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2026年10月21日 AM09:00

若者との共同研究で重要と考えられる要因を抽出

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は9月17日、16歳時点では女子で抑うつ症状や希死念慮などのメンタル不調が男子より多いこと、そして14歳時点の孤独感とやせ願望が、この男女差を説明する可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同センター精神保健研究所行動医学研究部の成田瑞室長、キングス・カレッジ・ロンドンのGemma Knowles講師、東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長、東京大学大学院医学系研究科の笠井清登教授(同大国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構[WPI-IRCN]主任研究者)らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Nature Human Behaviour」にオンライン掲載されている。

思春期には、抑うつ、不安、自傷、希死念慮などの「内在化問題」が増えることがあり、とりわけ女子でその割合が高いことが多くの国で報告されている。一方で、なぜこの性差が生じるのか、どのような変え得る要因がその差に関わるのかは十分にわかっていなかった。また、若者自身の経験や視点は、これまでのメンタルヘルス研究で十分に反映されてこなかったという課題があった。

そこで研究グループでは、研究者だけで分析項目を決めるのではなく、若者とのワークショップや話し合いなど共同研究(co-production)を行い、女子でメンタル不調が多い理由として若者が重要と考える要因を抽出。その過程で「孤独感」「やせ願望」が候補となり、今回の分析対象とした。

女子では14歳時点の孤独感・やせ願望の多さが、メンタルヘルス不調の性差を説明

今回の研究では、東京都内の12歳、14歳、16歳を追跡した「東京ティーンコホート」に参加した3,171例(女子1,487例、男子1,684例) のデータを用いた。12歳時点の背景因子を考慮し、14歳時点の孤独感とやせ願望、16歳時点の抑うつ症状、希死念慮、自傷、情緒症状、不安との関係を解析した。解析にはparametric mediational g-formulaを用い、体格、身体活動、親・友人との関係、いじめ被害、インターネット利用、思春期発達、12歳時点の各メンタルヘルス指標など、多数の交絡因子を調整した。

16歳時点の抑うつ症状は女子15.9%、男子8.2%、希死念慮は女子29.8%、男子18.1%で、ほかの内在化問題も総じて女子で高い割合を示した。14歳時点では、孤独感は女子13.2%、男子6.0%、やせ願望は女子41.4%、男子11.1%で、やはり女子で高い割合を示した。媒介分析では、14歳時点の孤独感とやせ願望を介する経路が、16歳時点の抑うつ症状の性差の34.7%、現在の希死念慮の性差の46.3%、自傷の26.7%、情緒症状の23.5%、不安の7.7%に相当した。さらに19種類の感度分析を行い、全体として主解析とおおむね整合する結果が得られた。

若者自身の参加のもと対策を検討していくことが重要に

今回の研究により、思春期女子でメンタル不調が多い背景の一部に、孤独感や外見に関するプレッシャーが関わっている可能性が示唆された。若者との共同研究では、グループからの排除、安心して本音を話せる友人の少なさ、周囲に合わせ続ける負担、外見へのからかい、スマートフォンを通じた体型比較、女性はやせているべきだという社会的期待などが、当事者の視点から挙げられた。

「今後、学校・地域でのつながりを支える取り組みや、外見への有害なプレッシャーを減らす教育・メディア・政策上の対策を、若者自身の参加のもとで検討していくことが重要。一方、東京の都市部を中心としたコホートであることから、他地域・他集団での再検証も必要だ」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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