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2026年10月15日 AM09:30
浜松医科大学は9月14日、表情・声・視線からAIが双極症抑うつエピソードとうつ病を判別する新技術を開発したと発表した。この研究は、同大精神医学講座の山末英典教授、株式会社I’mbesideyouの神谷涉三CEO、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の加藤忠史教授らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Psychiatry and Clinical Neurosciences」にオンライン掲載されている。

双極症(双極性障害)は、抑うつエピソードと躁または軽躁エピソードを繰り返す精神疾患である。生涯有病率は約1%とされ、うつ病とは背景にある遺伝要因や発症メカニズムが異なると考えられており、治療方法も異なる。しかし、患者が抑うつエピソードにある時点では両者を区別することが難しく、双極症がうつ病と診断されることもあり、適切な診断までに平均8.7年を要していたという報告もある。これまで、両者では顔の表情や声の抑揚、話す速さ、睡眠の変化などに違いがある可能性が指摘されてきたが、これらの特徴の多くは医師の経験的な印象に基づいて評価されており、客観的・定量的な検証は十分ではなかった。
79%の正確度で判別、表情の時間的変動などが寄与
今回の研究では、2022年から2024年にかけて研究参加に同意した379例(双極症I型120例、双極症II型93例、うつ病122例など)のリモート面談動画と臨床情報を解析した。面談動画から得られた表情、発話、視線などの特徴量を定量化し、睡眠や併存する診断などの臨床情報と組み合わせてAIによる解析を行った。AIの性能を偏りなく評価するため、データを4つのグループに分けて交差検証を行う「4分割3回繰り返し交差検証」という手法を用いた。
その結果、現在抑うつエピソードにある研究参加者について、双極症抑うつエピソードとうつ病を79%の正確度(Accuracy)、75%のAUC(判別性能を示す指標)で判別することに成功した。AIが双極症抑うつエピソードの可能性が高いと判定する際に重要となった情報には、中立的な表情や視線の動きの時間的な変動が大きいこと、声のエネルギーが大きいこと、悲しみの表情の特徴が少ないことなどが含まれていた。さらに、同様の方法を用いて躁症状とうつ症状の程度を予測したところ、それぞれ二乗平均平方根誤差(RMSE)3.9および4.5で予測することができた。
プログラム医療機器として将来の医療現場での実用化へ
同研究により、精神科医が診察の中で経験的に捉えてきた患者の振る舞いの特徴の一部が、動画・音響解析とAIを用いることで客観的かつ定量的に捉えられる可能性が示された。これまでに報告された同種の解析と比較しても、複数の情報を統合したことで良好な判別性能が得られている。
現在、今回の研究成果を活用し、医師による診断や症状評価を客観的・定量的に支援する診断補助プログラム医療機器の開発を進めている。今後は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)への相談などを通じて医療機器として必要な開発を進め、将来的に医療現場で診断を補助するプログラム医療機器として実用化することを目指していく、と研究グループは述べている。 (QLifePro編集部)
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