4月、静岡・大井川鉄道が、突如、井川線の料金を値上げする方針を示し混乱が生じました。さらに、社長がブログで、地元のことを「田舎の山の中で生活している人たち」などと記述したことでさらに状況は悪化。今回の騒動について、航空旅行アナリストの鳥海高太朗氏が、鳥塚社長を直撃。その真相に迫りました。

鳥海氏が訪れたのは井川線の起点となる川根本町にある「千頭駅」。

(航空・旅行アナリスト鳥海 高太朗 氏)
「おはようございます。きょうはよろしくお願いいたします」

(大井川鉄道 鳥塚 亮 社長)
「御無沙汰しております。お越しいただきましてありがとうございます」

(航空・旅行アナリスト鳥海 高太朗 氏)
「本線のやりたいことをまず手がけられてそれが一段落して今回井川線の改革といっていいのか?」

鳥塚社長は「ローカル鉄道の再生請負人」とも呼ばれ、これまで経営危機にある各地の地方鉄道を様々なアイデアで蘇らせてきました。

その手腕を買われ、台風被害で半分の区間が不通という厳しい状況の大井川鉄道の社長に抜擢。

就任から2年で、パーシー号の導入や食堂列車・夜行列車など様々な新しい取り組みで収益向上を目指してきました。

そんな鳥塚社長が新たに打ち出したのが「井川線の観光列車化」だったのです。

(大井川鉄道 鳥塚 亮 社長)
「井川線の価値はすばらしいものがある。それを観光列車にして適正な料金もいただいて適正なサービスをしてというところを考えております」

現在、井川線全区間の千頭~井川駅間は、片道1340円。これを観光列車化で付加価値を上乗せして、片道3500円で運行しようというのです。

(航空・旅行アナリスト鳥海 高太朗 氏)
「きょう、僕は見たいのが1340円というのが安いのか高いのかそして3500円がいいのかどうか。きょうは社長に案内していただきながら感じたい」

世界の観光地を巡り、様々な乗り物を経験してきた鳥海氏は、井川線をどう評価するのでしょうか。

(車内アナウンス)
「ご乗車いただきましてありがとうございます。この列車は井川行きです」

(鳥海氏)
「駅の係だけじゃなくて地元の自動車の工場の人まで手振ってという…なんかやっぱり地元密着なんですね」

(鳥塚 社長)
「そうですね。地元の人は本当に、なにか大切に思っていただいているというのは感じます。1つの財産なんだなと思う」

井川線は、ダム建設のために作った中部電力が所有していて、運営を大井川鉄道が担っています。そのため、井川線の赤字分は中部電力が補填しますが、なぜ今回、値上げの意向を示したのでしょうか。

(鳥塚 社長)
「現状 地元の人のご利用は、ほぼほぼない。15年間定期利用客がゼロです。観光客からいただくお金で地域の交通を維持していく仕組みですね」

大井川鉄道は、2022年の台風被害により本線の半分が不通状態で赤字が続いていて、このままでは会社の存続自体が危ぶまれる状況なのです。

(鳥塚 社長)
「運賃収入は半分。ところが経費は半分になるわけないですから、被災以来経営がなかなか厳しい状態。コスト削減は乾いた雑巾絞るようなところまで来ている。今の時代は売り上げを上げていくということをやる方がやはり正しいのではないか」

そこで、井川線が誇る大自然の絶景や、国内唯一のアプト式列車という貴重性などを観光客に売り込み、その非日常体験に、お金を払ってもらおうというのです。それを、4月27日に6月1日から始めることが明るみに出て波紋を呼んだのです。

(鳥海氏)
「説明の手順で、『今思えばこうしておけばよかったな』とか…ありますか?」

(鳥塚社長)
「こういうことを始める時には、いろいろな関係各所と細かな詰めをしなきゃいけないと…そういう時には。本決まりになるまでには出せないとうんいうような情報ってあると思うんですよ。具体的にいついつからとか、3500円になるとか、そういうようなお話っていうのは、ちょっとなかなか出せないことでしたんで…。ですから直前になってしまったという、1か月半前になってしまったということですね」

井川線の観光列車化では地域の活性化も目指していて「山菜」や「あまご」など地元食材を使った駅弁の販売や沿線にあるダムの見学ツアーを計画するなど、すでに地域を巻き込んだ企画を進めています。

