写真:アスキー(アスキー)
縦置き配置は設置面積が劇的に減るので、机を広々使える。エアフローやケーブルまわりの処理もよく考えられており、前編ではそのあたりを詳細に解説した。というわけで、今回は気になる性能面をチェックしていこう。
試用機は標準構成から大きく変わっており、とくに性能への影響が大きいCPUは「Core Ultra 7 270K Plus」、GPUは「GeForce RTX 5080」という、ハイエンド構成となっていた。小型PCは冷却性能不足に陥りがちだが、はたして本機はどうだろうか。
G-Master Velox Mini 2 B860i
標準構成の主なスペック
試用機の主なスペック
CPU
インテル「Core Ultra 5 225F」
(10コア/10スレッド、最大4.9GHz)
インテル「Core Ultra 7 270K Plus」
(24コア/24スレッド、最大5.5GHz)
CPU
クーラー
DeepCool「AK400(CTT 2.0 ver.)」(空冷、120mmファン、サイドフロー)
Asetek「624S-M2」(簡易水冷、240mmラジエーター)+Noctua「NF-F12 PWM」(120mmファン)×2<サイコムオリジナル水冷仕様>
マザー
ボード
ASUS「PRIME B860M-A WIFI-CSM」(インテルB860、Micro-ATX)
メモリー
16GB(16GB×1)、DDR5-5600
<メジャーチップ・JEDEC準拠品>
32GB(16GB×2)、DDR5-5600
<メジャーチップ・JEDEC準拠品>
ストレージ
Crucial「P310 CT1000P310SSD」(1TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
Crucial「T500 CT2000T500SSD8」(2TB M.2 SSD、PCIe 4.0)
ビデオ
カード
Manli「Nebula GeForce RTX 5060 8GB GDDR7」
Manli「Nebula GeForce RTX 5080 16GB GDDR7」
電源
ユニット
CWT「CSN650M-G」
(650W、SFX、80 PLUS GOLD)
SilverStone「SST-EX1000R-PM」(1000W、SFX、Cybenetics PLATINUM)
PCケース
Lian Li「B4-mATX Mesh White」(Micro-ATX)
Lian Li「B4-mATX Mesh Black」(Micro-ATX)
PCケースファン
Cooler Master 「Silencio FP 120 PWM」(120mm、背面)
通信機能
2.5GbE(有線LAN)、Wi-Fi 6E(無線LAN)、Bluetooth 5.3
サイズ
横置き時:191(W)×420(D)×288(H)mm
OS
Microsoft「Windows 11 Home」
直販価格
29万7920円
66万8370円
水冷クーラーでもPL2時の動作音は大きめでも、性能は期待通り!
まずはCGレンダリング速度からCPU性能を測る「CINEBENCH 2026」を試してみよう。このベンチマークソフトは全コア/スレッドを使用するMultiple Threadsと、1つだけ使用するSingle Threadの2つのテストがある。前者はCPUの最大性能、後者はコア/スレッドあたりの性能を計測できる。
結果は「pts」という単位で表示され、この数値が高ければ高いほど高性能なCPUとなる。なお、Multiple ThreadsテストはCPUのすべてのコアに高負荷をかけられるとあって、ストレステストとしても優秀だ。
結果は、Multiple Threadsが9111pts、Single Threadが590pts。本機と同じくCore Ultra 7 270K Plusを搭載したPCの過去データ(Multiple Threadsが9034pts、Single Threadが570pts)と比べると、しっかり性能を発揮しているように思える。
この過去データのPCは冷却が間に合っておらず、短時間とはいえサーマルスロットリングが発生し、動作クロックが低くなる瞬間があったからだろう。対して、G-Master Velox Mini 2 B860iは小型モデルながらも冷却は間に合っており、期待通りの性能が出せたということだ。
実際、CPUの状態をモニタリングツール「HWiNFO64 Pro」を使って確認してみたが、サーマルスロットリングは発生していなかった。また、CPUの温度も最大92度、平均75度と安定しており、熱による性能低下は起こっていないようだ。
