2025年の美容・パーソナルケア世界売上のオンライン購入比率は27.7%、スキンケアは35.7%。2030年には、それぞれ30%、40%まで拡大すると予測。
スキンケアのオンライン購入比率、国別では中国52.2%、韓国67.8%に比べ、日本は21.4%。認知から購入に至るまでの消費行動プロセスの違いが背景。
東南アジアの美容・パーソナルケア市場は高成長を維持。特に、ソーシャルコマース拡大と消費者意識の変化により、スキンケアとサンケアはいずれも前年比で二桁成長を記録。
オンライン購入比率の拡大とスキンケアの高いデジタル親和性
本オンラインセミナーでは、美容・パーソナルケア市場(※)におけるデジタル化の加速が指摘されました。世界の美容・パーソナルケア市場におけるオンライン購入比率は、2020年の19.9%から2025年には27.7%へ拡大しています。このトレンドは継続し、2030年には30%に達すると予測されています。(※)同カテゴリーには、カラーコスメ、香水、デオドラント製品、スキンケア、日焼け対策製品、ベビー・子ども向け製品、バス・シャワー用品、ヘアケア、オーラルケア、脱毛・除毛ケアを含みます
特に、スキンケアカテゴリーではオンライン購入比率が高く、スキンケア世界市場のオンライン購入比率は2020年の26.2%から2025年に35.7%に上昇し、2030年には40%に達する見込みです。鈴木亜弥シニアアナリスト(美容・パーソナルケア国内市場担当)は、その背景として、スキンケア商品は、消費者が成分や機能に関する情報を事前に調べて比較検討する傾向が強いことに加え、これらの情報をデジタルコンテンツで分かりやすく伝えられるため、店頭で試用しなくても購入を決定しやすい点を挙げています。
国別にみると、2025年時点で、スキンケアカテゴリーのオンライン購入比率は、中国で52.2%、韓国では67.8%と高いのに対し、日本では21.4%と低くなっています。ASEAN6(※)も、2020年には日本よりも低かったものの、2025年には25.4%と、日本を4ポイント上回っています。(※)インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム

鈴木は、国内でスキンケア商品のオンライン購入比率が低い理由と将来の見通しについて、次のように述べています:
「日本では百貨店、ドラッグストア、バラエティストアなど実店舗網が全国的に充実しており、必要な際にすぐ商品を購入できる利便性が高く、ポイントプログラムやカウンセリングも含めた店頭体験の価値も大きい。そのため、消費者はオンラインで情報収集を行いながらも、最終的には店頭で実物を確認し納得したうえで購入する行動が一般的だ。オンラインでの購買体験は、衝動的な購入よりもリピート購入や目的買いが中心の傾向となっている。これは、中国や韓国で一般化し、東南アジアでも拡大しつつある「商品の検索から購入までがデジタル上で完結する構造」とは異なる。一方、最近では、口コミやSNSを通じた情報流通の拡大に加えて、AIによるパーソナル提案やライブ配信を通じた商品紹介など、オンライン上で商品の発見や接客の体験を補完するサービスが拡充している。これにより、日本でも情報収集から購入までの体験が徐々にシームレスになり、デジタルシフトは今後も緩やかに進むとみている。」
SNSを通じた知識浸透が東南アジア市場成長を促進
こうした世界的なデジタル化の流れの中で、特に存在感を高めているのが東南アジア市場です。2025年の美容・パーソナルケア市場全体の前年比成長率は、世界平均の5.3%に対し、ASEAN6は9.0%と高く、カラーコスメ、フレグランス、ヘアケア、スキンケア、サンケアといった主要カテゴリーの前年比成長率はいずれも世界平均を上回っています。

山口大海リサーチマネジャー(美容・パーソナルケア東南アジア市場担当)によると、ASEAN6の美容・パーソナルケア市場拡大の背景として、人口増加や可処分所得の向上に加え、ソーシャルコマースの急拡大が挙げられます。TikTokを中心に『認知→口コミを見て比較検討→購入』がプラットフォーム内で完結する環境が整い、物理的な小売インフラを持たない新興ブランドでも急速に売上を伸ばせる環境が整ったためです。
カテゴリー別では、サンケアとスキンケアの前年比成長率がそれぞれ15.5%、12.6%と高くなっています。山口によると、サンケアは、従来日常的に使用する習慣がなかった市場において、SNS上の皮膚科医やインフルエンサーによる紫外線防止の啓発が消費者意識を大きく変えたことが最大の要因であるといいます。スキンケアでは、Z世代を中心にナイアシンアミドやレチノール、PDRN等の有効成分を自ら調べて指名買いする「成分志向」の消費行動が定着することが、市場拡大を後押ししていると指摘しています。実際、ASEAN6では、ダーマコスメスキンケア市場が2020年から2025年の間に、年平均成長率で23.6%と急伸しました。
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