永作博美
個人的には永作博美と松山ケンイチの恋愛展開はいらないと思うのだが……。永作が主演、松山が準主役を務める火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』(TBS系)が4月7日(火)にスタートした。
待山みなと(永作)は、14年前に事故で夫を亡くしたシングルマザー。持ち前の明るさで一人息子を育ててきたが、最愛の息子が社会人となり家を出たことをきっかけに、3カ月で鮨職人になれる「鮨アカデミー」に飛び込むことに。そして「鮨アカデミー」の堅物講師・大江戸海弥(松山)や生徒たちと出会い、“自分のため” に生きる一歩を踏み出していくという物語だ。
■映画『人のセックスを笑うな』(2008年)で共演
永作が生徒役、松山が先生役という関係性なのだが、実は2人が18年前にダブル主演した映画では立場が逆で、永作が39歳の美術学校の先生役、松山が19歳の生徒役だった。
その前共演作とは、2008年の映画『人のセックスを笑うな』。タイトルからして刺激的だが、ストーリーも男子生徒がかなり年上の既婚の先生に恋をするという内容で、2人が体の関係を持つという不倫展開だ。
ストレートな “本番” シーンはないものの、行為前後のやりとりはたびたび描かれ、下着姿の先生が裸の生徒に何度も何度も激しくキスをするシーンなど、かなり生々しかった。
そんな濃厚なラブシーンを演じていた2人の再共演ということでも注目を集めた『時すでにおスシ!?』。初回の段階では永作演じるみなとと松山演じる大江戸が恋愛関係になるような気配はない。
けれど、公式サイトでは《笑いあり! ロマンスあり! おスシあり! の 人生応援ドラマ!》と謳われており、ロマンス=恋愛の要素もウリにしてることがわかる。
また、公式サイトに松山が寄せたコメントには《前回の共演から18年たち、環境が変わった今、また永作さんとご一緒できることが本当に楽しみです。前作でもロマンスの要素がありましたが、今回2人の関係がどうなっていくのか・・・・・・》と意味深発言。
松山は制作発表に登壇した際も、「僕のなかでは、そこから(大江戸とみなとの)恋が芽生えたらいいなと思っているんですよね」と語るなど、劇中の2人が恋愛関係になることを望んでいるような発言もしていた。
■恋愛至上主義のプロパガンダになってしまう?
永作と松山の恋愛展開やラブシーンがあるかどうかはわからないが、筆者はこのドラマに恋愛要素は不要派。2人のラブシーンを見たくないわけではないものの、本作のテーマに対して、恋愛至上主義の押しつけになりかねないと感じたからだ。
本作は子育てを終えた女性が、それまで子どものために費やしてきた時間を、これからは再び自分のために使って “第2の人生” を歩み始める姿を描いている。
もちろん人生をリスタートする一般の女性はいくらでも恋愛したっていい。しかし、テレビで放送するドラマは影響力が大きいため、“第2の人生” をテーマにした物語の主人公が恋愛して幸せを手に入れるという展開になると、恋愛至上主義のプロパガンダ的な意味合いが出てきてしまうのではないか。
恋愛は人生にマストな要素ではないのに、何百万人が視聴しているドラマで主人公と準主役の男女が恋仲になると、「恋愛はしたほうがいい!」という旧態依然とした価値観の押しつけになりかねないと危惧している。
筆者は恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーという肩書きで活動しているが、恋愛至上主義者ではないので、恋愛なんてしてもしなくてもどちらでもいいと思っている。恋愛をしないと人生が豊かにならないとも思わないし、恋愛をしていない人が不幸だとも思わないのだ。
■恋愛ものが多い火曜ドラマでも恋愛しなくていい
本作が放送されているTBS系の火曜ドラマは、2016年に社会現象を巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』や、昨年10月期にバズりまくった『じゃあ、あんたが作ってみろよ』を放送した枠のため、恋愛ドラマがかなり多いのは事実。
ただ、昨年4月期の『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』は、恋愛要素がほとんどない社会派コメディとして良作だった。『時すでにおスシ!?』も『対岸の家事』にならって、ノイズになりかねない恋愛要素を極力排除したほうが、社会派作品として高評価を得られるのではないか。
みなとと大江戸の恋愛展開にならないことを願いつつ、今後のストーリーを見守っていきたい。第2話は今夜放送だ。