イスラエルと米国のイラン攻撃に端を発した世界的な原油高の影響で、関連産業での物価高も急激に進んでいる。
感度の高い不動産投資家であれば、リスクヘッジのための原油投資について考えたことだろう。

そこで今回は、WTI原油価格連動型上場投信(銘柄コード:1671)を紹介する。

原油価格の動向は生活に直結している原油価格の動向は生活に直結している

WTIとはWest Texas Intermediateの略で、米国テキサス州沿岸部で産出される原油の総称で、世界の原油価格の指標として広く使われている。ニュースで「原油価格が1バレル〇〇ドル」と報じられる際の多くはこのWTI価格を指している。

WTI原油価格連動型上場投信(1671)は、シンプレクス・アセット・マネジメントが運用するETF(上場投資信託)で、国内では老舗の商品コモディティ系ETFのひとつである。

その目的はシンプルで、「円換算したWTI原油先物の直近限月の清算値」に連動する投資成果を目指すものだ。証券会社の口座があれば1口単位から売買でき、特別な商品先物口座を開設する必要がないため、比較的気軽に始めることができる。

一方、このETFは原油そのものではなく、原油先物を投資対象としている点には注意が必要だ。
また、ETFの取引価格は市場の需給関係によって形成されるため、WTIと完全に一致した推移とならず、一般的に乖離が生じる点も了知しておく必要があるだろう。

【押さえておきたい基本用語】
◉ 限月(げんげつ)
原油先物は、「将来、〇月に原油を売買する契約」を取引対象としており、例えば5月に受け渡しをする契約であれば、「5月限(ごがつぎり)」などという。
◉ ロールオーバー
たとえば、「5月の原油を買う権利」を買っていた場合、5月になってその権利の期限が切れる際に、今度は「6月の原油を買う権利」に買い替える必要がある。これをロールオーバーという。
◉ コンタンゴ
期近(近い限月)の価格より期先(遠い限月)の価格が高い状態を「コンタンゴ」という。原油の保管コストや将来の需要増への期待などが要因となることが多い。コンタンゴの状態ではロールオーバーのたびにコストが発生しやすい。
◉ バックワーデーション
コンタンゴとは逆に、期近の価格が期先の価格より高い状態を「バックワーデーション」という。供給逼迫や地政学リスクによる「今すぐ原油が必要」という需要が高まった際に起きやすい。バックワーデーションの状態ではロールオーバー時に利益が生じやすい。

直近2ヶ月間の値動き(出典:SBI証券HP)直近2ヶ月間の値動き(出典:SBI証券HP)

【投資のメリットについて】
・原油値上がりのリスクヘッジとなる。
原油価格に連動するため、燃料価格の値上がりの際のリスクヘッジが出来る。
・価格上昇局面では大きな利益となる。
価格変動幅が大きく、上昇局面では大きな利益を得られる可能性がある。
・少額から取引が可能。
1口から取引可能なため、数千円から始められる。

【投資のデメリットについて】
・ロールオーバーコストがかかる。
例えば、「5月限」と「6月限」を比較した場合、保管費や倉庫代などがかかることなどにより将来の限月の価格が高くなる傾向がある。

つまりコンタンゴが発生し、月替りの都度、コストが発生する可能性が高い。
相場によってはバックワーデーションが発生することもあるが、圧倒的にコンタンゴが発生する場合が多い。
このため、長く持てば持つほどロールオーバーコストがかかることとなるため、長期投資には向かない商品であるといわれている。

・価格下落局面では大きな損失が発生する可能性がある。
メリットの裏返しであるが、価格変動幅が大きいため、下落局面では大きな損失が発生する可能性がある。
・為替リスクがある。
WTIはドルベースであるため、為替リスクがある。

リスクが高い商品ではあるが、今後のインフレリスクのヘッジのために自身のポートフォリオの一部に入れることを検討しても良いかもしれない。

★ 過去の「不動産投資家の余剰資金運用法」シリーズはこちら

※ 本シリーズでは投資商品について紹介していきますが、投資は自己責任で行なって頂くようお願いします。


執筆:秋元 美信(あきもと よしのぶ)


秋元 美信


■ 主な経歴

金融機関や外資系コンサルティングファームを経て、現在、国内大手銀行に勤務。
兼業で資金調達などのコンサルティング事業も営みつつ、不動産投資や事業経営に役立つ情報を中心に発信している。
中小企業診断士、認定経営革新等支援機関、2級ファイナンシャルプランニング技能士


■ 主な著書



中小企業のための補助金・助成金徹底活用ガイド2025年版(株式会社 同友館):共著


金融庁「業種別支援の着眼点」を活用した本業支援マスター講座(株式会社 近代セールス社):共著

WACOCA: People, Life, Style.