動画生成AI「Sora」のコンシューマー向けアプリおよびAPIの提供終了に伴い、同アプリの開発責任者を務めたリサーチサイエンティストのビル・ピーブルズ氏も退社を発表。退社日に「(Soraの)ローンチ前後、幾度となく不眠不休の日々を耐え抜いた開発チームを誇りに思います」とX投稿しています。

また、企業間取引(B2B)アプリケーション部門の最高技術責任者(CTO)を務めたスリニバス・ナラヤナン氏もリンクトインで退社を発表しました。

内情に詳しい関係者によれば、部門の削減や統合を要因とするワイル氏やピーブルズ氏のケースとは異なり、ナラヤナン氏の退社は家族との時間を増やすための自己都合的な退社とのこと。

OpenAIの「上場請負人」アプリ部門CEOが突然の療養休暇入り。巨額のAIデータセンター投資に暗雲か | Business Insider Japan

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オープンAIは第4四半期(10〜12月)にも新規株式公開(IPO)に踏み切るべく準備を進めていると報じられており、アプリケーション部門最高経営責任者(CEO)のフィジー・シモ氏を中心に、収益体質の改善を目指して組織改編など「選択と集中」に取り組んでいる模様です。

3月下旬、Sora事業の終了を社内発表した際、シモ氏はこう発言しています。

「余計なことに気を取られてチャンスを逃すわけにはいかないのです。まずは生産性を向上させる必要があります。順番としてはビジネス向けが先で、次がコンシューマー向け。この優先順位に従う限り、他のすべては後回しにせざるを得ません」

さて、本日のトップストーリーは株式市場の動向がテーマ。

イラン戦争と原油価格の高止まりが相変わらず投資家の最大の関心事ではありますが、決算発表シーズンを前にマグニフィセント・セブンのように安定度の高い実績のある銘柄が注目される一方で、その背後で新たな事業機会を生み出しつつある中小型株の株価も密かに伸びている、という話です。

「隠れたクオリティコンパウンダー」3銘柄イラン戦争開戦後の株式市場は強靭な回復力を示しつつも、不透明感は払拭できない状況が続く。3月末、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の様子。イラン戦争開戦後の株式市場は強靭な回復力を示しつつも、不透明感は払拭できない状況が続く。3月末、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の様子。Anthony Behar/Sipa USA via Reuters Connect

S&P500種株価指数はついにイラン戦争開戦前の水準を回復し、1月下旬に記録した史上最高値を更新するに至りました。

直近1年間(4月16日終値時点)のパフォーマンスは33.3%上昇。ロシア・ウクライナ戦争の長期化、トランプ関税、イラン・イスラエル(12日間)戦争、さらにはイラン戦争と、リスクオフ要因のオンパレードの中でこの数字はむしろ奇跡ではないでしょうか。

大型株の動向を示すS&P500種だけでなく、景気に敏感な小型株で構成されるラッセル2000種指数も見てみると、直近1年間のパフォーマンスは44.6%上昇。やはり驚異的な上げ幅です。

AI革命の加速によるテクノロジー銘柄の業績好調や米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測など、株価の押し上げ要因は諸々あって、それが「トランプはいつもビビって逃げる(TACO=Trump Always Chickens Out)」無難さのおかげで温存され、主要指数の堅調さを支えているのかもしれません。

アマゾン創業者も60歳を過ぎて夢中になる「製造業+AI」その可能性 | Business Insider Japan

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さて、それでは同期間に95%上昇したファンドがあるとすれば、どんな投資戦略を思い浮かべますか。中東情勢の不安定化と原油価格の上昇に賭け、エネルギーやコモディティに相応のリスクマネーを投じたに違いない。そう考えるのが妥当なくらいに際立った運用成績と言えます。

ご推察の通り、これは「もしあるとすれば」の数字ではなく、実際に「ニーダム・アグレッシブ・グロース・ファンド(Needham Aggressive Growth Fund)」が記録した直近1年間のリターンです。

同ファンドの採用する投資戦略は、原油価格上昇への一点張りではありません。

投資信託評価機関モーニングスター(Morningstar)のデータによれば、保有銘柄は一般投資家にとって馴染みの薄い名前ばかり。しかし、そのように注目を集めていない銘柄や事業領域に注目することこそが、運用責任者を務めるジョン・バー氏の投資フィロソフィーの核心なのです。

ビジネスインサイダーで米国株式市場の取材を担当するウィリアム・エドワーズ記者に対し、バー氏は保有銘柄の特性を「隠れたクオリティコンパウンダー」という表現を使って説明しています

「クオリティ」はよく知られる通り、安定的に利益を生み出し、健全な財務体質を有する銘柄(企業)。「コンパウンダー」は複利的成長、つまりは生み出した利益を再投資してオーガニックな成長を実現できる銘柄。

