妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』
昨今広く知られるようになってきた「香害」。日本消費者連盟の洗剤部会によると、柔軟剤、消臭除菌スプレー、制汗剤、芳香剤、合成洗剤などの強い香りを伴う製品による健康被害のことを指すという。なお、体臭そのものは含まれない。
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香りを長く持続させる技術が急激に広がったのは、ここ数年のことだ。敏感な人は、自身ではなく周囲で香りが発せられるたびに、密かに頭痛や吐き気などの体調不良を訴えている。
日本臨床環境医学会と室内環境学会が2024年度に実施した「子どもの『香害』と環境過敏症状に関する全国調査の中間報告」によると、香害による体調不良の経験がある小中学生は10.1%に上るという。想像よりも大きな数字に驚かされる。
今回お話を聞いたのは、そんな香害を気づかぬうちに撒き散らしていたと話す男性だ。 河野幹彦さん(仮名・50歳)は、40歳になった頃から体臭が気になり始めたという。
「自分自身、若い頃に歳の離れた親や上司と接するなかで加齢臭を感じることがありましたから、僕自身も気をつけなくてはと思っていました。きっかけはよくあるもので…私、そんなに臭うんでしょうか…」
以来、ニオイに悩むようになったと話す。
「それでも妻と一緒に暮らしているときは、忌憚なき意見を聞くことができたんですが、単身赴任になってからは誰にも確認できなくて……。当初こそ妻の勧めで無香料の洗剤を使っていましたが、それだけではまずいのではないかと、どんどん香りを重ねていってしまったんです」
柔軟剤やビーズ状のアイテムに限らず、消臭スプレー、シャンプーやボディソープに至るまで、香りにこだわるようになったそうだ。
「当初こそ香りがキツイなと思ったんですけど、だんだん慣れていってしまったんですよね。むしろ足りないと思うようになっていってしまって……」
ある日、一番付き合いの長い女性社員から一言、声をかけられた。
—言いにくいんだけど、ちょっとニオイが……。
「僕はハッとしました。そんなはずない! ここまで気を使っているのにニオイがするはずがない! と……。ところが」
—違う、違う。逆にその強すぎる香りで、体調不良になっている人がいるのよ。
平塚氏はこう解説する。
「日常でもすれ違っただけですごい香りがすることありますよね。むせるほど強い香りが毎日隣の席からしたら?困るのも無理はありません」
「びっくりしました。いい香りが『クサイ』認定されてしまうって、どういうこと? って……」
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※本記事で使用している写真はイメージです。
【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】矢口頼子 PHOTO:Getty Images 【出典】日本臨床環境医学会と室内環境学会が2024年度に実施した「子どもの『香害』と環境過敏症状に関する全国調査の中間報告」
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