クレーム客から心霊の噂について聞かされた郵便配達員は…?
【漫画】本編を読む
郵便配達員は地域に密着し、日々多くの住人と顔を合わせる。現役郵便局員の送達ねこ(@jinjanosandou)さんが描く『郵便屋が集めた奇談』は、そんな配達員たちが耳にした不可解な噂や、背筋が凍るような実体験を漫画化した作品だ。本作「浮遊する首」では、ある高架下にまつわる怪奇現象の背後に隠された、人間のドロドロとした情念が描かれている。
■怪異の正体は「お嫁さんの嘘」だった
その場所でかつて悲惨な事故が起きたというが…
浮遊する首_P02
クレームや嫁の悪口にいつも付き合わされていた郵便配達員
郵便配達員のハルさんは、近所でも有名なクレーマーのご婦人から「手紙を捨てているのでは」と激しい抗議を受けていた。しかし、そんなアグレッシブな彼女が、あるときを境に「日暮れ時に高架の上に人の首が浮かぶ」という噂に怯え、目に見えて衰弱していく。ハルさんはネットで噂の真相を調べるが、そこには意外な背景があった。
実は、この噂の出どころは彼女のお嫁さんだった。姑から「近所の子を車に乗せろ」と無理な要求をされ困り果てたお嫁さんが、角を立てずに断るために「以前、事故があったから園で禁止された」と嘘をついたのだ。その嘘が「事故現場の心霊現象」として広まり、姑を追い詰める結果となった。送達ねこさんは「弱々しくなった姑さんに満足しているお嫁さんの姿が、物語の結末に象徴されている」と、人怖の側面を語る。
■接客現場を襲うカスハラへの警鐘
本作では、ハルさんを支える先輩局員の「クソ客なんかに潰されんなよ」という言葉も印象的だ。送達ねこさんは「現場では、過剰な要求を断れない立場に職員が置かれることがある」と指摘する。実際に、女性職員が男性客に粘着され、組織全体で対応を余儀なくされたケースもあるという。
「彼女は嫌がってる芝居をしているだけだ」と思い込む客との意思疎通は困難を極める。送達ねこさんは、昨今のカスハラ対策への意識の高まりを歓迎しつつ、「接客対応者の尊厳を守るためには、組織全体での毅然とした対応が必要」と強調する。本作は単なるホラーではなく、現代社会が抱える理不尽な人間関係や、労働現場の切実な問題を浮き彫りにしている。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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