2026年4月20日 午前7時30分
【論説】SNS(交流サイト)の詐欺広告などをきっかけに投資話を持ちかけられ、金銭などをだまし取られる被害が止まらない。警察庁によると2025年の被害総額は1274億円に達し、前年の1・5倍近くに膨らんだ。県内の同年の被害額も前年から倍増の10億円に迫る規模となり、今年に入っても件数は急増している。
「楽に稼げる」「投資のノウハウを教える」といった広告からLINE(ライン)などに誘導し個別のやりとりを重ねて信用させ、投資や副業に見せかけ多額の資金をだまし取る手口。写真を無断使用したり、生成人工知能(AI)で画像を作り出したりして、著名人に成りすまし投資を呼びかける方法も目立つ。
福井県内での「SNS型投資・ロマンス詐欺」の被害は25年に約9億6417万円となり、前年から5億3120万円の増加となった。認知件数も44件増え65件と急増した。今年の2月までの集計では、前年2月に極端に大きな被害が確認された反動で額は半減したが、1億3028万円に達している。件数は15件増の19件と深刻な状況が続いている。
成りすまし広告を巡っては24年6月、総務省がプラットフォーム事業者に広告の事前審査の強化や削除を文書で要請したが、目に見える進展はなかった。
与党内から事業者任せの対策では限界があり、強制力を伴った対策の必要性を求める声が出る中、政府は3月17日、デジタル庁や総務省、警察庁、金融庁など関係7省庁の担当者を集めて勉強会を立ち上げた。
台湾では、デジタル署名を活用した広告主の身元確認を事業者側に義務付け、詐欺広告が激減したとされており、関係省庁の勉強会でも報告された。欧米では詐欺広告への対応が不十分だと、事業者に売上高に応じ課徴金を科す。
事態の深刻さをみると新たな規制に踏み出すのもやむを得ない。実効性のある法整備が求められている。もちろん、表現の自由を妨げないよう気を配らなければならない。規制はあくまでも自由で活発な情報発信と流通の場を守るためである。さらに、事業者に対し、相談体制が整備されているかや悪質な広告を削除した事例を調査するなど、事前に実態を見極める必要がある。
SNS利用者のリテラシーを向上させる啓発活動は欠かせない。しかし、生成AIを駆使した最新の詐欺はもはや個人の注意深さだけで予防できるレベルを超えつつある。詐欺の入り口となる広告を排除し、誰もが安心してSNSを使えるようにするため知恵を絞り、万全を期したい。

WACOCA: People, Life, Style.