ちなみに、メモリー速度がDDR5-7200なら、Core Ultra 7 270K PlusのスコアーはMultiple Threadsテストで1万ptsを超えることもある。CINEBENCH 2026は比較的メモリー速度の影響が大きく、今回の試用機のようにDDR5-5600搭載モデルだと、どうしてもスコアーが下がってしまうのだ。
メモリー不足は以前よりはマシになってきているとはいえ、今でも高速なメモリーを安定して入手することは難しい。ゲーム用途であれば、そこまでメモリー速度による性能差が出ないこともあり、G-Master Velox Mini 2 B860iではDDR5-5600を採用しているのだろう。
なお、今回のテストはすべて横置きで行っている。縦置きでもCINEBENCH 2026を動かしてみたが、Multiple Threadsテストのスコアーは9097ptsと横置き時とほぼ同じで、気にするほどの性能差は確認できなかったからだ。
では、動作音はどうだろうか? とくに今回のようにハイエンド構成の場合、高負荷時の発熱はすさまじく、これを十全に冷却するにはファンが高回転になりがちだ。そこで、PCの正面約30cmの距離から騒音値を測ってみた。電源オフ時の暗騒音32.8dBに対し、アイドル時は35.2dBと比較的静かで、低負荷時も動作音が気になることはなかった。
一方で、CINEBENCH 2026のMultiple Threadsテスト時の騒音値は、最大ターボパワー(PL2=250W)動作時で50.3dBとかなり大きい。ただし、負荷がある程度続いた後はベースパワー(PL1=159W)動作になると、40.3dBとかなり落ち着いていた。
動作音はそれなりにあるものの、小型モデルとしては健闘しているといえるだろう。標準構成ならそこまで気にしなくてもよいと思うが、ハイエンド構成なら吸排気を行なう場所はふさがないように注意したい。
小型ゲーミングPCでも3DMarkで平均値
続いて、ゲームで重要な3Dグラフィックス性能を見るため、「3DMark」を試していこう。このベンチマークソフトには数多くのテストが用意されているが、なかでも重ためなテストが「Speed Way」。DirectX 12 Ultimateに対応するもので、リアルタイムのグローバルイルミネーションやレイトレーシングが使用されており、最近のゲームパフォーマンスを見るのに適したテストだ。
G-Master Velox Mini 2 B860iのスコアーは9135で、同構成の別PCの平均とほぼ同じ。小型モデルとはいえ、しっかりGeForce RTX 5080の性能を引き出せているといえる。また、Monitoringのグラフを見ても激しい変動がなく、安定して動作していることが確認できた。
ほかのテストも試してみたので下記にまとめた。自分のPCとの性能比較などで参考にしてほしい。
FF14は4K・最高画質で遊べる性能
より実際のゲームに近いテストとして、「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下、FF14ベンチマーク)を試してみよう。これは人気のMMORPG、FF14の実際のデータを使用したベンチマークソフト。結果はスコアーとして表示され、8000以上なら「快適」、1万5000以上なら「非常に快適」といったように評価も教えてくれるものとなる。
MMORPGは平均で30fps以上もあれば十分遊べるジャンルのゲームである。しかしながら、画面が動いたり、行動するたびにガクガクする画面では興覚めだ。気持ちよくプレイしたければ平均60fps以上、できれば最低フレームレートが60fps以上が望ましい。評価でいうと、「普通」や「やや快適」ではイマイチ。「とても快適」以上を狙いたい。
FF14は今でもアップデートが続いているとはいえ、古くからあるゲーム。そのため、今では軽量クラスのゲームとなっている。今回の試用機のようなハイエンド構成であれば、解像度を「4K」(3840×2160ドット)、画質をプリセットの最大となる「最高品質」にしても余裕がありそうだ。
結果は16898スコアーで、評価は「非常に快適」。文句なしに4Kの最高画質でストレスなく遊べる性能だ。ちなみに、レポート出力機能でフレームレートをチェックしてみると、平均フレームレートが約116.8fpsで、最低フレームレートが75fpsとこちらもばっちりだった。
Forza Horizon 6は4Kのレイトレーシング設定でもOK
美麗な背景と臨場感あるレースが楽しめるとあって、人気の高いレーシングゲーム「Forza Horizon 6」も試してみよう。そこまで高スペックでなくとも遊べるタイトルだが、せっかくならなるべく高画質でドライブしたいもの。そのため、解像度は4Kとし、常時60fps以上を維持できる設定を探ってみた。
まず試した画質設定はプリセットの「エクストリーム」。DLSSによる「Super Resolution」(超解像技術)は「クオリティ」設定で、ベンチマークモードを動かした。
