ゲーム業界での転職は、職種や企業ごとに求められるスキルが大きく異なり、一般的な転職ノウハウが当てはまらない場面も少なくない。

弊誌では、ゲーム人材の紹介・派遣サービスを手がけるIMAGICA GEEQに、ゲーム業界の転職にまつわる疑問をさまざまぶつけている。回答者はエージェント部 部長 菅原 芳樹氏。本稿は連載の第10回となる。

今回は、2026年度上半期のゲーム業界における転職市場の動向について訊いてみた。

2026年度上半期の転職市場について

Q: 2026年度も多くの企業が半分を過ぎましたが現状のゲーム業界の転職市場はいかがでしたか?

前回公開した「2025年度の振り返り」において、2026年度の見通しについても言及しました。本稿では、上半期を終えた現在のゲーム転職市場の動向について解説します。

結論から申し上げますと、上半期の市場は概ね予測通りの推移となりました。

Q: 求人数や今年度の特色などについてはいかがでしたか?

ゲーム関連の求人数は、昨年と比較して微減となりました。

プラットフォーム別では、コンシューマーゲーム向け求人は横這い、ソーシャルゲーム向け求人は減少傾向にあります。

職種別にみると、プロデューサー、シナリオライター、イラストレーター、UI実装プログラマー、ローカライザーの求人が減少しました。一方で、AI関連職、UIデザイナー、プランナー、背景デザイナー、エフェクトデザイナーは増加しています。

増加した職種については、プラットフォームのスペック向上に伴う開発難度の上昇による人員不足や、そもそも専門性が高く供給が少ないポジションであることが主な要因です。

特筆すべきはプランナー職です。プロジェクト数自体は増えていますが、採用要件は極めて高くなりました。セクションリーダー経験やUnreal Engineでの実装経験など、テクニカルな知見を持つ企画職が強く求められています。

また、2026年度から急増したのが「AI関連職」へのニーズです。全業界でAI活用が急速に拡大する中、ゲーム業界でも開発人数とコストの高騰を受け、各工程の効率化を目的とした環境整備が加速しています。今後はエンジニアのみならず、あらゆる職種において「AI技術を業務にどう活用してきたか」「AI技術をいかに学び、研究してきたか」が面接での必須質問になるでしょう。

派遣市場については、全体として求人数は増加傾向です。コンシューマーゲーム向けは好調ですが、開発ジャンルやテイストとの「親和性」が厳しく問われる買い手市場となっています。

Q: その中で転職実績としてはどのような職種が多かったでしょうか。特色などもあれば教えてください。

2026年度上半期の採用トレンドは、求人数とも連動しており、各種プログラマー職と背景デザイナー職が最多です。次いでエフェクトデザイナー、その他3Dデザイナー職(キャラクター、モーション等)が続きます。

開発に伴う物量が必要な職種への需要が顕著です。プログラマーについては、ゲームロジックの実装に加え、環境構築に対する需要が高まっています。テクニカルアーティスト(TA)、ビルドエンジニア、QAエンジニア、インフラエンジニア、サーバーエンジニアなど、「かつてのゲーム職種」の枠を超えた領域の採用が増えています。

これらの領域はゲーム業界において比較的新しい職種であり、かつAI親和性も高いため、異業界からの参入チャンスが広がっています。「エンジニアとしてのキャリアをゲーム業界で築きたい」という志を持つ方には、絶好のタイミングといえます。数年後には競合が増えるため、関心のある方は早期のチャレンジをお勧めします。

Q: 年齢層に変化はありましたか?