(鳥塚社長)
「こちらが地元で作っていただいて駅で販売しているお弁当、駅弁になります」

(鳥海氏)
「なんかすごい手作り感というか…地元のものが詰め込まれている感じがありますよね。これも含めて体験ですね」

(鳥塚社長)
「田舎に来て田舎のものを地元のものを召し上がっていただくそれも列車の中でまたこういう駅で召し上がっていただくということが非日常を極める。鉄道入り口として地域が栄えるような構図を…私がこれから目指すところ」

しかし、そうした中で、井川線の値上げへの地元の反発に対して、鳥塚社長がブログで書いた文章が波紋を呼んだのです…。

(鳥塚社長のブログ※現在は削除済み)
『ふだん田舎の山の中で生活している人たちにも理解していただくことは難しいということを“やっぱりここもそうだったなあ”と、今回改めて感じているところなのです』

(鳥海氏)
「今回騒動となったブログに関して、社長としては反省なのか反省ではないのか」

(鳥塚社長)
「反省です、反省です。愚痴を言うようなことはみっともないっていう考え方もありますんでね。確かにそうだろうなと。夜仕事終わってから9時ぐらいから3~40分考えて書くんですけど、あまり夜考えてることと朝考えるところが違いますから、その辺はちょっとやっぱり反省ですね」

一方で値上げした場合、地元住民には2年間1000円で乗車できるフリーパスを発行する方針です。そうした中で、反対する地元の人の中には、「値上げして本当に客は来るのか」という不安があるようです。大井川鉄道の試算では、値上げすることで井川線の利用客が1割程度減少する可能性があるとされています。

(鳥海氏)
「観光事業者はどういう反応なんですか最終的には?」

(鳥塚社長)
「観光事業者は一緒にやっていきましょうという。実際に観光事業者の人に集まっていただいてお話をお聞きして、私の説明もして、彼らの意見も取り入れた時に、基本的には賛同するという形になりました。反対してる人が心配されているような懸念点は、ある程度、観光事業者の方々はクリアされてるということで、私たちは認識しましたので、これで進められるのではないかなと思います」

この日も外国人向けのツアー客が井川線を利用していましたが、鳥塚社長は観光列車化することで世界にもセールスでき、そのリターンは大きいと考えているようです。

大井川鉄道の本線で不通となっている区間は3年後、2029年度中の全線開通を目指しているといいますが、その実現のためにも、井川線の観光列車化が必要だといいいます。

(航空・旅行アナリスト鳥海 高太朗 氏)
「着きました井川」

(大井川鉄道 鳥塚 亮 社長)
「いかがでしたか井川線の旅は?」

(航空・旅行アナリスト鳥海 高太朗 氏)
「楽しかったです。ありがとうございます。もうエンターテイメントいっぱいでね。どういう形でこの3500円の価値を見出すか…もう、これは間違いなくあると思います」

(大井川鉄道 鳥塚 亮 社長)
「井川線が走ってるということで、この地域に人がやってくることで…。地域に人を呼ぶ入口に鉄道がなれたらなと考えています」

(スタジオ)

(澤井 志帆 アナウンサー)
さあ、旅のプロ・鳥海 高太朗さんが国内唯一のアプト式列車や奥大井湖上駅など、井川線の魅力を体験してきました。そんな中で、こういった井川線沿線の魅力を堪能できれば3500円の価値はあるのではないか…ということだったんですけれども、もし往復乗車するとなると1日がかりとなりますので、片道だけでも楽しめる交通整備が必要なのではないかということでした。藤井さんはどうご覧になりましたか?

(コメンテーター news zero メインキャスター 藤井 貴彦 氏)
よく、お寺の拝観料を払う時に、「結構高いな」と思うんですけど…あれって、文化を維持するため、その文化を継承してくださる皆さんの支援のためにも使われるということで、今回3500円の価値というのは、その風景に価値があるだけじゃなくて、「この路線を残す」という拝観料的な意味もあるのであれば、3500円でも価値があるんじゃないかなと捉えるのがいいのかと思います。

(レギュラーコメンテーター 津川 祥吾 氏)
多分地元の人以上に…よそから来る人の方が、この価値を高く感じるということだと思いますので、社長のこのアイデアは、ぜひ期待したいなと思います。

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