【カトマンズNepali Times=スディクシャ・トゥラダル】
新型コロナウイルス禍で高級美容製品の販売店が相次いで閉店するなか、ネパールでは2人の若い女性が、主に国産の天然成分を使い、自国の肌質に合ったスキンケア・ヘアケアブランドの立ち上げに挑んだ。薬用植物の豊かさを生かしたその試みは、美のあり方だけでなく、女性の起業や雇用創出の可能性も広げようとしている。
Photo: KUNDA DIXIT
アルシュリー・シャルマ・カティワダとメガ・アガルワルは、かつて学校の同級生だった。その後、それぞれ海外へ留学したが、帰国後、アーユルヴェーダに基づく化粧品について1年にわたる本格的な研究を重ね、「アヴァニ・ネパール(Avani Nepal)」を立ち上げた。サンスクリット語で「アヴァニ」は「大地」を意味する。その名の通り、天然で純粋、かつ本物志向の美容製品を届けることを理念としている。
共同創業者のカティワダは、「ネパールの化粧品市場には需要がある一方で、それを満たす製品が十分ではないと感じました。そこで、これまで十分に活用されてこなかったヒマラヤ産の天然ハーブを使ったブランドを立ち上げることにしたのです」と語る。
ネパールは、薬用植物や治療効果を持つ植物の宝庫である。伝説によれば、戦いで傷ついたラーマの命を救う希少な薬草を探すため、ハヌマーンはスリランカからヒマラヤまで飛んだという。だが、目的の草を見つけられなかったため、山そのものを引きちぎって運んできたとされる。
Nepali Times
ネパールには、ヤルサグンバやジャタマンシをはじめ、アーユルヴェーダで伝統的に用いられてきた植物や、近年ウェルネス産業でも注目される植物が500種以上ある。アヴァニも、ハイビスカスやヒマラヤ産の蜂蜜、そのほかの植物を使った製品開発を進めており、将来的には輸出拡大も視野に入れている。
ネパールで事業を営むことは決して容易ではない。とりわけ、地元で生産される小規模な手作り製品であればなおさらである。それでもアヴァニは、創業からわずか数年で忠実な顧客基盤を築き、多くのリピーターを獲得してきた。カティワダは「当初は難しい面もありましたが、高品質の原料を使い、手ごろな価格帯で製品を届けるという方針を貫きました」と振り返る。
世界的な潮流を受け、韓国の化粧品ブランドの手法も取り入れながら、アヴァニはTikTok、Facebook、YouTubeを通じて著名人やインフルエンサーを起用し、認知拡大を図ってきた。女優のバルシャ・シワコティやシルパ・マスケイ、メイクアップアーティストのレミらも、同社製品に好意的な評価を寄せている。
持続可能性も、このブランドの大きな柱である。アヴァニは全製品にガラス瓶、段ボール箱、紙袋を採用している。プラスチックの使用は最小限に抑え、使用する場合も再生素材を用いている。
カティワダは「持続可能なブランドは高価だと思われがちですが、私たちはその思い込みを打ち破りたいのです」と語る。「環境に配慮し、倫理的に調達された原料を使うことを重視しています。しかも、パラベン不使用、シリコン不使用、動物実験も行っていません。」
アヴァニは事業をさらに広げ、ネパールの観光・ウェルネス産業への足がかりも築いている。同社製品は、カトマンズやポカラの主要ホテルやリゾートに併設されたスパでも取り扱われており、The Terraces、Marriott、Kavya Resortのほか、ポカラのHideaway Resortとも協議を進めている。
当初10品目で始まったこのスキンケア・ヘアケアブランドは、いまでは60品目にまで拡大し、カトマンズ市内の100店舗以上で販売されている。今後はインド、中国、さらに日本市場への進出も計画しており、日本ではオカダとの提携が構想されている。
アヴァニ・ネパールの創業者たちは、雇用と研修の機会を通じて女性のエンパワーメントにも力を入れている。カティワダ自身も、ネパール女性商工会議所やネパール青年起業家フォーラムなどの団体で活動してきた。
政府による税負担の軽減などの追加支援は確かに助けになっているが、輸出に関する指導や、そのほかの事業規制に関する支援も同じくらい重要である。そうした環境が整えば、仕事や留学のため国外へ流出しがちな若者たちにも、新たな機会が開かれるだろう。
カティワダはこう語る。「誰もが海外を目指そうとしているなかでも、政府の十分な支援があれば、ネパール国内で機会を生み出すことはできます。私たちは目先ではなく、長期的な価値を見据えています。ネパールの化粧品ブランドの礎を築きたいのです。」(原文へ)
Original URL: https://nepalitimes.com/multimedia/redefining-the-criteria-for-beauty
INPS Japan
関連記事:
才能の浪費:タリバンの制約下で「適応」を迫られるアフガンの高学歴女性たち

WACOCA: People, Life, Style.