乱れなどから『もう閉経が近いから、避妊はしなくても大丈夫だろう』と思い込んでしまう夫婦が少なくありません。しかし、完全に閉経するまでは妊娠の可能性はゼロではないのです。いわゆる『大人の避妊の甘さ』が、想定外の事態を引き起こすケースは、私たちが想像する以上に多いのが実態です」

高齢での妊娠・出産は、母体や胎児への医学的なリスクが伴うだけでなく、その後の子育てにかかる体力面、経済面での生活設計を根底から覆すインパクトを持つ。当然、美穂さん夫婦にとっても、それはまったくの「想定外」の事態だった。自分たちが再び妊娠するはずなどないと、完全に思い込んでいたという。

「実は、私たちは長年深刻なセックスレスだったんです。だから娘が成人して独立したことを機に、夫婦関係の清算も視野に入れて、お互いに適度な距離を保つための『別居婚』をスタートさせました」

関係の冷え切った夫婦が選んだ、事実上の解散とも言える別居生活。しかし、これが予想外の変化をもたらす。

「同居していた頃は、顔を合わせるだけでイライラして、触れ合うなんて考えられませんでした。でも、離れて暮らすようになってから、不思議と夫の大切さに気づかされたんです。『家族ってありがたいな』って」

離れたことで始まった、月数回のデート。それが夫婦の新鮮な関係を再燃させ、長年のレスを解消させるきっかけとなったのだ。だが、その再燃が、まさか46歳での妊娠へと繋がるとは、当時の美穂さんは思いもしなかったという。

「うれしい気持ちと、いまさらまた一から育児をやり直せるのかという不安で、頭の中がパニックになりました。結局、ギリギリまで悩みましたね。ところが、そのせいで娘と深い溝ができてしまったんです」そう振り返る美穂さんだった。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】悠木律 PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省|人口動態統計

 

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