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バスク・カリナリー・センターのガストロノミー・イノベーション拠点(ハブ)であるガストロノミー・オープン・エコシステム(Gastronomy Open Ecosystem=GOe)の責任者(Head of GOe Development)ラケル・マルティン(Raquel Martin)さんにその取り組みについて話を聞いた。(横田アソシエイツ代表取締役/横田浩一)

「美食の町」で始まったガストロノミー教育

もともと避暑地で栄えたこの場所はバスク料理がフランス料理の影響を受けながら発展し、ピンチョスと呼ばれる小皿料理文化が根付いた。

1990年代にミシュランガイドで星が認定されるレストランが、人口比で世界トップクラスとなり、「美食の町」として国際的に知られるようになった。アラサック(Arzak)、マルティン・ベラサテギ(Martín Berasategui)、ムガリッツ(Mugaritz)などの名店が軒を連ねている。

多くの観光客は、バルと呼ばれる飲食店を一晩に何軒もはしごする。もともと夕食時間の遅いスペインでは、深夜まで営業する店が多い。バスク州で造られるアルコール度数が低い白ワイン「チャコリ」で乾杯しながら、各店の名物ピンチョスを楽しむのが定番だ。

この地域の発展を支える大きな特徴の一つがバスク・カリナリー・センターの存在だ。これは財団全体を指し、その活動は2011年に始まった。

当時ガストロノミー分野の「公式の大学教育」は存在せず、教育は主に職業訓練に限られていた。そこでバスク地方、とりわけギプスコア県のシェフたちが中心となり「才能をもっと公式に教育できる仕組みを作らないといけない」というビジョンを掲げた。これを支えたのがバスク政府や市議会だ。

GOeは、ガストロノミー領域における新たなイノベーション拠点(ハブ)として、才能・知識・イノベーションを結集し、「おいしい未来」を形づくることを目指すバスク・カリナリー・センターの2つ目の拠点として、2025年10月にオープンした。

現在、第3のプロジェクトとして、ワインと飲料に特化した新キャンパス「EDA Drinks & Wine Campus」の建設も計画されている。

「私たちのビジョンは、この地域のガストロノミーを発展させること、そしてここに留まらせず、世界に出すことです。

私たちは『自分たちが何者か(=地域性)を保ち発展させる』と同時に、『外とつながってイノベーションを起こす』という2つの軸を大切にして、取り組みを進めてきました」

マルティンさんはそう話す。重要なのは、星付きのレストラン「だけ」ではない。卒業生が各地でプロジェクトや店を立ち上げ、そのネットワークも広がりつつあることだという。

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