子どもで発症することが多いアトピー性皮膚炎。症状や生活への影響を軽減するため、早期に診断し、治療を始めることが大切です。専門に診療する医師は限られるため、日本小児皮膚科学会と日本小児アレルギー学会は昨年、一般の小児科医向けの治療と予防の手引を作成しました。保護者にも参考になる内容です。(有村瑞希)

バリア機能低下

 アトピー性皮膚炎は、皮膚の角質層の水分が減り、異物の侵入を防ぐバリア機能が低下して炎症が起き、発症します。肌が乾燥したり、湿疹ができたりすると、角質と角質の間に隙間ができ、そこからアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が入り込みます。

 特に子どもの皮膚は、大人に比べてバリア機能が弱く、アトピー性皮膚炎になりやすい素地があります。他の皮膚の病気も起きやすく、乳児は症状を言葉で説明できないことから、診断が難しい場合があります。しかし、小児科医の多くは皮膚の病気やアレルギーが専門ではありません。

 そこで両学会は、一般の小児科医に参考にしてもらおうと、2024年に改訂されたアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(指針)を基に今回の手引を作成しました。手引では、かゆみがあり、関節部分に湿疹がある、親やきょうだいにアレルギー疾患があるなど5項目のうち3項目以上が当てはまればアトピー性皮膚炎と診断できるとする英国で開発された簡易な基準も示しています。

 他の皮膚の病気と見分ける解説のほか、患部をひっかく頻度、睡眠や着替え、入浴時の支障の有無などについて本人や保護者に選択肢の中から答えてもらい、生活への影響度を測る質問票も盛り込んでいます。

 子どものアトピー性皮膚炎に詳しい名古屋市立大特任教授の大矢幸弘さんは「乳児期の発症は、食物アレルギーなどのリスクも高まるため、小児科医が早期に診断、治療することが重要です」と説明します。

薬の適切な使い方

 治療は、炎症を抑えるステロイドの塗り薬などから始めます。ステロイドに対し、副作用の心配から使用をためらう保護者もいます。しかし、使用量や回数が適切でなければ効果が出にくいことに注意が必要です。最近はステロイド以外で副作用が少なく、子どもに使える塗り薬が登場しています。塗り薬で治りにくい場合は、炎症やかゆみを抑える飲み薬や注射薬も使えるようになりました。

 生後5か月でアトピー性皮膚炎と診断された長女(1)を育てる奈良県の女性(33)は当初、副作用の懸念からステロイドの塗り薬の使用を控え、症状が改善せず悩みました。その後、薬の適切な使い方を知り、今は改善に向かっています。「ネットやSNSの情報では何を信じてよいかわからず不安でした。正確な情報が載っている手引があれば助かります」と話します。

 独協医大小児科特任教授でアレルギーセンター長の吉原重美さんは「子どものアトピー性皮膚炎は、かゆみや外見への悩みで、その後の進学や就職に影響を与えます。ステロイドなどの塗り薬で改善しない場合は、飲み薬や注射薬といった治療の選択肢も広がっているので医師と相談してください」と話しています。

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