音楽のある子育てで、感性豊かな子に!
「うちの子、感性豊かな子に育ってほしいな」そう願うお父さん、お母さんは多いでしょう。実は、その願いを叶える鍵は、ごく身近な「音楽」にあることをご存じですか?
「ただ音楽を聴かせたり、歌を歌ってあげたりするだけでしょう?」そう思われるかもしれません。しかし、子どもの発達段階を深く理解すると、音楽がいかに彼らの成長に不可欠であるかが明らかになります。
そこで今回は、お受験をおこなって子どもを選抜しているわけでもないのに、毎年卒園児が「平均IQ120」を記録し、高い教育成果を長年にわたり挙げ続けている“東京いずみ幼稚園”の園長・小泉敏男さんの書籍『最高の育て方辞典』(講談社)を一部抜粋してご紹介。
なぜ今、子育てに音楽を取り入れることが、子どもの豊かな人生を拓くカギとなるのか、その科学的根拠と具体的なヒントを詳しく解説します。あなたの認識をきっと変える、音楽と子どもの成長の奥深い関係性をご覧ください。
子育てにもっと「音楽」を取り入れよう
音楽は子どもの成長に欠かせない
幼児に音楽を聞かせたり、歌を歌ってもらったりするのはごく当たり前のことで、いまさら説明は不要と感じる人がいるかもしれませんが、ここであらためて、なぜ子育てで、そして幼児教育で音楽が大切なのか考えてみましょう。
子どもは聴覚優位の状態にあります。たとえて言うなら、耳に「高感度なセンサー」が備わっているようなもので、耳からの刺激には敏感です。だから大人が文法や構文を教えなくても、耳で聞くだけで母語を操れるようになるのです。
人は母語を、生後数年(0〜8歳、人によっては11歳くらいまで)のあいだに自然に獲得しますが、習得の臨界期(最も身に付く時期)は3〜5歳ごろと言われていて、これはちょうど幼稚園・保育園に通う年齢と重なります。
つまり、幼児は発達段階のうえでは音楽ととりわけ相性がいい状態にあるわけです。
優れた音感を持つ人が経験する「音のパノラマ」
美しいメロディや歌声を耳にして、心洗われる思いをした経験のある人は多いでしょう。
音に敏感な子どもたちは、同じメロディや歌声を聞いて大人以上の感動を覚えることがあります。その感動こそ、子どもの感性を健やかに力強く伸ばす原動力です。
音に対する感受性が高い子は、音楽の微妙なニュアンスまで聞き分けることができ、より大きな感動を味わうことができます。つまり音感が優れた人は、より美しく楽しい世界を経験できるぶん、豊かな人生を送れる可能性が高いのです。
「音楽サヴァン」をご存じでしょうか。自閉症などの障害を抱えながらも、絶対音感があり、傑出した音楽的才能を示す人たちのことですが、エディという音楽サヴァンの男の子の教育に携わったある音楽教師は、次のように報告しています。
エディとの散歩は、音のパノラマを行く旅だった。エディは、歩きながら金属の門に手を這わせてカタカタと鳴らす。街灯があるたびに叩いていい音色がすると音名を言う。立ち止まって車のステレオに耳を向ける。空を見あげて飛行機やヘリコプターを確認する。鳥の鳴き声をまねる。(中略)耳からはいるものに対して、エディはとても敏感だ。そして、耳か
らはいるものをとおして、ずっと多くのものを敏感に感じとっている。
スティーヴン・ミズン『歌うネアンデルタール』(早川書房)より
この一節は、優れた音感(この場合は絶対音感ですが)がある人にしかわからない、素敵な世界があることを教えてくれているように思います。
実は絶対音感は誰にでもある
