出口夏希「オフの日はベッドの上で夕方まで過ごすことが好き。一番の楽しみです!」

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W主演映画が公開される出口夏希さん。お仕事のことはもちろん、驚くほどインドアなオフの過ごし方に、美味しい火鍋の食べ方まで。飾らない魅力あふれるお話に注目です。

この取材が行われたのは2月中旬。冷たい風が吹いているスタジオの外、大粒のスパンコールがきらめく春の装いで現れた出口夏希さんは、「寒い〜!」と言いながらも常に笑顔を見せ、現場のムードを温かなものへと導いていく。2019年に俳優デビューを果たし、昨年はドラマ『ブルーモーメント』や映画『赤羽骨子のボディガード』など、さまざまな作品に出演。そして、5月30日に公開される映画『か「」く「」し「」ご「」と「』では、映画初主演を務める。

――W主演映画『か「」く「」し「」ご「」と「』が決まった時の心境はいかがでしたか?

初めての映画の主演作品ということで、嬉しい気持ちが勝って、「イェーイ」って言っちゃいました(笑)。原作の小説を先に読んだのですが、私の大好きな純度100%の青春ラブストーリーで、主演できることがより楽しみに。登場人物たちはみんな本当にピュアで繊細で、映画でもそのままの感じを見せたいと思いました。私が演じるミッキー(三木直子)は、すごく明るくて活発な女の子。原作者の住野よる先生から、「バカかわいいミッキーを演じてください」と言っていただいたので、動きや表情の一つ一つにそう思ってもらえるようにしたいなと。現場では、すごく笑っていました。

――青春を描いた作品がお好きなのですね。

学生時代から『orange‐オレンジ‐』という映画が本当に好きで、何回も観ています。観るたびに中学時代を思い出すんですよね。『か「」く「」し「」ご「」と「』も、誰かにとっての、そうした大切な存在になってもらえたら嬉しいなと思います。ちなみに、今作の中で、夏の制服として水色のポロシャツを着ているのですが、それを見た瞬間、“すっごい青春だ!”って思いました。学生時代に着ていたわけでもないのに(笑)。爽やかで、作品のイメージにもぴったりです。

――同じく主演の奥平大兼さんをはじめ、佐野晶哉さんや菊池日菜子さん、早瀬憩さんなど同世代の共演者が多いですが、現場はいかがでしたか?

それこそ、みんなと遊んだり、お話しするシーンでは、本当に同級生として高校生活を送っているような感覚に。すごく青春を感じながら撮影をしていました。きっと、もっと大人になってから観返した時に、自分が青春した一部が、そのまま映像として残っているなと思うような作品に仕上がっていると思います。

――いい雰囲気だったんですね。そんな現場で流行っていたことはありますか?

撮影場所の学校の校長先生がすごく寛大な方で、「いつでも校長室に遊びに来ていいよ」とおっしゃってくださったので、みんなでよく通っていたのを覚えています。クーラーが効いていて涼しいんですよ…! 全員で順番に校長先生を演じるというごっこ遊びをして、私は佐野さんを前に立たせてお説教したような気がします(笑)。みなさん、それぞれが自分のペースで過ごしている、居心地の良い現場でした。本当に楽しかったです。

――演じるミッキーは、人の気持ちが少し見えるという特別な能力を持っていますが、出口さんは人の気持ちに気づきやすい方だと思いますか?

顔の表情ってすごく繊細で、気持ちが出るじゃないですか。それを見ると、なんかわかっちゃいます。私自身は、どうだろう…。すごく出しているつもりなのに気づいてもらえないこともあります。ちょっと笑うとすごく笑っているように見えるのか、いつも機嫌が良さそうな人だと思われているような気がします(笑)。でも、今作の登場人物たちもそうですけど、特に好きな人の気持ちって、みんな知りたいものじゃないですか。それは、学生に限らず、大人になっても。なんとなくわかっちゃうこともある一方で、勘違いが生まれてしまうこともあるから、言葉にして伝えることはやっぱり大事なんだと思います。でも、ついつい、思っていないことを言ってしまう場合もあるから難しいですよね…。本当、生きていく上での課題だなと思います。

自分らしくやっている方が、楽しいし、顔も明るくなる。

――プライベートの出口さんのことを教えてほしいのですが、周りの人からどんな人だと言われることが多いですか?

人によって結構、印象が違うみたいなんです。多くの人から言われるのは「元気」。家族からは、「意外としっかりしているタイプ」。そして、地元の友だちは「何もできないただのポンコツ」(笑)。あと、違うグループの友だちからは、「おちゃらけてるけど、ちゃんとしてるといえばちゃんとしてる」とか、本当にそれぞれです。一緒にいる人によって出てくる自分も違うし、キャラも変わるので、“本当の自分ってどれなんだろう”と、最近まで本気で悩んでいたりもして。

――解決しましたか?

「私、相手によってそれぞれ違う自分がいて…」と悩みを相談してみたところ、「それが普通だよ」と言ってもらって。みんなそうなんだ! よかった! と、すごくほっとしました。

――毎日お忙しいと思いますが、オフの日は何をして過ごしているのでしょうか。

趣味や特技が何もなくて。休みの前日の夜早くからベッドに入って、当日の夕方くらいまで、ずーっとベッドで過ごします。

――“そんな自分が嫌!”とかではなく、前向きな気持ちでベッドにいらっしゃるのですか?

