リビング向けのゲーミングデスクトップPCとして登場した「Steam Machine」を購入し、メーカーの思惑通り、リビングに設置した大画面TVでゲームをプレイしていた筆者。しかし、「これだけ快適にゲームを楽しめるのなら、Windowsマシンとして普段の業務にも使えるのではないか」と思うようになってきた。
そうなると、もう誰にも止められない。せっかくSteamプラットフォームに最適化されたハードウェアでもったいなくはあるが、Windows OSを入れてみることにした。
●Windows OSをインストールしたくなった理由
Valveは「Steam Deck」も、Steam Machineもゲームコンソールではなく「ゲーミングPCである」と主張している。OSの書き換えが可能で、Steamプラットフォームで配信していないソフトウェアもインストールできるからだ。
書き換えられるのであれば、やってみたくなるのがガジェット好きの好奇心というもの。MacBookにWindowsをインストールするのと同じである。残念ながら、現時点でSteam MachineはOSのデュアルブートに対応していないので、併用できないのは残念だが。
また、よく知られているところであるが、LinuxベースのOSがアンチチートツールに対応していないことが多く、Steamプラットフォームで配信されているにもかかわらず、Steam OSでは遊べないゲームもある。
その代表格として「Apex Legends」などが挙げられる(RTX Sparkには対応表明をしているが)。筆者はそのタイトルをプレイしているわけではないのだが、万が一のことを考えると、ネイティブなWindows環境を用意しておくのがベストのように思える。
最後の理由は、ライター仕事に十分満足のいく“高性能ミニPC”に化けるのではないかと期待しているからだ。描画性能が高いので、原稿に差し込むための写真や短い動画の編集をスピーディーに行えるかもしれない。こうした理由から、Windows化したいと考えるようになった。
●Windows 11をSteam Machineにインストール
Steam MachineやSteam DeckをWindows化する手順は、各種メディアやブログで取り上げられている。PC USERでも以前にSteam DeckにWindows 11をインストールしたという検証記事を掲載した。
とはいえ、こちらはSteam Machineである。多少異なる点があるかもしれないので、上の情報を参考にしつつ、慎重にWindows OSをインストールすることにした。
●いざ、インストール!
まず、用意したのは8GB以上のUSBフラッシュメモリ2本だ。1本はWindows OSインストールのためのイメージファイルを書き込むため、もう1本はドライバやSteam MachineのOSを戻すためのファイルを保存しておくものだ。
Windows OSは、90日間(延長も可)利用できる評価用の「Windows 11 Enterprise」を利用した。
Steam Machine用のWindowsドライバはValveが提供している「Steam Machine用Windows ドライバ」をダウンロードして保存しておく。
もちろん、Windows OSをインストールし終わってからでもドライバをインストールできる。また、Windowsのシステムアップデートを実行することで、自動的に各種ドライバがインストールされることもある。
とはいえ、Wi-Fiドライバをインストールしておかないと、LANケーブルでの物理的な接続が必要になるので、Steam Machineの設置場所がWi-Fiルーターから離れている、もしくは余分なLANケーブルがないという場合は、Wi-Fiドライバだけでもダウンロードしておきたい。
●16GBもあるのにメモリ不足?
