Research Press Release

Nature Medicine

2026年11月3日

世界の子宮頸がんの症例数は、2050年までに20.2%、死亡者数は39.3%増加しうることを示したモデル化研究の論文が、Nature Medicine に掲載される。この結果は、子宮頸がんの負担の地域格差が今後も続き、罹患率と死亡率はサハラ以南のアフリカで最も高くなることを示唆している。

子宮頸がんは、大部分が予防可能ながんであり、その排除戦略はヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)ワクチン接種、検診、子宮頸部疾患の治療を柱としている。しかし、これらの対策を利用できる状況は、国や地域によって大きく異なる。2023年の低所得国における子宮頸がんの年齢調整罹患率は、高所得国の4倍超、年齢調整死亡率は7倍超だった。

Natalie Pritchett、Lisa Forceら(ワシントン大学〔米国〕)は、「世界の疾病・傷害・リスク因子負荷研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study)」の推計値を用いて、204の国と地域における1990~2023年の子宮頸がんの症例数、死亡者数、健康損失を分析した。あわせて、2050年までの傾向をモデル化した。その結果、2023年の世界の新規症例数は88万7000件、死亡者数は36万9000人と推定された。2050年までに、年間症例数は2024年比20.2%増の108万件、年間死亡者数は39.3%増の52万2000人に達すると予測される。最も大きな増加が見込まれるのは、サハラ以南のアフリカで、症例数は88.7%、死亡者数は95.4%増加しうる。同地域の2050年の死亡者数は、推定20万6000人とされる。

著者らによると、現在の傾向が続いた場合、世界の疾病負荷(GBD:Global Burden of Diseases)が世界を7つに分けた地域区分(super-regions)のいずれも、2050年までに子宮頸がん排除の基準に達しないと予測される。この基準は、世界保健機関(WHO:World Health Organization)が定める「10万人あたり4例未満」である。著者らは、ワクチン接種、検診、治療へのアクセス拡大を求めている。ただし、特に低・中所得国ではデータの入手可能性や質が十分でなく、推計には限界がある。また、予測は現在の傾向にもとづいており、今後のHPVワクチン接種プログラムが子宮頸がんの罹患率や死亡率に及ぼしうる影響は考慮されていない。

ArticlePublished: 02 November 2026

GBD 2023 Cervical Cancer Collaborators. Global, regional and national burden of cervical cancer in 1990–2023 with forecasts to 2050: a Global Burden of Disease study. Nat Med (2026). https://doi.org/10.1038/s41591-026-04729-4
 

 

doi:10.1038/s41591-026-04729-4

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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