そして、それらに係る「隠れた」の意味が最も重要で、すでに堅固なビジネスモデルを有しながら、全く新たな収益源(の成長)に投資しているため、市場の理解が追いついていない状態を指します。

未開発の収入源に対する投資はキャッシュフローを圧迫するので、利益成長フェーズに移行するまで、投資家の目には魅力に乏しく映るでしょう。バー氏はそれを踏まえて、次のように投資戦略を説明しています。

「(再投資により)財務状況はどうしても損益分岐点付近になってしまうため、バリュー戦略、グロース戦略、いずれを採用する投資家にとっても魅力的な銘柄にはなり得ないわけです」

「当ファンドでは、投資した新規事業が利益に貢献し始めるのは1年後、2年後、あるいは5年後と想定しており、そのため10年程度の長期保有を前提としています」

ビジネスインサイダーの読者向けに、バー氏は運用を担当するニーダム・アグレッシブ・グロース・ファンドの保有銘柄の中から、「今後1年間で」アウトパフォームが期待される3銘柄を選りすぐって紹介してくれました。

⚡️エヌライト(nLIGHT)エヌライト(nLIGHT)の直近1年間の株価推移。エヌライト(nLIGHT)の直近1年間の株価推移。Markets Insider

半導体レーザーおよびファイバーレーザーシステムを開発。無人航空機(UAV)技術の脅威に対抗する目的、つまりはドローン撃墜を目的とする防衛分野での需要拡大が想定される。直近12カ月間で896%の上昇を記録した。

⚡️バイコー(Vicor)バイコー(Vicor)の直近1年間の株価推移。バイコー(Vicor)の直近1年間の株価推移。Markets Insider

モジュール型高効率電圧変換コンポーネント(コンバータ)を開発。ハイパースケーラーが運営するAIデータセンターでの需要拡大。

⚡️テトラ・テクノロジーズ(Tetra Technologies)テトラ・テクノロジーズ(Tetra Technologies)の直近1年間の株価推移。テトラ・テクノロジーズ(Tetra Technologies)の直近1年間の株価推移。Markets Insider

コアビジネスは石油・天然ガス開発企業向けに水圧破砕(化学物質を含む水を超高圧で注入して地層を破壊)プロセスをサポートする水管理サービス。新たな事業領域として、シェールオイル・ガスの主要産地であるパーミアン盆地に進出するデータセンター向け水処理ソリューションに注力。

なお、モーニングスターのデータによれば、ニーダム・アグレッシブ・グロース・ファンドのリターンは年初来27%、直近5年間では18%。小型グロース株カテゴリー内の百分率順位はいずれも1位、すなわち他の99%のファンドを上回る運用成績を残しています。

SpaceXの巨大IPOで株式市場に起きる「評価額より意味深い」3つの変化。すでに株価急騰の業界も… | Business Insider Japan

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今週の勝ち組と負け組

勝ち組:先週末のカッティングエッジでも取り上げたフットウェアブランド、オールバーズ(Allbirds)の株価急騰。フットウェア事業を売却する一方、転換社債を発行して5000万ドルを調達。GPU(画像処理ユニット)を購入し、計算処理能力を必要とする企業にレンタルするのだとか。

4月15日水曜日に上記のピボットを発表。取引時間中に一時876%まで上昇、その後反落して、金曜日の取引を334%高で終えています。

オールバーズ(Allbirds)の直近の株価推移。オールバーズ(Allbirds)の直近の株価推移。Joe Ciolli; Business Insider

負け組:オランダの半導体製造装置大手ASMLは4月15日に、台湾の半導体受託製造大手TSMC(台湾積体電路製造)は4月16日に、それぞれ第1四半期(1〜3月)決算を発表。

いずれも堅調な内容でしたが、株価はそれぞれの決算発表直後にASMLが5%、TSMCが3%下落しました(終値ベース)。

ASMLの直近の株価推移。ASMLの直近の株価推移。Markets InsiderTSMC(台湾積体電路製造)の直近の株価推移。TSMC(台湾積体電路製造)の直近の株価推移。Markets Insiderこの動きに注目ビジネスインサイダー主催のカンファレンス「ロングプレイ」でのアンケート結果。ビジネスインサイダー主催のカンファレンス「ロングプレイ」でのアンケート結果。Business Insider’s San Francisco event, The Long Play

新たな時代のキャリアとスキル、リーダーシップをテーマに、ビジネスインサイダーが4月14日に開催したカンファレンス「ロングプレイ」で、米国編集部のキム・ラスト記者が壇上から来場者に質問を投げかける形でアンケート調査を行いました。

「AIモデルが出力した回答をダブルチェック(他のソースと照合して確認)しますか?するとすれば、どのくらいの頻度で?」

来場者がその場でアンケートアプリを使って回答した結果が下のチャートです。AIに全幅の信頼を寄せて、ほぼあるいはまったく確認しない人たちも1割ほどいるようです……。

※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。

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