妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

2023年7月、日本の刑法が改正され、不同意性交等罪が施行されました。それまでの強制性交等罪では暴行や脅迫が要件とされていましたが、新法では、同意しない意思を形成・表明・全うするいとまを与えない行為も処罰の対象となりました。しかし、この改正が夫婦間にどこまで適用されるのかについては、いまだ正しく知られていない側面があります。

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危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話します。

「この改正により、不同意という言葉の意味を改めて考え直した方も多いでしょう。実は夫婦間であっても、相手が同意していない性的行為は不同意性交等罪の対象になり得ます。結婚しているのだから当然、という誤った一部の意識が、長年にわたってパートナーを沈黙させてきた可能性は否定できません」

本山高子さん(仮名・38歳)は、5人の子どもを持つ専業主婦です。末っ子を出産したのは2年前のこと。産後、産院から帰宅すると比較的早いタイミングで性交渉を求められていたといいます。

ーやっと解禁だね。

「もちろん断りたかった。でも、拒絶するいとまもなく行為が始まるのが日常でした」と高子さんは振り返ります。5人の出産を経験するなかで繰り返されてきた、産後すぐの性交渉の再開。高子さんが自身の経験に違和感を覚えたのは、ニュースで不同意性交等罪という言葉を知ってからでした。

ある時、夫に「夫婦間でも同意が必要なんだって」と問いかけると、信じられない言葉が返ってきたといいます。

ーは? 夫婦で同意? そんなの、結婚した意味ないじゃん。

「あまりにも心ない言葉に、逆に冷静になってしまいました。こうした考えを持つ人は多いのかもしれません。ムードがない、色気がないといった言い訳を並べる夫の姿を見て愕然としました。もう、大切にされているとは思えなくなってしまったんです」

性的同意とは、単なる手続きではありません。相手の心身の状態を尊重し、対等な関係を築くための根幹です。

もちろん、きちんと同意が取れている夫婦がいることも事実です。しかし、一部で高子さんのように傷ついているパートナーがいるという現実もあると知る必要もあるのかもしれません。

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※本記事で使用している写真はイメージです。 【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】山本康裕 【出典】法務省「刑法の一部を改正する法律(令和5年法律第66号)の概要」

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