JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO。Leigh Vogel/Getty Images The Hill & Valley ForumJPモルガンは2026年4月1日、より多くの人が収入や生活水準を高められるよう支援するための取り組み「アメリカン・ドリーム・イニシアチブ」を開始した。この取り組みは、アメリカ人の資本主義への信頼が低下する中で打ち出されたものだ。JPモルガンはこれまでも、子どもの将来に向けた資産形成を支援する「トランプ・アカウント」など、アメリカ経済を後押しするさまざまな取り組みに投資してきた。
JPモルガン(JPMorgan)のジェイミー・ダイモン(Jamie Dimon)CEOは、多くのアメリカ人がその経済的な将来への期待を信じられなくなりつつある中で、自身の銀行にアメリカン・ドリームを立て直させようとしている。
JPモルガンは2026年4月1日、より良い生活に進む機会を広げるための大規模な取り組みを発表した。この「アメリカン・ドリーム・イニシアチブ(American Dream Initiative)」は、(1)中小企業の成長支援、(2)手の届く住宅の確保、(3)金融に関する知識の向上、(4)仕事に役立つ技能の習得、(5)医療、(6)学校や病院など地域の機関、という6つの分野に焦点を当てるものだ。
2025年に4300万ドル(約6億7000万円)の報酬を受け取ったダイモンCEOはアメリカの可能性に強気の見方を示しているが、多くのアメリカ人は、資本主義が今もきちんと機能しているのかについて、疑いを強めつつある。2026年9月のギャラップ(Gallup)の調査によると、資本主義を好意的に捉えているアメリカ人の割合は54%と過去最低となり、2021年の60%から低下した。
中小企業の経営者は、こうした経済的な圧迫を強く感じている層の一つだ。バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)の2026年11月の報告によると、中小企業および中堅企業の経営者の77%が、過去1年間でコストが上昇したと答えている。こうした状況を受け、JPモルガンは新たな取り組みの第一の対象として、まず中小企業の支援に力を入れるとしている。
「アメリカン・ドリーム・イニシアチブ」を通じて、JPモルガンは取引先となる中小企業を現在の700万社から1000万社へと拡大する方針だ。今後10年間で約800億ドル(約12兆4000億円)の融資を行う計画に加え、中小企業向けの銀行担当者やコンサルタントの増員も進めるとしている。一方で、その他の投資については具体的な金額は示されていない。発表によると、「医療を受けやすくするための取り組みを支援する」ほか、「数十万人規模の賃貸住宅居住者の住居費負担を軽減する」ことなどを掲げている。なお、この取り組みは複数年にわたって段階的に進められるとしている。
ダイモンは、ニューヨークにあるJPモルガン本社ロビーの国旗に毎朝敬礼していると語っており、最近も大規模な取り組みを相次いで打ち出している。2026年10月には、JPモルガンは総額1.5兆ドル(約232兆円)規模の「セキュリティ・アンド・レジリエンシー・イニシアチブ(Security and Resiliency Initiative)」を発表した。これは、国防・航空宇宙に加え、「フロンティア」技術(将来の産業の中核となる先端技術)、エネルギー技術、サプライチェーンなど、アメリカの主要産業の強化を目的とした大規模な投資・融資の取り組みだ。また2026年には、同行はアメリカ国内の従業員の子ども向けに設けられた子どもの将来に向けて資産を積み立てる投資口座の仕組みである「トランプ・アカウント(Trump Accounts)」に拠出する企業にも加わった。対象となる新生児に対しては、政府が一度だけ支給する1000ドル(約15万5000円)に加え、同行も同額を拠出するとしている。
Business Insiderは、経済の現状に対する不満が高まる中で、資本主義の今後について探ってきた。政府や企業がアメリカ人の家計を支えるための投資を進めている背景には、特に民主党支持層や若い世代の間で強まっている、いわば資本主義への信頼の揺らぎがある。若年層を対象とするハーバード大学の最近の調査によると、18歳から29歳のうち、「資本主義を支持する」と答えた割合は39%で、2020年の45%から低下している。
Business Insiderの読者の中には、資本主義への信頼は依然として揺らいでいないと回答する人もいる一方で、生活費の上昇や厳しい雇用環境、AIの広がりが、アメリカ経済の土台への信頼を揺るがす要因だと指摘する人もいる。
ウォール街の有力者の中にも、資本主義の基盤が揺らぎかねないと警鐘を鳴らす声が出ている。長年シティ(Citi)で銀行業務に携わり、政府関係者に危機対応の助言をしてきたジェイ・コリンズ(Jay Collins)は最近、Business Insiderの取材に答え、「AIやロボット技術が資本主義の仕組みに揺さぶりをかける可能性がある」と話している。
「この変化に合わせて仕組みを見直し、作り直していく必要がある。産業革命のときも我々は同じように対応してきた」

