「保湿剤」の薬代が4分の1自己負担に? 対象になる人・ならない人の条件を医師が解説:厚労省が発表

「保湿剤」の薬代が4分の1自己負担に? 対象になる人・ならない人の条件を医師が解説:厚労省が発表

2026年8月6日、厚生労働省の検討会が、市販薬と成分がほぼ同じ処方薬(OTC類似薬)について、薬代の一部を保険の対象外とする方向性を示す中間取りまとめを公表しました。皮膚の乾燥やかゆみで保湿剤を処方されている人など、日頃から薬を使っている人にとって気になる内容です。この内容について高藤先生に伺いました。

高藤 円香

監修医師:
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

厚生労働省が発表した内容とは?

編集部

厚生労働省が発表した内容を教えてください。

高藤先生

厚生労働省は2026年8月6日、「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」において、市販薬と成分と投与経路が同じで、1日の最大量も変わらない77成分の処方薬について、薬代の4分の1を保険の対象外とし、患者さんに自己負担してもらう方向性を示す中間取りまとめを公表しました。「OTC類似薬」とは、薬局などで買える市販薬(要指導医薬品・一般用医薬品)と、成分・投与経路が同じで、1日の最大使用量も変わらない、医療機関で処方される薬のことです。将来にわたり医療保険制度を維持できるよう、現役世代の保険料負担の上昇を抑えつつ、処方薬をもらう人と市販薬を買う人との公平性を高めることを目的に、2026年6月に改正健康保険法が公布されており、今回の中間取りまとめはこれに基づくものです。
ただし、子どもやがん患者さん、難病患者さんなど配慮が必要な慢性疾患のある人、低所得の人、入院中の人、医師が長期使用を必要と判断した人などには、この追加負担を求めない配慮をする方針です。

薬(皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤)の保険上の扱いとは?

編集部

今回の「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会」で議論された、薬(皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤)の保険上の扱いについて教えてください。

高藤先生

今回の中間取りまとめでは、皮膚保湿剤・皮膚保護剤・角化症治療剤(肌の乾燥やかゆみ、角質の硬さを防ぐ薬)のうち、アトピー性皮膚炎に使うヘパリン類似物質(保湿効果のある成分)と尿素は、毎日通年使っても引き続き保険給付の対象とし、別途負担は求めない方針です。一方、他の疾患に使う成分は原則、自己負担の対象となります。これらの薬は皮膚の乾燥やかゆみなどを抑えるために繰り返し使われることから、使い続ける必要があるかどうかが患者さんの感覚に左右されやすいと指摘されており、診療ガイドラインで通年使用の有効性が明確なのはヘパリン類似物質と尿素のみであることが今回の判断の根拠となっています。ただし、通年使用している患者さんの中には重症の皮膚疾患の人も一定数おり、アトピー以外でも症状が改善せず全身療法(免疫抑制剤などの薬)も併用した治療歴がある場合は重症とみなし、2028年度末までの経過措置として毎日使用を指示する処方に限り対象外とします。

内容への受け止めは?

編集部

厚生労働省が発表した内容への受け止めを教えてください。

高藤先生

医療費を持続可能なものにしていくために、OTC医薬品(薬局などで医師の処方箋なしに購入できる一般用医薬品)で代替できるものについて、保険給付のあり方を見直していくという考え方自体は理解できます。ただ、皮膚科で使用する外用薬については、内服薬とは少し分けて考えてもらいたいと思います。
皮膚症状は一見すると「乾燥」や「かゆみ」に見えても、実際にはアトピー性皮膚炎や接触皮膚炎、薬疹(薬の副作用として起こる皮膚症状)など、さまざまな疾患が背景にあることがあります。市販薬を自己判断で使用することで、かえって刺激やかぶれを起こしたり、症状を長引かせたりするケースもあります。また、同じ保湿剤であっても、患者さんの皮膚の状態や使用する部位、年齢などによって適した剤形や使用方法は異なります。
そのため、「市販薬と成分が似ている」という理由だけで、処方薬を一律に同じように扱うのではなく、医療上必要性の高いものと、市販薬で十分代替できるものを丁寧に分けて考えることが重要です。
医療費を削減できるところは適切に見直しつつも、患者さんが安心して必要な治療を受けられることとのバランスを取ってもらいたいですね。特に皮膚科領域では、内服薬と外用薬では使用目的や治療上の位置づけが異なるため、それぞれの特性を踏まえた議論をしてもらいたいと思います。

編集部まとめ

今回の中間取りまとめでは、市販薬と成分が同じ処方薬(OTC類似薬)について、薬代の一部を自己負担とする方向性が示されました。皮膚保湿剤などは疾患の種類で扱いが異なるため、普段使っている薬がどちらに当たるか、次回の受診時に医師へ確認しておくと安心です。持病のある人などには配慮の仕組みもあります。

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