「学童保育は、子どもたちが『ただいま!』と帰ってくる第2の家」
「学童保育は第2の家」と言われます。温かで安心できて、自分を出せてくつろげる場所。しかし、現在、その第2の家の柱として支え、子どもを守る、成長を支えるはずの「先生(支援員)」たちが、かつてないほど疲弊し、孤独な戦いを強いられていることをご存知でしょうか?
はじめまして、保育士/放課後児童支援員の鍋倉 功(なべくら いさお)と申します。
私はこれまで20年以上にわたり、保育園や学童保育(放課後児童クラブ)の現場で子どもたちや保護者さんたちと、また、研修会や学習会の場で、学童保育の支援員さん(以下、支援員)たちと関わり、様々な話を聞いてきました。
その中で確信していることがあります。それは、「子どもを支える大人に余裕がなければ、子どもの権利は守れない」ということです。
▼学童保育の現場で起きている危機
現在、学童保育所の在籍児童数は増加の一途をたどっており、過去最高を更新し続けています。それに伴って大規模化が進み、狭い施設の中に多くの子どもたちが足の踏み場もないくらいひしめき合っているような状況が少なからずあります。
私が働き始めた頃は、子どもが100人もいれば凄く多いと感じていましたが、今や200人…300人…なかには500人規模の学童保育所もあるのです。決して十分とは言えない人員配置で大規模化が進む中では、支援員は「ケガやトラブルがないように見守る」だけで精一杯になっています。

加えて、個別で丁寧な支援や配慮が必要な子どもも少なからず在籍しています。特に(診断がついてないけれども)「気になる子ども」に対しては、加配支援員を配置する予算も出ません。
大規模で手狭、人員が十分でない上に、特に小学校の空き教室(中には調理室や図書室も)等が毎日の生活の場となっている学童保育所では、とりわけ丁寧な支援や配慮が必要な子どもも含めた、子どもたちの個々のニーズに応じた空間を設定する(分割する)ことは困難を極め、支援員は対応に非常に苦慮しています。
さらには、そのような支援員の苦労や苦慮を、受け止め、理解し、共に考え、改善していこうとしてくれる伴走者(同僚や運営主体等)が決して多くはないことがますます支援員に追い打ちをかけています。

上記のような状況の中で、支援員は理想と現実のギャップにだんだんと打ちひしがれていきます。
おそらく、もともとは「子どもが好き」「子どものために何か自分にできることがあれば…」と、学童保育の仕事に就いたはずの先生方。「もっと一人ひとりに寄り添いたいのに…」と思っている先生方。「決して待遇はよくなくても、子どもの笑顔と成長・発達を支える自分の仕事に誇りを持って」働き続けている先生方。そんな先生方も、そのような状況の中では「せめて安全でケガやトラブルがないように見守る」ことが最優先事項となってしまい、そのためには「がんじがらめのルール」できつく縛らざるをえません。(もしくは、心と身体をすり減らして、あるいは子どもにとっていい学童保育にしてあげられない葛藤にさいなまれて退職してしまうか…)

「本当は子どもたちとゆったり丁寧に関わって、穏やかに笑顔で過ごしたい…」そう願ってはいても、現実は「目の前の子どもの姿や背景にある思い」ではなく「『ケガ』や『トラブル』」ばかりを注視して、ずっとしたくもないしかめっつらをしながら、子ども同士のトラブルが起きたり、ケガにつながったりしないように注意や叱責ばかりになってしまわざるを得なくなるのです。

そのような状況の中では、どれだけ「放課後児童クラブ運営指針」(以下、運営指針)の内容や「学童保育の在り方」「子どもの権利条約」等について話したとしても…「がんじがらめのルールでは子どもは育たない」「ひとりひとりの声や思いに耳を傾けて丁寧な保育を」「子どもの意見表明権が大切」「子どもたちとルールをつくっていきましょう」なんて話したとしても…目の前の現実とのギャップ、あるいは「できない」痛みから自分を守るために「もっと現実を見てほしい」「理想はそうでも現実は違うよね」「子どもの権利の前に私たちの権利も保障してほしいよね」と突き放してしまわざるを得ないのです。
先生方のそんな「心の余裕」の喪失が、結果的に「第2の家」から想像する温かで安心できる雰囲気とはかけ離れた学童保育所を生み出し、子どもたちの不利益につながってしまっている。
これが、今の学童保育が直面している深刻な危機です。
▼「なぜ今「VIVA」が必要なのか」
制度や施設、設備の改善には時間もお金もかかりますし、一個人や小さな組織で簡単にどうこうできることではありません。では、どんなことなら今すぐに始められて「心の余裕」を生み出せるのか。
支援員さんは、不満やモヤモヤを抱えながら孤独なたたかいを強いられ孤軍奮闘しています。不満やモヤモヤをはちっとも解消されないままに溜め込むばかりで、身体も心もどんどんすり減らしているのです。そんな身体や心を回復させる場とつながりが必要不可欠です。

