妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちの本当の苛立ち、あふれんばかりの悩みとは? 専門家の解説を元に、リアルな事象に切り込んでいく。それが『女たちの事件簿』

3月に開幕したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)。今大会では試合が、地上波で観られないことも大きな話題となっています。そんななか、観戦のためにサブスクリプション(定額制動画配信サービス)を契約した父親を持つ柿本真理子さん(仮名・21歳)は、ファミリー共有機能を通じて無事に観戦することができたと話します。

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「父は無類の野球好きです。今年のWBCは地上波で全試合見られないと知るやいなや、すぐに契約をしてくれました。ファミリー共有ができるとのことで、私もすぐにシェアしてもらったんです」

総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(令和5年度)」によると、オンデマンド型の動画配信サービスの利用率は10代から50代で5割を超えています。ファミリー共有機能を使い、家族で一つのサービスを使い分ける家庭も、今や珍しくありません。

しかし、その「共有」が思いもよらない形で、家族の秘密を露わにしてしまうことがあります。真理子さんと父親は同じ家に住みながら、普段はすれ違いの多い親子だったと言います。

「生活時間帯があまり合わず、最近はすれ違いがちでした。ただ家族仲はそこそこ良いので、普段はLINEでやり取りをしています。私も昔から父に連れられてよく野球を観に行っていたので、気を利かせて教えてくれたんだと思います」

喜んで使い始めた真理子さんでしたが、ある日、思わぬものを目にしてしまいます。操作の途中で、誤って父親のアカウントに切り替わったまま視聴を続けてしまったのです。

「トップページに戻ると、いつもとなんとなく雰囲気が違う。視聴履歴に、私が観た覚えのない作品が並んでいたんです」

試しに一つを開いてみると、そこには際どいシーンで停止したままの映画が表示されていたと話します。

「正直、観てはいけないものを観てしまったと思いました。それと同時に、父親に対する小さな不信感が芽生えて……」

とはいえ、真理子さんも父親も一人の大人です。その場はあえて触れず、そっとしておくことに決めたと言います。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう指摘します。

「サブスクのファミリー共有やテレビのYouTube連携は、便利な反面、プライバシーの境界線が非常に曖昧になります。特に家族間では『まさか見られることはないだろう』という無意識の油断が生まれやすい。しかし、子どもが親の性的な一面を不意に目にしたとき、強い嫌悪感や不信感を抱くのは自然な心理反応です。親を『親』という役割でしか捉えてこなかった子どもにとって、それは一種のイメージの崩壊であり、心理的な衝撃を伴うものです」

真理子さんは、こう締めくくりました。

「れっきとした映画作品でしたし、最初は深くは気に留めないようにしていました。ところが後日、リビングのテレビを久々につけたとき、さらに信じられないものを目にしてしまったんです」

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※本記事で使用している写真はイメージです。

【取材協力】危機管理コンサルタント|平塚俊樹氏 【聞き手・文・編集】山本康裕 PHOTO:Getty Images 【出典】総務省|「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(令和5年度)」

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