こんにちは! 現役保育士のはるです。
保育園の見学や、年度はじめの説明会、おたよりなどで、最近「主体性保育」という言葉を耳にするようになったのではないでしょうか。
「うちは主体性保育を大事にしています」「主体性保育に取り組んでいます」私が勤める園でも、保育方針としてよくお伝えしている言葉です。「主体性を大切にする保育」という考え方自体は、実はずっと昔から保育の世界にはありました。
2008年の「保育所保育指針」の改定でも「主体的な活動」「主体的な生活」という表現が見られるようになり、この頃から、保育園でも「主体性を育む保育」という説明が多くなり、保護者向けにも使われるようになりました。2017年に「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」が改訂され、幼稚園・保育園・こども園の教育目標の共通化が進み、その中で「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「主体的に行動する力」が明記され、「主体性保育」という表現がより一般的になりました。
「主体性保育」が現場で浸透するようになったのはここ10年ほど。私が新卒で保育園に入社した時はほとんど聞いたことがありませんでした。
そもそも主体性保育って何?
主体性保育という言葉を聞いた保護者の方から、「主体性保育って、結局どういう保育なんですか?」「自由に好きなことをさせるってこと?」「なんでもしていいの?」という疑問もよく聞かれます。
「主体性保育」という言葉だけが先歩きして、中身についてはあまり説明されていないんですよね。私も主体性保育について学ぶことが増え、「自由」と「主体性」は違うということが理解できましたが、保育現場でもいまだに「主体性保育」の理解をはき違えている場合もあります。
・自由って、どこまで自由なの?
・やりたいことを全部やらせたら、秩序がなくなっちゃうんじゃないの?
・危険なことまで止めずにやらせるの?
そんな現場でも出てくる疑問についてまとめてみました!
主体性保育は「自由に何でもやっていい」ではない
まず、一番誤解されやすいのが「主体性保育=自由に何でもやっていい」というイメージです。
確かに、子どもたちが自分の好きなことを選べる時間はとても大事です。
でも、それは「何をしても許される」という意味では決してありません。
主体性保育とは、子どもたちの「やってみたい!」「こうしたい!」という気持ちを大切にしながら、その中でいろんな経験を積み重ねていく保育です。
その「やってみたい」を安全で安心な環境の中で実現できるように、大人がしっかりと環境を作る。ここがとても大事なポイントです。
主体性保育で秩序がなくなるのでは?
例えば、子ども同士が同じおもちゃを使いたくてケンカになったとき。
ただ自由にさせておくだけでは、トラブルはどんどん大きくなってしまいます。そこで「順番こだよ」と注意するのではなく、まず「どうしたい?」と聞く。この「どうしたい?」「どうすればいいかな?」という問いかけが主体性保育に大切な考えでもあります。
「貸してって言いたい」と子どもが答えたら、その言い方を一緒に練習したり、相手の気持ちも聞いてみたり。
こうしたやりとりを重ねることで、子どもたちは自分の思いを伝えながら、周りと折り合いをつける力を身につけていくのです。
私自身、主体性保育は「自由にさせる保育」というよりも、むしろ保育者の関わり方がすごく大事になる保育だと感じています。もちろん子どもの年齢や発達によって保育士の対応は変わってきますが、大人にしてみれば「順番だよ」「今使ってるって」と言うだけの方がどんなに楽か。
子どもの自由を担保しながら、場の秩序を保つ。それがで実現できる保育環境を整えていきたいと日々考えています。
わがままな子を容認するのか
主体性を育むことは、決してわがままを許すこととは違います。
とはいえ、主体性保育を長年経験してきた園長はよく「このくらいわがままに自分の意見を言えることって大事だし、言える環境を作ってあげることも大事」とよく話していました。
例えば今日は散歩に行く気分ではないときに、周りの子が準備をしているからイヤイヤながら集団の散歩の準備をするのではなく、保育士に「今日は散歩に行かないで、LEGOで遊んでいたい」と言える子を育てること。そして、その気持ちを「共感して受け止め」たうえで、「帰ってきたらLEGOができるように準備をしておこう」「周りの友だちは準備をして待っているからじゃあ早めに帰ってこようか」という、自由にさせるだけではなく、「相手の気持ちもあるんだよ」「こうしたらお互い気持ちがいいね」といったことを、大人が繰り返し伝えていきます。
私自身、主体性を育むことでむしろ子どもたちは「人の話を聞く力」や「自分の気持ちをコントロールする力」が育つと感じています。一方的に「こうしなさい」と言われるより、自分で選んだことには責任を持とうとするんですよね。
もちろん、言うことを聞かないように見える時期もあります。でもそれは、子どもが自分の考えを持ち始めた成長の証。そこを丁寧に支えていくのが、保育者の役割だと思っています。
幼保小の連携で見える「主体性保育」の小学校での弊害
