表彰台に上がる前から涙があふれ出ていた。一度拭ったが、「ゴールドメダリスト」として名前がアナウンスされると、もう止まらなくなっていた。

「うれし涙は初めてなんじゃないかなっていうぐらい」

 ミラノ・コルティナ五輪スノーボード男子ハーフパイプ決勝。金メダルに輝いたのは、2回目のランで95.00点を出した戸塚優斗(ヨネックス)だ。

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「自分のヒーローだと思って練習でも大会でも常に影響を受けながらやってきている」という平野歩夢(TOKIOインカラミ)に続く日本人2大会連続の金メダル。

「夢だったので、国歌が流れているときは『夢なのかな』というくらい信じられない気持ちでした。いろいろな大会で苦しんできた記憶を思い出して、やってきて良かったなと思いました」

 しみじみと喜びを語った。

優勝へ導いた持ち味とは

 金メダルを射止めたのは誰よりも豊富な引き出しと、とことんまで詰めた戦略、そして自分を信じる強い気持ちがあったからだ。

 五輪開幕直前、戸塚は決勝のルーティーンをこれまでやってきた内容から変えることを決めた。

 1発目は「キャブダブルコーク1440」。戸塚はスイッチバックから入る選手が増えていることが高得点が出にくくなっている要因なのではないかという採点の傾向を感じ取り、コーチと相談して決断した。

「普段はスイッチバックから入っているんですけど、その中でオリンピックという舞台でキャブから入るという選択肢を取った自分をまず褒めたいし、そのランを自分の納得いくレベルで決められたのもすごく成長を感じました」

【次ページ】 これまでやったことのないルーティーンで

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