社会医療法人緑泉会

米盛病院は1969年、整形外科の専門医療機関として鹿児島市に開院。2014年の新築移転を機に、救急医療にも注力。2024年8月には鹿児島県から救命救急センターの指定を受けた。整形外科と救急医療の両輪で質の高いチーム医療を提供し、脊椎・脊髄疾患治療において、低侵襲で先進的な取り組みを続けている。

各診療科と協働し、シームレスな診療体制を構築

 同院の整形外科は疾患別に脊椎・関節・外傷・一般整形の4グループに分かれ、それぞれが専門性を活かした質の高い診療を行っている。「脊椎グループ」には脊椎の治療を専門とする医師8名が在籍し、脊椎に関わる幅広い疾患に対応している。24時間365日体制で緊急手術に対応できる診療体制を整えている点も大きな特長だ。
 頚椎症性脊髄症、頚椎・腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの慢性疾患に加え、胸腰椎椎体骨折、胸腰椎脱臼骨折および脊髄損傷といった重症外傷、化膿性脊椎炎、転移性脊椎腫瘍など、症例は多岐にわたる。また、手術の精度や安全性を高めながら、できる限り身体への負担を抑える低侵襲治療にも力を入れている。
 脊椎・脊髄センター長の永吉隆作医師は、脊椎グループの特長について「3つの『S』、すなわちスピーディ(迅速)、セーフティ(安全)、シームレス(継ぎ目がない)な診療体制にある」という。
「交通事故や転落事故では、背骨だけでなく頭部や内臓、四肢の外傷などを伴う場合も多いのですが、当院では救急科や他診療科と密に連携しているため、私たちは脊椎の治療により専念することができます。緊急性の高い脊椎外傷の症例においても、常に検査から診断、治療に至るまで迅速に対応できる環境が整っています」(永吉医師)

鈴木 勝

副院長
鈴木 勝 医師

日本専門医機構認定整形外科専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医

永吉 隆作

整形外科 脊椎・脊髄センター長
永吉 隆作 医師

日本専門医機構認定整形外科専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
最小侵襲脊椎治療学会(MIST学会)評議員

尾﨑 友則

整形外科
尾﨑 友則 医師

日本専門医機構認定整形外科専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
医学博士

手術支援ロボットなど
先進機器を用いた精密な脊椎手術

 2024年、新病院移転から10年が経過したことを機に、次の10年を見据え、ナビゲーション・ロボットなどによる精密手術の需要増加や医療従事者の被ばく低減などを考慮し、先進医療機器の導入を進めてきた。
 自走式モバイル3DCアーム装置「CIARTIC Move」を日本でいち早く導入。さらに手術支援ロボットアーム「Cirq」も早期に導入した。これらの先進医療機器を活用することで、より精密で安全性の高い脊椎手術が実現し、「整形外科のトップランナーとして走り続けられる体制が整った」と副院長の鈴木勝医師は話す。
「CIARTIC Move」は手術中に患者の脊椎や関節の位置などをリアルタイムで撮影でき、インプラントを的確な位置に挿入するための支援を行う。既存のモバイルCアームとは異なり、多方向に自走が可能であり、ボタン一つでCアームの位置を再現できるため、手術時間の短縮やスタッフの負担軽減に繋がっている。
 また、脊椎手術に限らず、骨盤骨折手術や血管外科手術に対応できるのもメリットだ。
 一方、「Cirq」はナビゲーションシステムを使って、脊椎や頚椎手術で使うスクリューを正確な位置に配置するサポートを行う。ナビゲーションで決められた位置にロボットアームが動き、ガイドを固定してくれるため、的確にスクリューを配置することができる。
 鈴木医師は手術支援ロボットを用いるメリットについてこう話す。「従来のように医師の経験に頼ることなく、精密かつ的確な位置に挿入でき、機械に任せられる部分は任せることで、医師の労力やストレスが減り、より慎重な判断が必要な工程に集中できます。ロボットというと難しい手術に使われる印象があるかもしれませんが、先進医療機器は、難易度の高い手術だけでなく、従来から行われてきた脊椎手術においても、治療の選択肢の一つになりえるものです。より安全で的確な治療につなげ、患者さんが安心して治療を受け、早期に元の生活へ戻れるように取り組んでいます」

身体への負担を抑えた低侵襲手術

 2025年10月から、椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患に悩む患者への新たな選択肢として「完全内視鏡下脊椎手術(FESS)」を導入した。
「FESS」は脊椎手術の中でも身体への負担が非常に少ない手技の一つだ。皮膚を8~10ミリ切開し、直径8ミリの内視鏡を背中から挿入し、神経を圧迫しているヘルニアを除去する(図参照)。
 尾﨑友則医師は「従来法だと周囲の筋肉などを剥がす必要がありましたが、『FESS』は筋肉や靭帯、骨をほぼ傷つけずに済むため、術後の痛みが軽く、回復が早い。感染リスクを抑えられるなどの特長があります」と話す。
 従来ならば7~10日ほど必要だった入院期間も3~4日に短縮。日常生活や仕事、スポーツなどへの早期復帰が期待されている。「『長期の休みがとりにくい』『手術の痛みが心配』などの理由で、手術に踏み切れない患者さんは多いです。『FESS』の導入により、これまでよりも小さな負担で改善を目指せる選択肢が増えました」(尾﨑医師)。今後、腰部脊柱管狭窄症への手術「aFESS」についても力を入れていく予定だ。
「背骨の手術は怖いという患者さんは少なくありませんが、神経はダメージを受けている期間が長いほど回復しにくくなり、早く受診すればするほど治療の選択肢が広がります。1~2ヶ月の保存療法でも改善しない、痛みが強く日常生活が困難、脚に力が入らない、排尿や排便障害が出たといった場合は、早めにご相談ください。患者さんの気持ちを尊重しながら一緒に考え、『早く楽になりたい』という思いに伴走していきます」(尾﨑医師)
 また、高齢化の進展に伴い、近年は高齢者の骨粗しょう症性椎体骨折も増加している。同院では、バルーンを膨らませた空間にセメントを注入する従来の経皮的椎体形成術「BKP」に加え、セメント注入前にステントを留置する「VBS」が新たな選択肢として行われている。

手術支援ロボットアーム「Cirq(サーク)」

手術支援ロボットアーム「Cirq(サーク)」

FESS(完全内視鏡下脊椎手術)のイメージ図

FESS(完全内視鏡下脊椎手術)のイメージ図

急性期から回復期まで、
シームレスなリハビリテーション

 同院は、急性期病棟306床のほか回復期リハビリテーション病棟200床を有し、230名のリハビリスタッフ(PT・OT・ST)が在籍(2026年1月現在)。患者一人ひとりに合わせたリハビリを提供し、早期の社会復帰へと繋げている。
 ロボット支援手術や低侵襲手術など、医療技術の進展によって治療の選択肢も広がっている。
「患者さんが何に困っているのかをよく聞き、お一人おひとりに最適な治療法を提案してまいります」と鈴木医師。
 これからも米盛病院は、地域の命と人生に向き合い続ける。

脊椎手術件数

HOSPITAL DATA
米盛病院

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米盛病院
〒890-0062 鹿児島市与次郎1丁目7番1号
TEL.099-230-0100
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