例え困難な状況が目の前にあったとしても、支援員同士がつながり、苦労や悩みを分かち合うこと。そして、保育を学び合い、未来を語り合うこと。そのことによりレジリエンス(回復力)が発揮され、子どもへの思いを取り戻し、明日の保育へのやる気や元気、勇気が湧いてきて、子どもの最善の利益=子どもにとっていちばんいい学童保育所を少しずつでも増やしていくことができる。
そう確信し、支援員が肩の力を抜いて集い、共に成長し合えるプラットフォーム「VIVA」(=び場)を立ち上げることにしました。

VIVAが提供するのは、以下の3つの場です。
・「たまり場」
地域や全国の支援員仲間と、日々の苦労や悩み、モヤモヤ、しんどさを吐露し合ったりアドバイスをし合ったりすると同時に、様々な環境の中でお互いが「試行錯誤中」や「失敗した/うまくいった」取り組みや活動等を伝え合い、「癒し」や「希望」を生み出すオンライン/オフラインサロンや学習会等の運営。(福岡県内[北九州市近辺]とオンラインで開催)
・「まなび場」
「子どもの権利」「児童期の子どもの発達」「遊びの理論」「発達障がいのある子の理解と支援」「インクルーシブな保育実践」等、保育に必要な領域における専門家を招いて学ぶことで、今の自分や保育現場での課題に「道しるべ」をもたらすセミナー等の開催。(オンラインで開催)
・「あそび場」
支援員自身が「遊び」の楽しさを再発見し、童心にかえってリフレッシュしたり遊びの効用について体感できることで、「元気」や「やる気」を生み出すワークショップの開催。(支援員だけでなく、子どもや地域の方も参加して、地域の子どもと大人が遊び、関わるコミュニティの創造も含む。福岡県[北九州市近辺]で開催)
「VIVA」は、支援員に「癒し」「元気」「やる気」「希望」「道しるべ」を創り出し、「また明日から子どもたちのためにがんばろう!」と思える「心の充電スタンド」を目指します。
今回は、これらの活動スタートと2026年度(2026年4月~2027年3月)継続的に運営するためのオンライン/オフラインプラットフォーム構築費や、「あそび場」を届けるための遊具、備品費等を募らせていただきます。いただいたご支援は、機材、資材、備品等の購入費用、プラットフォーム作成、通信費、道具、素材等の購入と会場費、クラウドファンディング手数料として使用します。
★「あそび場」は2026年5月より月に1回程度開催予定です。4月中旬には日程を確定します。天災等やむを得ない事情により開催が困難なになった場合は延期します。
▼プロジェクトの展望・ビジョン
このプロジェクトの先にあるのは「すべての子どもたちが豊かに育つ社会」です。
私は目の前にいる子どもたちだけでなく、“すべての子どもたち”が豊かに育つ学童保育を、そして社会を目指したい。(「たまり場」「まなび場」「あそび場」は、学童保育の枠を越えて地域の中でも取り組みます。)

支援員が孤立せずに、つながり合い、支え合うと共に、学びを深めていければ、保育現場に余裕と希望が生まれます。その余裕と希望こそが、子どもたちの成長・発達を支え、子どもの権利を守る力にもなります。
このプロジェクトが始動することをご報告した支援員さんたちからは、既に次々と
「こういう場を待っていました」
「モヤモヤを抱えながら仕事をしています」
「孤独を抱えながら仕事をしています。こういう場があってくれて嬉しいです」
等のお声をいただいています。
一人でも多くの支援員に、そして、なによりもその先にいる数えきれないほどの子どもたちに光を届けるために、みなさまのお力添えをどうか、どうかよろしくお願い致します。
