妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」によれば、正社員向けにOff-JT(職場外研修)または自己啓発支援に支出した企業54.9%にのぼる。しかし、いかに研修体制を整えても、職場に入ってはじめて露わになる問題を抱えた新入社員が現れることがある。教育担当者を困惑させるのは、業務スキル以前の問題だという。

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「社会に出るにあたって必要な基本的なマナーや礼儀が身についていない若者がいるという声は、多くの企業から聞かれます。これは幼少期から適切なフィードバックを受けてこなかった可能性も考えられます。教育係の社員が疲弊し、早期に役職を降りてしまうケースも少なくありません」

こう語るのは、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏だ。

宮崎心さん(仮名・42歳)は今年、新人の教育係に任命された。入社から10日。本を読んだり上司に教育のコツを聞いたりと、万全の準備で臨んだが、そんなこと以前の問題が立て続けに起きていると言う。

「せっかくだから楽しく仕事ができればいいなと思っていろいろ準備したんですが…もう挫けそうです。というか正直、すごいなって思って見てます」

観察対象は「Bくん」という男性新入社員だ。入社式の日から、その片鱗を見せていた。

「入社式からこっくりこっくり船を漕いでいて、先が思いやられるな…と思っていたんですが…」

それでも、仕事を覚えてくれさえすれば、と心さんは大きく構えていた。先週の木曜日までは。

「Bくんはひとりでランチに出かけました。『みんなとずっと一緒はツラいんすよね』と言っていて『わかる、わかる。ゆっくりしておいで〜』と12時に送り出したんですけど…」

時計の針が13時を過ぎてもBくんは戻らない。5分、10分が過ぎ、電話をかけるも出ない。事故にでも遭ったのかと心配が上回り始め、上司に報告して会社周辺を探し回ったそう。

「同期の女性新入社員もソワソワし始めた頃。Bくんが戻ってきたんです。時計は14時を指していました。会社を出てから2時間が経過していたことになります」

ー何があったの?大丈夫? 

ーあー。『ゆっくりしておいで』って言われたんで〜。

「ゆっくりしておいでとは言ったけど…休憩は1時間だよ。もう2時間経っているけど…」伝えると、Bくんはもう一度こう答えたそう。

ーあー。だからゆっくりコーヒー飲もうと思って…。

謝らない。謝るよう促しても、微動だにしない。罪悪感も、焦りも、微塵もない。

「こういうとき、なんて言うんだっけ?」と問いかけると、Bくんからは驚きの返答が。

ーこれから何の業務しますか?とかですか?

謝罪を求めても「次の業務は何か」の返答。心さんはしばらくの間、自分がいったい何を聞いていたのかさえ、わからなくなったそう。

「もう業務ではなく、これは子守り…ですよね」

しかし翌日、Bくんはさらにとんでもない格好で会社に現れることになる。

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】 悠木律   PHOTO:Getty Images【出典】厚生労働省が令和4年に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」

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