19Apr2026

2027年度の次期介護保険制度改革を巡り、現在は無料のケアプラン(介護計画)作成等のケアマネジメントについて、厚生労働省は住宅型有料老人ホーム等の入居者に自己負担を求める方針を打ち出した。18年度に財務省が有料化を提唱して以降、判断を避け続けてきた厚労省だが、今回は介護サービス利用時の自己負担割合が2割となる対象者の拡大を又先送りした負い目も有り、財務省の攻勢を躱せなかった様だ。
ケアマネジャーによるケアプランの作成費は、介護保険制度発足以来全額保険給付され、利用者の自己負担はゼロだ。介護給付費の増大に伴って18年度以降は3年に1度の制度改革の度に有料化が取り沙汰されてきた。しかし、ケアプランの作成は介護サービスを利用する際の「入り口」でもある。1割負担でも支払いは1人当たり1000円以上と見られ、有料化については議論の都度「サービス利用の手控えに繋がる」「利用手控えが要介護度の重度化を招き、結局は給付増になる」との意見が勝り、先送りが続いてきた。
しかし、介護保険の費用は年々増え、23年度の給付費は10兆8263億円と過去最高を更新した。金額が介護保険制度発足時の約3・3倍に膨らむ中、今回は厚労省も「年貢の納め時」(財務省幹部)となり、追い込まれた挙げ句、ケアプランの有料化案として①全ての介護サービス利用者が所得に応じて負担する、②住宅型有料老人ホームの入居者を対象とする、③給付管理業務の実費相当分を徴収する——との3案を示していた。
この内、本命案として残ったのは②で、有料化される見込みなのは、住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅だ。何故、これ等の施設がターゲットとされたのか。その理由について厚労省は、現在も特別養護老人ホーム等の介護施設では施設サービスの利用契約にケアマネジメントが含まれ、入居者はケアマネジメント費も含めて契約料を支払っている事を挙げる。住宅型有料老人ホーム等は制度上「自宅」扱いだが、実態は入居介護施設同様の運営が多いとして「公平性の観点」を持ち出したのだ。
ケアマネジメントの有料化については、日頃厚労省と二人三脚で政策を進める自民党厚労族の1人も「これはアウト。介護保険サービスの利用を我慢する人が増えてしまう。それが財務省の本音かも知れないが、やってはいけない政策だ」と批判する。
有料老人ホームを巡っては、介護サービスを望む入居者に系列の介護事業所を使わせ過剰なサービスを提供する、入居者の「囲い込み」が問題化している。厚労省はこの問題にメスを入れようとしている。それにも拘わらず、系列業者のケアマネジャーによるケアマネジメントを有料化するなら、国が「囲い込み」を助長する事にもなり兼ねない。社会保障審議会介護保険部会のメンバーの1人はこうした点を指摘した上で、「公平性を言うなら、一般の自宅に住む人は引き続きケアマネジメントが無料なのに、施設の人は有料となる。住む場所で負担が変わるなんて、こちらの方が不公平だ」と切り捨てる。
ケアマネジメントの有料化で浮く費用は小さいと見られ、約11兆円に及ぶ給付費全体から見た抑制効果は限定的だ。「公平性」を理由に「何れ全利用者に負担を求める様になる」(厚労族)可能性は高い。黙りを決め込む厚労省幹部に代わり、元同省老健局幹部のOBは後輩達の心情を推測する。「2割負担の対象者拡大が間に合わず、27年度改革に盛り込めるか分からない。現時点で唯一の給付抑制策と言えるのがケアマネジメントの有料化で、これだけは引っ込める訳には行かなかったのだろう」。
6時間前の投稿 2026年4月4日コメント60
WACOCA: People, Life, Style.