2026年5月28日
“排尿障害” 人知れず悩む人多く
頻尿や尿漏れといった排尿障害に人知れず悩む人は多い。周囲に相談しにくく、外出先でのトイレへの不安も消えない。その結果、外出を控え孤立が進むことも少なくない。公明党や中道改革連合は、相談や治療などの体制整備を訴えている。
■支援プロジェクト実施の滋賀県
排尿障害に関して、自治体独自で調査・対策に取り組んでいるのが滋賀県だ。同県は、排尿障害が原因の外出控えにより、認知症やフレイル(虚弱)の進行を招く恐れがあることを重く受け止め、2019年度から「排尿支援プロジェクト」を展開。相談・受診しやすい体制づくりをめざし、地域住民や医療関係者を対象とした支援人材の育成などを進めてきた。
■「症状あり→受診」1割
県が同年度に実施した、18歳以上の男女3000人を対象とする県民意識調査【グラフ参照】では、1年以内に失禁を経験した人が25.5%に上り、そのうち受診した人は、わずか11.2%にとどまっている現状が明らかになった。受診していない人(88.8%)の59.6%が「年齢のせいなので仕方がないと思っている」、22.0%が「医療機関に行くのはためらいがある」、9.5%が「どこに受診(相談)すればいいのか分からない」と答えていた。
■健康寿命への影響大
滋賀医科大学泌尿器科学講座の窪田成寿助教は「排尿障害は直接命に関わるものではないため、受診が後回しにされがちだ。しかし、外出への不安から社会参加の機会が損なわれ、身体機能の衰えや要介護状態につながるなど、健康寿命への影響は大きい」と指摘する。
■孤立防止へ“身近な理解者”
同プロジェクトの取り組みの一つが、地域住民を対象とした「排尿サポーター」の養成だ。尿の基礎知識やケア方法、相談先を学ぶ養成講座には、これまでに937人が受講。同サポーターは“身近な理解者”として悩む人に寄り添って孤立を防ぎ、相談から受診へとつなげた好事例も生まれている。
さらに県は、介護福祉士や看護師らの専門職を対象とした研修も実施。これにより、排尿ケアに対応できる訪問看護ステーションが増加しており、地域全体の支援の質向上にもつながっている。
県主導の同プロジェクトは24年度まで実施され、25年度からは市や町が主体となり同サポーターの養成などに取り組んでいる。県の担当者は「一人で抱え込まずに、身近なところで相談ができるよう、引き続き理解促進に取り組んでいきたい」と話す。窪田助教は「排尿障害は個人の問題として捉えられがちだが、健康寿命や介護負担にも関わる地域課題でもある。地域で理解を広めることで、早期の受診や治療へのハードルを下げることにつながる」と、自治体が支援に取り組む意義を強調する。
■国、窓口設置に補助
厚生労働省は健康増進法に基づく事業として、各市町村が排尿障害も含む健康相談の窓口を設置する場合など、費用の一部を補助する仕組みを整えている。今年度からは、公明党の訴えなどを受け、排尿関連症状など女性の健康に関する3年間の調査研究もスタートさせている。
■相談しやすい環境へ
公明・中道が、体制整備を政府に要望
排尿障害を巡り公明党の厚労部会は、25年8月に行った26年度予算概算要求に向けた重点要望の中で、相談・予防・治療体制の整備を政府に要請した。
また、中道改革連合の山本香苗代表代行は、26年4月の衆院厚労委員会で、排尿障害対策の先進事例として滋賀県の取り組みを挙げ、「誰もが早期に相談・受診できる体制を整えるべきだ」と訴えた。
これに対し、厚労相は「同事例を都道府県に知らせて検討を促したい」と答えた。
山本代表代行は「頻尿や尿漏れなどの排尿障害は、個人の尊厳に関わる重要な課題だ。多くの人が悩みを抱えながらも、恥ずかしさなどから相談や受診につながっていない現状がある。だからこそ、国が先進事例の横展開や必要な支援を進めるとともに、自治体が地域の実情に応じて相談しやすい環境づくりを進めていくことが重要だ」と語る。



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