ChatGPTの登場からわずか数年。ビジネス現場ではAI活用が「当たり前」となり、大学教育でも利用率が急増しています。子どもからAIを遠ざけるのではなく、正しく使いこなす力を育てるには?
今回は高橋暁子さんの著書『スマホで受験に失敗する子どもたち』(星海社新書)を一部抜粋してご紹介いたします。
保護者の6割が肯定する一方で懸念される「思考停止」のリスクを防ぎ、AIを自分の武器にするためのリテラシー教育を考えます。
AIとの付き合い方を学び、使いこなせる力を育てる
AIが日々ニュースを騒がせています。皆さんはAIについてどう感じていますか。実際に使ってみましたか?
なかでも話題となっているのが、OpenAIが開発し2022年11月に公開したChatGPTです。人間との対話に近い自然な文章を生成するAIチャットサービスで、公開後5日間で利用者数は100万人突破、2ヶ月で1億人を突破するなど、瞬く間に浸透して話題になりました。
OpenAI の筆頭株主であるMicrosoftは、OpenAIのGPTを用いた検索エンジン型チャットボットMicrosoft Copilot を発表。OpenAIはAppleにもChatGPTを提供、Apple Intelligence として提供されています。GoogleはChatGPTに対抗して生成型人工知能チャットボットGeminiを開発しています。
これからは、AIの時代です。日本でも、パナソニック コネクトが全社でAIを導入するなど、企業の大小にかかわらず、活用しようという動きは加速しています。導入している企業が増えている以上、競争力を高めるためには、さらに多くの企業が導入に踏み切ることは間違いないでしょう。
AIでできることは、文章の作成、要約や翻訳、添削、アイデアだし、プログラミング、画像や動画・音楽の生成など、多岐にわたります。生産性向上、コスト削減、人手不足の対策としても活用できるため、多くのビジネスパーソンや企業が導入、活用を進めています。
AIによって奪われる仕事も出てきており、銀行業などの金融業、経理事務職など、自動化できるホワイトカラー職は、AIに取って代わられつつあります。一方、工事作業員や宅配業などの身体を使う仕事は残ると考えられています。
日本は生産性が低いと言われています。少子高齢化で働き手不足ともなっています。今こそ、AIをうまく活用しなければならない時と言えるでしょう。
これからの時代は、AIに負けない人材、AIを使いこなせる人材が求められるはずです。子ども達は、時代に合った生き残る企業、AIに奪われない仕事や職種を見極め、AIで代替できない仕事や職務を果たせる人材として、生きていかねばならないのです。
では、保護者は子どもがAIを使うことについてどう考えているのでしょうか。
小学生とその保護者を対象としたベネッセコーポレーションの「『生成AIの利用に関する調査』2024」(2024年7月)によると、子どもの23%が生成AI(ChatGPTなど)について知っていました。生成AIを知っている子どもの7割に利用経験【「よく使っている」(16%)、「時々使っている」(28%)「試しに使ってみたことがある」(26%)】がありました。
子どもが生成AIを利用することに対する意見を保護者に聞いたところ、66%が利用に肯定的【「積極的に使ってほしい」(14%)「少し使ってみてほしい」(52%)】であり、昨年よりも10ポイントアップしていました。否定的な意見【「あまり使ってほしくない」(20%)「まったく使ってほしくない」(4%)】は24%でした。
利用に肯定的な理由は、「新しい技術の活用力を養うよい機会になりそうだから」(35%)、「子どもが新しい興味に出会えそうだから」(22%)などでした。逆に否定的な理由は、「自分で考えなくなりそうだから」(48%)、「自分で書いて表現することをしなくなりそうだから」(23%)などとなっていました。
保護者も、これからの時代にはむしろAIなどの新しい技術を使いこなせることが求められることを感じているためでしょう。一方で、大学のレポートや論文などをAIで生成し、コピペして提出する学生がいることも事実であり、自分で考えたり書いたりなどの能力を伸ばすべき時に安易に使ってしまうリスクも感じている結果と言えるでしょう。
文部科学省も、2023年7月に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(*1)」を出しています。夏休み前に課題やコンクールなどに悪用されることを懸念して発表されたものです。一方で、回答には誤りが含まれ最後は自分で判断する必要があるなどの基本的な指導を前提に、適切な使い方を学んだ上で活用すべきであるとしており、利用については全く否定的ではありません。
なお、調査を見ると小学生も利用しているようですが、ChatGPTの対象年齢は13歳以上とされています。また18歳未満の場合は、親権者または法定後見人の許可を得る必要があります。未成年が不適切な利用でトラブルに巻き込まれることを防ぐ目的があると考えられます。子どもの利用は、あくまで保護者が適切な指導、見守りをした上で、自己責任の下に行われるべきものであることは知っておくべきでしょう。
大学生の利用実態は……