結果は1% Lowでも100fpsを超えており、かなり余裕があるものとなった。DLSSの超解像技術(アップスケーリング)を使っているとはいえ、このフレームレートの高さはハイエンド構成だからこそのものだろう。
この結果に気をよくして、DLSSの超解像技術をオフにし、DLAA、つまりアンチエイリアスだけにDLSSを使う設定でも試してみた。
超解像技術を使わなくても、1% LOWは83.8fpsと高く、ストレスなく遊べることが確認できた。これならさらに重たいレイトレーシング設定でも快適にプレイできそうだ。
ということで、画質のプリセットを「Extreme+RT」に変更してリトライしてみることに。なお、超解像技術は使用し、Super Resolutionの設定は「クオリティ」としている。
1% LOWは64.3fpsとギリギリではあるものの、G-Master Velox Mini 2 B860iのハイエンド構成は快適指標の60fpsをクリアー。アップスケーリングしているとはいえ、レイトレーシングを使用する最高画質設定でも4Kで快適に遊べることは驚異だろう。
ちなみに、この設定でも超解像技術ではなくDLAAを使った設定で試してみたが、結果は惨敗。平均でも44fpsと低く、カクツキが気になるシーンが出てしまった。4Kでレイトレーシングをオンにするなら、超解像技術は必須だ。
鬼武者 Way of the Swordベンチマークでもフレーム生成なしで4Kプレイ
最後に、「鬼武者 Way of the Sword」も試してみよう。こちらは剣戟アクションゲームで、2026年9月4日に発売されたばかりのタイトル。シリーズとしては20年ぶりとなる新作で、和風ダークファンタジー作品となる。そのベンチマークソフトが公開されているので、これを利用して性能を試してみた。
動作環境は「最低(必須)」や「推奨」だけでなく、さらに高画質な設定向けも公開されている。4Kで60fps動作に必要な環境は「ウルトラ」として公開されており、CPUは「Intel Core i5-12400」「AMD Ryzen 7 5700」、GPUは「GeForce RTX 4070ti (12GB)」「Radeon RX 7900 XT (20GB)」となっていた。
雑にまとめれば、CPUはミドルクラス以上、GPUは1世代前のアッパーミドル以上、といった感じだろうか。今回の試用機は、余裕でこれらのスペックを超えているため、ベンチマークも解像度は4Kで試してみた。ということで、画質をプリセットの「ウルトラ」とした場合の結果がこれだ。
結果は平均で114.19fps、1% LOWで87.93fpsと、フレーム生成なしで文句なしに快適にプレイできる性能だ。というわけで、さらに重たくするために、この設定のままレイトレーシングを「高」にして試してみた。
平均で99.39fps、1% Lowでも77.72fpsとまだまだ快適なライン。となると、超解像技術を使わない場合はどうなるのかも試してみたくなる。そこで、プリセットの「ウルトラ」を基本に、「アップスケーリングモード」を「NVIDIA DLAA」(すなわち、アップスケーリングしない設定)に変更。レイトレーシングは「オフ」のまま試してみた。
結果は、平均こそ76.85fpsだが、1% Lowは58.59fpsと60fpsを切ってしまった。バトルシーンではフレームレートが落ちやすいため、もしかすると表示がわずかに引っかかる可能性がある。
とはいえ、ほぼ60fpsに到達しているだけに、よほど注意して見ていない限り気になることはないだろう。超解像技術を使わない4K表示にこだわっている人でも、満足できそうだ。
まとめ:置き場に悩まなくていい高性能なゲーミングPCが欲しい人に
G-Master Velox Mini 2 B860iは、場所を取らない小型モデルは欲しいものの、性能面で不安があるという人にとって魅力的なモデルだ。横置きだけでなく縦置きも可能ということで設置自由度が高く、今回紹介したハイエンド構成にもできる小型ゲーミングPCはレアだ。
ただし、ハイエンド構成にすると高負荷時の動作音はそれなりに大きくなる。手近な場所に置きやすい小型モデルだけに、実際の騒音値以上にうるさく感じてしまうこともあるだろう。音が気になるようれであれば、机の端に置いてなるべく耳から遠ざけたいところ。
また、机の横に小さなメタルラックを置き、そこに設置してもいい。スペースが狭くても設置できるため、ミドルタワーのゲーミングPCでは無理めな場所でも運用できることだろう。もちろん、標準構成のようなミドルクラスのスペックなら、動作音は小さくなる。自分が納得できる構成にカスタマイズしてほしい。
WACOCA: People, Life, Style.