メディカルサポネット 編集部からのコメント
健康保険法改正案で創設が検討されている「一部保険外療養」をめぐり、OTC類似薬の薬剤費にとどまらず診療全体への適用拡大の可能性に懸念が広がっています。政府は現時点で対象拡大を否定しているものの、将来的な余地は否定しておらず、医療界からは国民皆保険の根幹を揺るがす制度であるとの批判も強まっています。


  

国会審議中の健康保険法等改正案のうち、OTC医薬品との代替性が特に高い薬剤(OTC類似薬)の薬剤費の一部を保険給付外とする「一部保険外療養」制度の創設に対し、同制度の導入で保険給付から外すことが可能になるのは薬剤費にとどまらないとの懸念が医療関係者を中心に広がっている。

この問題が大きく取り上げられたのは、4月15日の衆院厚生労働委員会。

一部保険外療養は「要指導医薬品・一般用医薬品(=OTC医薬品)との代替性が特に高い薬剤を用いた療養その他の適正な医療」の提供を確保しつつ「その要する費用のうち一部を保険給付の対象としないものとする療養として厚生労働大臣が定めるもの」と定義されているが、これについて辰巳孝太郎氏(共産)が、法文上は、OTC類似薬の薬剤費だけではなく「そのような薬を使った診療そのものの一部が保険適用除外になるということ」と指摘。

「その他の適正な医療」とも記載されていることから、診察、処置・手術、在宅療養、入院なども一部保険外療養の対象になり得るとの解釈を示し、政府の見解を求めた。

■間保険局長、OTC類似薬以外への拡大「現時点では想定していない」

これに対し厚生労働省の間隆一郎保険局長は「現時点でOTC類似薬以外について一部保険外療養として別途の負担を求めることは想定していない」と答弁。将来的に対象範囲が拡大し得ることについては否定しなかった。

辰巳氏は「(一部保険外療養が導入されれば)政府が『軽度』と考える広範な疾患に対する保険免責ができることになる。日本の公的医療保険制度の根幹を破壊するもの、掘り崩すものと言わなければならない」として、制度創設に強く反対した。

全国保険医団体連合会(保団連)は翌16日、間保険局長の答弁などを受け、「一部保険外療養は、医療全体に給付制限を課すことができる重大な危険性をはらむものであり、公的医療保険制度の運用を根底から覆す制度改変と言わざるを得ない」として、徹底審議の上、健保法等改正案を廃案とすることを国会に求める声明を発表した。

■花粉症など「季節性の症状」は追加負担徴収の対象

一方、上野賢一郎厚労相は4月21日の閣議後会見で、一部保険外療養制度の「要配慮者」の範囲に言及。アトピー性皮膚炎患者など「年間を通じて症状が持続する」患者は、「医師が対象医薬品の長期使用等が医療上必要と認める方」として別途の負担を求めない要配慮者に該当するとの見解を示しつつ、花粉症など「季節性の症状」については「別途の負担をいただくことを想定している」と述べた。

保団連は16日の声明で「同じように保険料を支払っているのに、『要配慮者』などかどうかで医療内容に差を設けることは、必要な医療全体を等しく給付してきた国民皆保険の基本理念に照らして許されるものではない」と訴えている。

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出典:Web医事新報

  

  

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