AIとどう付き合うのか/岡田・佐々木社会保険労務士法人 佐々木 誠
弊所の近所にあるコーヒー焙煎所が卸売りに加えて小売りを始めたことをきっかけに、コーヒーをいれることが日課になった。
コーヒーの香りを楽しむため、そしてコーヒーに余分な熱を加えないため、手動ミルでゆっくりと豆をひく。豆の種類、焙煎の度合いによって、抽出する際の湯の温度を変える。当然、ドリッパーは一穴か三穴か迷う。さらに、「コーヒーの99%は水」との名言があるように、水の選定にも苦慮する。
このように、一口にコーヒーをいれるといっても、なかなかにハードルが高い。しかも、コーヒーをいれることには大きな問題があった。
事務所の職員からの「飲みたくもないコーヒーを毎日提供される」とするモーニングコーヒーハラスメントの訴えを案じているのではない。それも少しは心配するが、問題は、コーヒーをいれている間、私の生産性がないということだ。
いや、そんなことはあるまい、コーヒーをいれながら、今日の予定を確かめ、段取りを組み、労働問題の解決に向けて知恵を絞っているに違いない、と好意的に解釈するかもしれない。
残念ながら、コーヒーをいれている間、私は何も考えていない。無である。禅僧のごとく無我の境地にいる。
だが、案ずることはない。私にはAIがついている。彼らは、非常に優秀だ。
たとえば、プレゼンのスライド作成を考える。これまでは、資料を集めては読みあさり、プロットを練ってシナリオを作る、といった一連の作業をこなさなければならなかった。場合によっては図表や挿絵も用意しなくてはならない。スライド作成だけで何十時間も取られていた。
それがAIならば、資料を集めるだけで、後は任せれば良い。要約もスライド作成もお手の物だ。図表もオシャレに、私が作るものよりずっと洗練されたものに仕上げる。気に入らないからと手直しさせても、文句も言わず、より希望に沿ったものにしてくれる。
そんなAIと私たち社会保険労務士はどのように付き合うのか。いや、付き合うべきか。かつて、「電子申請ができない社労士は職を失う」と言われたが、AIはどうだろう。すでに「AIを活用できない社労士は…」と言われはじめている。
AIの知能は既に人を超えているそうだが、AIの得意とするのが「情報の平均化」だとすれば、没個性化が懸念される。AIを補助脳のごとく率いて、専門性を打ち出すにはどうすれば良いか、個々の熱意が問われていると思う。
コーヒーをいれながら、AIとの未来を考えてみなければならないようだ。
岡田・佐々木社会保険労務士法人 佐々木 誠【岩手】
