4500都市に処方薬の当日便、会員制診療やデータ解析で薬局砂漠や通院の壁を打破

小久保 重信

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2026.3.10(火)

アマゾン・ファーマシーのミシガン州にある物流拠点(2025年7月29日撮影、写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが2月に発表したヘルスケア事業の大幅拡充から約1カ月が経過した。処方薬の当日配送エリアを2026年末までに全米4500都市へ広げる計画と、生成AIによる診療支援ツールの導入である。

 これは、同社の医療戦略が実物流とデジタル技術の融合という新たな段階に入ったことを示唆している。

配送網の拡大で「薬局砂漠」に対応

 アマゾンのオンライン薬局「Amazon Pharmacy(アマゾン・ファーマシー)」は、2026年末までに処方薬の当日配送サービスを全米約4500の都市や町へ拡大する(アマゾンの発表資料)。

 今後1年間で約2000の地域を対象に加える形だ。新たに西部アイダホ州や東部マサチューセッツ州も対象となり、全米のより多くの顧客へ迅速な医薬品提供が可能になる。

 背景には、米国で深刻化する医療アクセスの問題がある。

 必要な薬を適時受け取れない「薬局砂漠(Pharmacy Desert)」が社会問題化している。

 大手ドラッグストアチェーンによる採算悪化に伴う相次ぐ店舗閉鎖や、人手不足、移動手段の確保が困難な状況、といったことが要因だ。

 同社は自社物流網を駆使し、配送手段を地域特性に応じて使い分けることで、この空白地帯を埋める狙いだ。都市部では電動自転車、遠隔地ではフェリーや馬なども利用する。

AIによる健康データの可視化と行動支援

 物流面の強化と並行して、2023年に買収した会員制診療サービス「One Medical(ワン・メディカル)」を通じたデジタル機能の拡充が進んでいる。

 1月に導入した自律型AIアシスタント「Health AI」および、2月に発表した検査結果分析ツール「Health Insights」は、患者が自身の健康データを主体的に管理できるよう支援する。

 これらのツールは、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供する生成AIサービス「Amazon Bedrock」上の大規模言語モデル(LLM)を活用している。

 過去の医療記録や服用中の薬、直近の検査結果を統合して分析。パーソナル化した健康アドバイスや生活習慣の推奨事項を提示する。情報提供にとどまらず、具体的な行動へとつなげたいと考えている。

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