ベッドにいる時間が大好きで、強い気持ちでベッドにいます! 私の一番の楽しみですね。ただ、ずっと布団の中にいるので、毎回、休みの日は太陽の光を浴びられないんですけど(笑)。もちろん、お友だちと会うこともすごく好きですが、たまには一人でいたいし、誰かと話すよりも静かにしていたいと思うこともあります(笑)。SNSを見ていたら5〜6時間経っていた…とかもしょっちゅうです。無駄な時間に思えるかもしれないけど、今の私にはリラックスできる一番大事な時間です。

――最近、美味しかったものはなんですか?

馬刺し、というか、馬刺しのタレです(笑)。ごま油に少し塩が入ったもので、多分どこにでもあるんですけど、それがすごく美味しかったんです。

――辛いものがお好きだそうですが、おすすめを教えてください。

やっぱり火鍋でしょうか。おすすめの食べ方は、ごま、ごまドレッシング、ごま油、パクチーいっぱい、ピーナッツ、そして黒酢をいっぱい入れたタレで食べてほしいです。もし、そぼろがある場合は、それも入れてください! タレというか、それだけで一つの食べ物みたいなボリュームになるけれど、おすすめです!

――美味しそうです。ちなみに、ananでは毎号、違う特集テーマを取り上げていますが、もし、また出てくださるとしたら、どんな特集に興味がありますか?

日本のいろいろな場所や海外に行くことが好きなので、旅の特集とか、出てみたいです。可愛いお洋服を着ながら、美味しいものを食べ歩きしたいな。

――ぜひお願いします!

あと、コスメやスキンケア、美容も大好きです。

――どうりで、とてもお肌がきれいです。

でも、肌がすごく弱くて荒れやすいんです。不安定な時と調子のいい時で使うものや取り入れる栄養素を変えたりしてます。

――では、このお仕事をしていなければ、いま何をしていたと思いますか?

高校2年の時に今のお仕事を始めたのですが、高校1年までのプランでいうと、当時、働いていたファストフード店で高校卒業後もバイトを続けて、結婚して、主婦になると思っていました。バイトは好きでしたね。2つやっていたのですが、一つは、私のことをすごく可愛がってくれたおばさんがいて楽しくて。もう一つは仲の良い女の子の友だちと一緒に働いていて、とても楽しかったです。

――想像とかなり違う人生を歩むことになったのですね。

はい。でも、お小遣いを稼ごうと思って今のお仕事を始めたのですが、最初はバイト時代よりお給料が低くて、生活、どうしようと思っていました(笑)。それが続けているうちに、どんどん楽しくなっていって。続けていてよかったなと思います。

――ドラマ『ココア』で俳優デビューをしてから約6年です。あらためて、この仕事の面白さを、どんなところに感じていますか?

誰かが答えを教えてくれるわけではなく、自分で考えることが本当に多いので。合っているかもわからないけど考えて、乗り越えて、作品が世の中に出て認められた時に、このお仕事をしていてよかったなと思います。悩んだ時は、台本をいっぱい読んで、ぐるぐるぐるぐる考えます。でも、最近気づいたのは、正解を求めるんじゃなく、自分らしくやっていた方が楽しいし、顔も明るくなるんだなということ。だから、現場では、いつも楽しく撮影しています。正直、「やりがい」とは一体どういうものなのか、あまりわかっていなかったんです。でも、最近、ファンの方からたくさんコメントをいただくようになって、ほとんどと言っていいくらいチェックしていますが、それを見た時に、これがやりがいを感じるということなんだと気づきました。どれも、すごく温かいものばかりです。みなさんに少し褒めていただけるだけで嬉しい気持ちになるし、また頑張ろう! と思えるんです。

PROFILE出口夏希さん

でぐち・なつき 2001年10月4日生まれ。主演ドラマ『ココア』で俳優デビュー。映画『沈黙のパレード』『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』、ドラマ『舞妓さんちのまかないさん』『ブルーモーメント』をはじめ数多くの作品に出演。『赤羽骨子のボディガード』で第46回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞受賞。

INFORMATION

映画『か「」く「」し「」ご「」と「』が5月30日から全国公開。“自分なんて”と引け目を感じている高校生の大塚京(奥平大兼)は、ヒーローになりたい三木直子(出口夏希)が気になっているが、眺めることしかできない。ある日、内気な性格の宮里望愛(早瀬憩)が学校に来なくなったことをきっかけにそれぞれの想いが動き出す。

トップス¥19,800 スカート¥20,980(共にNKNIT nknit.nknit@gmail.com) シューズ¥49,500(MANA/コンコルディア info-concordia@mana-l.com) イヤリング¥18,700(ete TEL:0120・10・6616) リング¥16,500(IF8 info@if8-official.com)

写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・道端亜未 ヘア&メイク・Tomo Tamura(Perle management) インタビュー、文・重信 綾

anan 2446号(2025年5月14日発売)より

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