「新卒で入った会社で精神病になってニートになった話」1-1

【漫画】本編を読む

自分の仕事を終え、定時に退社しようとすれば「社内の空気を悪くしている」と叱責され、トイレに行く前には報告を求められる。新卒で入った会社での理不尽な体験から心身を病み、退職を余儀なくされた、けろちゃん(@kerochan_manga)さん。そんな自身の壮絶な経験を描いた漫画「新卒で入った会社で精神病になってニートになった話」が、SNSを中心に大きな反響を呼んでいる。

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※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

■定時退社で「和を乱す」?理不尽な職場で削られた心

上司や先輩による不可解な指示のほか、けろちゃんさんは根本的な働き方にも疑問を抱いていた。「定時で帰ることなどを注意されていましたが、私も『こうしたほうが効率よくなるのでは?』と上司に生意気にも直談判していました。そこからさらに反感を買い、爆速スピードで私へ苦情や注意が相次いだのを覚えています」と当時を振り返る。

子どもの頃から納得できないことには意見を言うタイプだった彼女は、新卒の自分に対して感情的に当たる周囲の様子を「バカみたいだな」と冷ややかに見ていたという。「あくまで私のいた会社に関してですが、会社のやり方に思考停止して従順に従う人を重宝していると気づき、私がここにいることが間違っているんだなと思いました」

転職を決意したものの、貯金やスキルの不安からすぐには動けなかった。しかし、ストレスは確実に彼女を蝕み、入社1年後に休職。そのまま復帰することなく退職を選んだ。

■「私の人生、どこから狂ったの」3年間の暗闇と漫画の誕生

退職後、けろちゃんさんは約3年間に及ぶニート生活を送ることになる。休職期間中のトラブルにより親とは絶縁し、家を出るなど生活は混迷を極めた。2年目に入る頃には、布団から起き上がる気力も失うほどの引きこもり生活となった。

「パニック障害、適応障害、抑うつ状態になり、ポテチを爆食いして気を紛らわせるむなしい日々でした。天井を見つめて『人生どこから狂ったんだろう』と過去に思いを馳せてばかりで」。そんな絶望の淵にいたとき、唯一布団の中でも取り組めたのが漫画だった。「どうせならこのむなしさを形にして残すか」という、わずかなきっかけが執筆の原動力となった。

暗闇の中での創作を続けるうちに、3年目からは体調も安定し始める。月1回の遠出ができるようになるなど、少しずつ「人間らしい生活」を取り戻していった。

■「会社基準」を捨てて生きる、読者と共有した再生への道

ブラック企業で心身を削りながらも、責任感や将来への不安から立ち止まれない人は多い。けろちゃんさんは自身の経験を経て、「会社基準ではなく自分基準で考えてほしい」と語る。

「一番してはいけないのは、我慢することです。自分に合わない方法で無理をしていると、いつか必ず代償を払うことになる。心と体を壊しても、会社は責任を取ってくれないから。自分が一番納得できる答えに突き進んでいいのだと感じています」

漫画には「トイレで待ち伏せは異常」「似たような症状だったので共感しかない」といった声が数多く寄せられた。なかには家庭環境の影響による「社会とのズレ」を指摘する声もあり、同じ苦しみを持つ読者とのつながりは、彼女にとって大きな救いとなった。

現在は新しい環境で仕事に復帰したけろちゃんさん。「悲しき引きこもり時代の暇つぶし漫画が、多くの方に見ていただけてありがたいです。これからも好きなように描いていこうと思っています」と、前を向いて歩み始めている。

取材・文=松原明子

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