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次々とトレンドを生み出す韓国コスメブームを経て、今、注目を浴びているのが日本のスキンケアアイテム。シンプルで持続的なケアという「スキンミニマリズム」な考え方が、セレブをはじめ、美容通の間で関心を集めているという。マリ・クレール インターナショナルのUK版デジタル記事よりお届け。
K-ビューティーブームの後、存在感を強めている日本のスキンケア
短命のトレンドが相次いだ後、「スキンミニマリズム」が共感を呼んでいる。アジア発のイノベーションに言及せずに、美容業界の現状を語ることは難しい。わずか数年で、K-ビューティーは私たちのメイクポーチを席巻しただけでなく、スキンケアに対する考え方を一変させた。「多ければ多いほど良い」という西洋の哲学は敬遠されるようになり、保湿やバリア機能の強化、「ガラス肌」を生み出す成分が好まれるようになった。
しかし、注目すべきは韓国だけではない。日本、すなわちJ-ビューティーは、この分野で常に評価されてきたが、その地道なアプローチが2026年、実を結び、関心が一層高まっている。
「これは一過性のトレンドではありません」と、ハリウッドのフェイシャル・スカルプター(フェイシャル施術で顔立ちを整えるスペシャリストの意)の巨匠として知られるジュミー・ソン(Joome Song)は語る。「J-ビューティーは、その場しのぎのケアよりも長期的な肌の健康を優先する、規律正しくシンプルなアプローチに根ざしています。それは長年にわたる成分の過剰摂取や過剰な角質除去、そして即効性を求める傾向からのリセットのようなもの」だと彼女は言う。日本で生まれ育った韓国系エステティシャンであるソン氏は古来の手法に由来する、フェイスラインを引き締め、ハリを与えて、立体感を出す「KAIKAマッサージ」で、ゼンデイヤやエマ・ストーンらから絶大な支持を得ている。
ソン氏は、軽い使用感でそれぞれ明確な役割を持つ製品を重ねて使うことが、日本流スキンケアの核心であると考えている。「私が定義するJ-ビューティーは、シンプルさ、継続性、そして内面と外面の調和という三つの柱で成り立っています」と語る。「ヒアルロン酸やセラミドといった保湿成分を重ねることで、みずみずしく、まるで透き通るような肌を実現する。一般的に、私たちは肌を保護すること、日光を浴びすぎないこと、刺激の強い製品を避けること、そしてトラブルが起きてから対処するのではなく、予防的なアプローチを重視する姿勢を大切にしています」
資生堂は、世界的に最も知られている日本発の美容ブランドだ。1872年に国内初の民間洋風調剤薬局として創業、現在では世界最古のコスメブランドの一つであり、アジア最大手となっている。また、NARSやドランク エレファントといったミレニアル世代やZ世代向けの主要ブランドを静かに買収し、世界的な地位を確立してきた。
資生堂のサイエンティフィック・コミュニケーション・ディレクター、ナタリー・ブルサール(Nathalie Broussard)氏によれば、東洋の美容業界全体が広がるきっかけとなったのは、K-ビューティーブームだった。「ダブルクレンジング、エッセンス、シートマスクといった複数のステップを重ねるスキンケアルーチンの概念を導入したことが、アジアの美容習慣を広める一助となりました」と彼女は語る。そして現在、市場は成熟期を迎えていると付け加える。「つまり、K-ビューティーの遊び心あふれる創造性と、J-ビューティーのより真面目で思慮深く、成分重視のミニマリズムを組み合わせた、ハイブリッドなルーティンに注目が集まっているのです」
韓国と日本のアプローチの違いが鍵となる。「K-ビューティーは一般的に、急速なイノベーションとトレンド重視が特徴であり、ブランドは市場をリードするために、頻繁に新しい成分、形態、習慣を導入している」と、韓国にルーツを持ち、「ガラス肌」のスペシャリストとして知られるクリスティン・ホール博士は指摘する。「対照的に、J-ビューティーのルーチンは、確立されたケアの習慣や的確な塗り方のテクニックや手順を中心に構成されており、製品そのものと同じくらい、その使い方に重点が置かれています」
当然のことながら、美容医師のアリシア・ゴンザレス氏は、自身のクリニック内である程度の「トレンド疲れ」を感じているという。「患者たちは、K-ビューティーで非常に人気のある複雑で手順の多い習慣に疲れています。その点、日本の美容は伝統としきたりに根ざした、シンプルで一貫性のあるルーチンを重視しており、それらは効果的であると同時に持続可能です」
それゆえ、洗練を非常に重視する日本のアプローチに、私たちがますますひかれるのは理にかなっている。専門家たちが繰り返し指摘するように、その処方は長い年月をかけて作り上げられていることが多く、次々と刷新するのではなく、じっくりと磨き上げられてきたものだ。ほかにもSK-II、肌ラボ、キュレル、タカミといったブランドも、これを完璧に体現している。
アメリカ発ブランド、タッチャ(TATCHA)は、何世紀にもわたって日本で使われてきたしきたりや成分を重視している。「抗酸化物質、コメ、緑茶、海藻は、世界で最も健康的な食事の一つとされるもので、これらは食生活を支えるだけでなく、肌と生物学的に親和性が高く、長期的な肌の健康をサポートすることが臨床的に証明されています」と、タッチャのグローバル・イノベーション責任者であるチアン・チウ(Qiang Qiu)氏は説明する。
また、日本のスキンケア製品の多くは、その気候を考慮して作られている。「日本は湿度、乾燥、気温、紫外線量の急激な変化にさらされています。つまり、肌に優しく、潤いを与える処方が常に求められてきたのです」とチウ氏は付け加える。このため、日本の成分表には発酵成分がよく見られる。「これは私たちの製品が、主流な西欧の製品とは一線を画す点です。発酵プロセスによって主要成分の働きが高まり、健康的で輝きのある肌へと導く栄養豊富な成分が引き出されるのです」
結局のところ、J-ビューティーが栄養と調和を重視している点こそが、新たな潮流を生み出しているのだ。SNSのトレンドに席巻され、飽和状態のビューティー市場において、目の肥えた消費者は心地よさまでもたらしてくれるような効果的な製品を求めている。「『わびさび』という美しい概念が、まさにそのすべてを捉えていると思います」とソン氏は締めくくる。「それは、日常のささやかなものの中に美を見いだしていくということです。時がたつにつれ、物事に対する見方が変わっていく、それこそが日本の美容の本質です」
translation & adaptation: Akiko Eguchi
・朝のスキンケアが、UVケアにもエイジングケアにもなる最旬美容液
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