学歴や地位よりも、心身の健康と幸福に影響を与えるもの。それは「良好な人間関係」でした。
今回は、たかもりくみこさんの著書『ただ見守る科学的子育て: 3兄弟が一橋、慶應、東京藝大に合格! わが子に主体性が勝手に身に付く最も簡単な方法』(Gakken)を一部抜粋してご紹介いたします。
比較競争の“戦い”から抜け出し、ありのままの自分で他者とつながる力を育むには? 「断る勇気」から学ぶ、一生折れない心(レジリエンス)の育て方を解説します。
人生は勝ち続けても、永遠に安心は訪れない
「なんで、この子だけこうなの?」「どうして、この子は文句ばかり言うんだろう?」。口には出さなくても、心の中で比べてしまうことってありますよね。
兄弟姉妹での比較、他の子との比較。子育てでは、比べないことのほうが難しいかもしれません。
気づけば、子どもは気にしていないのに、親だけが勝手に焦ったり、悔しさを感じたり、ときには優越感を抱いたりしていること、ありませんか?
無意識のうちに、私たちは「上か下か」「勝ちか負けか」「こっちのほうが正しい」という比較の世界に巻き込まれています。学校でも、職場でも、SNSでも。
そしてその比較競争の中で、いつの間にかこう思っている方も多いかもしれません。
「このままだと、ウチの子も私もダメだ」と。
比較競争の中で育った子は、どこにいても、誰といても、心から安心することができません。「勝たなければ価値がない」「負けたら終わり」と思い込んでしまうと、人生そのものが“戦い”になってしまいます。
負けはもちろん、勝ち続けてもしんどい。結局のところ勝ち続けることは不可能だから、人生への希望を失う場合もあります。
三男が小学4年生の頃のことです。お友だちが二人、玄関のインターフォンを鳴らしました。「お友だち来たよー」と声をかけると、彼はソファで本を読んだまま言いました。
「今日は遊ぶ約束してないからいい」。そして自分で玄関に行き、「今日は遊べない」と二人に伝えました。
私は心配になりました。「明日からも、友だちでいてくれるだろうか? 学校で嫌われたりしないかしら?」と。友だちを失うのが怖かった私には、目の前で断るなんて絶対にできなかったからです。
けれど、そんな私の心配はまったく外れて、翌日からもいつも通り、お友だちと楽しく遊んでいました。断れなかった私と、普通に断れる三男。
「つながり」があるから、「そのままの自分」でいいと思っていて、本音を出せる。自分の言動で嫌われる、見捨てられると思っていない。
だから、相手の言動にも寛容で、相手も「自分のままでいい」と思えるから、一緒にいて居心地が良い。だから「つながり」を感じられる。その好循環が起きる。
「つながり」がある強さを目の前で知った出来事でした。
ハーバード大の研究でも明らかに! 幸福の最大の要因は「つながり」
幸せな人とは、どんな人でしょうか? ハーバード大学が1938年から85年以上にわたり追跡してきた「成人発達研究(Harvard Study of Adult Development)」は、明確な答えを出しています。
「人生の幸福と健康を高める最大の要因は、良好な人間関係である」
お金や地位、知性よりも、信頼できる人との深いつながりこそが、長寿や心身の健康、そして人生の満足度に強く影響します。「誰かとつながっている」という感覚が、幸福感やレジリエンスを育む鍵となるのです。
この研究結果は、子どもに幸せになってほしいと願うなら、人と「つながる」ことこそ最も大切であることを示しています。
また、がん専門医の田中良基先生の『がんにならない生き方』(きずな出版)の中で「がんにならない人は、自分自身や人とのつながりを大切にし、無理のないバランスのとれた生き方をしています」ということを言及していて、やはり「つながり」の大切さを説いています。
私自身「この子は大丈夫かも」と心から思えたのは、前項で触れたように三男が人との「つながり」を自然につくっていく姿を見たときでした。「この子はこれからも誰かに助けられるし、逆に誰かを助けながら生きていく。それならきっと生きていける」。そう思えたことがきっかけです。
「つながり」がある人にとって、勝ち負けはどちらでもいい。勝つことが自分の存在意義の表明でもないし、負けても価値はなくならない。「自分が自分のままで、人とどれだけつながれるか」、そこにこそ、本当の幸せと心の平安があるのだと思います。
その「つながり」の原型は、人生で初めて出会う親との関係です。「つながり」を感じられる人は余裕があり、自己価値の証明に躍起にならず、人に対して寛容です。
自分も人も大切にしているため、そのままで魅力的で、応援され、豊かさもやってきやすい、そういえるのではないでしょうか。
今、この瞬間から子どもとつながることが、子どもの今だけでなく、未来の幸せにもつながっていきます。
「比較競争」の世界から、「つながり」の世界へ。それは、子どもだけでなく、私たち親自身もそのままの自分で、心から安心できる世界に住めるということなのです。
▪ させなきゃワールド:「Sちゃんと比べてここができてない。できていないところをなんとかさせなきゃ……」
▪ やっちゃうワールド:「Aちゃんってすごく面白いんだね。一緒に遊んだときの話聞かせて!」
今後は「学歴」から「才能」へ確実になっている

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