当社における各年齢層の採用決定内訳は以下となっております:
・20代:11%
・30代前半:41%
・30代後半:26%
・40代:18%
・50代:4%

30代が合算で67%を占め、もっとも市場価値が高い層となっています。以前は20代が採用の中心でしたが、現在はリーダー層やマネジメント層の需要が極めて高く、採用年齢は上昇傾向です。

SNSでもときどき議論を呼んでいる40代以降の採用については、マネジメント層の不足が需要を押し上げています。また、リーマンショック(2008年)頃のコンシューマーゲーム不況による新卒採用抑制の影響もあり40才前後の中間管理職が少ない現状もあるため採用トレンドが上記の数値になっていると考えます。

一方で、定年までの就業期間を考慮した面接ハードルの高さも依然として存在します。面接では「企業の期待値の把握」と「自身の経験の深掘り」が不可欠です。直近の実績はもちろん、過去の経験を現代のプロジェクトでどう活用できるか、説得力のある言語化が求められます。

40代以降の方へのアドバイスとして、私個人の観点でお話しさせていただきますが、マルチプラットフォーム展開に伴うメモリ管理や実装の最適化といった技術的課題において、過去の開発経験から40代以降の方が企業から評価され採用に至っているケースがあります。

また、昨今のゲーム開発は開発期間が長期化する傾向にあり、何らかの理由でプロジェクト自体が凍結・中止となるケースも珍しくありません。そのような環境下では、プロジェクトの立ち上げからリリースまでを完遂したという一貫した経験や、困難な状況を切り抜ける突破力・完遂力も評価されているケースがあります。

面接に臨む際は、直近の業務実績を深掘りするだけでなく、過去の知見を現代のプロジェクトへどのように応用できるかや、同年代以外とのスキルや経験の差別化を具体的なアウトプットとして言語化しておくことを強く推奨します。

Q: 年齢層の高まりやリーダー層・マネジメント層の転職は退職まで時間がかかるケースがあると思いますが、転職期間についてはいかがでしょうか?

紹介日から就業開始までの期間は、2025年度平均の99日から、2026年度上半期は106日へ、内定承諾から就業開始までも、55日から66日へ延びています。

この長期化の要因は、ご質問にあるリーダー層やマネジメント層の転職が増えたことにあります。業務の引き継ぎ期間やプロジェクトの節目、後任選定の難易度が影響しています。

一方で、採用企業側は内定承諾後1~2カ月程度での入社を求めている場合が多いのですが、求職者側の希望する就業開始時期とのミスマッチで不採用になるケースも散見されます。また、採用条件として就業開始時期に合意していたにもかかわらず、その後に入社が遅延した結果、最悪の場合は「内定取り消し」に至るケースもあります。

企業における採用選考では、ひとつの求人枠に対して複数の候補者が並立することが一般的です。そのため、スキルや実績のほか、早期に就業開始できるかどうかも選考要素のひとつであり、最終的な採用の決め手になるケースもあります。転職活動においては、就業開始時期の明確化はもちろんのこと、現職との引き継ぎや退職交渉を計画的に進め、確実なスケジュールを提示できるように準備しておくことを強くお勧めします。

内定承諾から就業開始までは、現職との退職調整など不確定要素が多く、個人での交渉は容易ではありません。こうしたデリケートなスケジュール調整を円滑に進められる点は、転職エージェントを活用する大きなメリットの一つですので、不安がありましたらいつでもご相談ください。

まとめ

今後もリーダー層、マネジメント層の需要は高く、30代~40代の採用が中心となるでしょう。AI技術による業務効率化が進むことで求められる職種やスキルセットも企業の状況に応じて流動的に変化します。

プロジェクトの進捗次第で求人は刻々と入れ替わります。今は求人がなくとも、新たな求人が生まれる可能性は十分にあります。時期や需要を見極め、チャンスを逃さないよう、能動的な情報収集を心がけてください。

第10回は以上となる。就職活動に役立てば幸いだ。なお、以下IMAGICA GEEQからの告知を掲載する:

「IMAGICA GEEQ AGENT(イマジカ ジーク エージェント)」の今後のイベント情報です。6月に開催したエンジニア版に続き、「経験者版 ゲームクリエイターズドラフト2026(3DCGデザイナー)」を11月9日から開催します。
・経験者版 ゲームクリエイターズドラフト2026(3DCGデザイナー)

毎月開催の「関西採用!ゲームクリエイターキャリア相談会」は日時を限定して募集しておりますので、気軽にお申込み下さい。
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また、AUTOMATONと連携をし、ゲーム転職・採用関連ニュースの公開を予定しておりますのでご期待ください。

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