インストールするためのイメージファイル(ISO)をUSBフラッシュメモリにダウンロードしていたところ、「保存容量が不足しています」というエラーが何度も表示された。8GB以上あれば問題ないと聞いていたので、16GBのUSBフラッシュメモリを用意していたのになぜだ……。
ISOファイルの前に、Steam Machine用のWindowsドライバをダウンロードしていたので、それが原因かもしれないと思い、別の16GB容量のUSBフラッシュメモリを用意したが、それでも保存容量が不足しているという。
削除できない管理領域(またはシステムファイル)があるとしても、、全体容量が16GBもあるのだ。7.8GB程度のISOファイルを保存できないはずがない。
「待てよ、7.8GB……?」──そう、FAT32では、4GBを超えるファイルをコピーや保存できないことに気付かなかった。そのため、「Rufus」をあらかじめダウンロードしておく必要があったのに、その部分を読み飛ばしてしまっていた。
せっかくなので、Rufusを使わず、Windows純正の手順で7.8GBもあるWindows 11のISOファイルをFAT32でフォーマットしたUSBフラッシュメモリに保存する方法を紹介したい。
目的のISOファイルを任意の場所にダウンロードして保存しておき、マウントしておこう。
マウントしたイメージファイル(ドライブの1つとして表示されている)を右クリックして開き、中身を表示したら、全て選択してからUSBフラッシュメモリへコピーする。
当然、4GB以上のサイズのファイルである「install.wim」はコピーされない。
そこで、コマンドプロンプトを管理者権限で開き、次のコマンドを入力する。
Dism /Split-Image /ImageFile:”D:\sources\install.wim” /SWMFile:”E:\sources\install.swm” /FileSize:3800
これにより、「install.wim」が3800MB以下のサイズに分割された上で保存される。少々時間がかかるので、別の作業をしながら気長に待とう。
●Steam Machineをブートメニューから起動させる
参考にした弊誌記事はSteam DeckのWindows化を解説している。こちらの場合はボリューム調整ボタンの「−」を押したまま電源ボタンを押せば良いが、Steam Machineではどうすれば良いのか。
これは検索したところすぐに情報を得られた。というより、最初からそこを確認すればよかったのだが「Steamサポート」で簡単に見つけることができた。
物理キーボードを接続し、電源ボタンを押してから起動中に「Esc」キーを数回押せばUEFI(BIOS)に入れる。なお、起動用ドライブが挿入されていない、もしくは起動用ドライブをFAT32以外でフォーマットしてしまったという場合は、いくら「Esc」キーを連打してもBIOSに入れないので注意したい。
●通常のWindows PCと同じ使い心地
Windows 11や各種ドライバをインストールしたら、もうそれは元からWindows PCだったかのような挙動を見せる。そのため、使い勝手について違いを見つけようと考えていたのに、すっかり当てが外れてしまった。
ベンチマークテスト「3DMark」を実行するために、今ではWindows PCとなってしまったSteam MachineにSteamアプリをインストールする段階では、「Steam Machineなのに、わざわざSteamをインストールしている自分……」と、ちくはぐさを滑稽にすら感じた。
さて、3DMarkでは「Steel Nomad」「Time Spy」「Fire Strike Extreme」の3種類のベンチマークテストを行った。
Steel Nomadでは総合スコアが1958であった。これは、Windows化する前に計測したスコアの2024より低いが、そもそもOSが異なるので参考程度に見てほしい。
「Fire Strike Extreme」でもWindows化する前は1万3385.8であったのに対し1万1347.3で2000ほどスコアが下がっていた。
「Time Spy」では9141という結果になった。
次に、実務に耐えられるかを検証すべく、Windowsに標準搭載されている動画編集ソフト「Clipchamp」で動画編集を行った。
17秒と5分10秒の動画を合体させ、さらに適宜テキストの挿入なども行った5分27秒の動画をフルHD画質でエクスポートしてクラウドへアップロードしたところ、1分53秒78となった。
筆者が普段使いしているポータブルゲーミングPCでは、動画の尺とほぼ同じ時間がかかっているので、これはうれしい。記事に差し込む動画は、ほとんどが1分程度のものなので、これなら業務でも十分使えるだろう。
また、Wi-Fiによるデータ通信速度も申し分ないものであった。Googleのスピードテストで4回テストしたところ、ダウンロードは1027.8Mbps、アップロードでは1245.5Mbpsとどちらもギガビット超えの結果となり、素材のダウンロードや納品のためのアップロードをスピーディーに行えそうだと感じた。
Steam Machineは、18万9980円からという価格設定になっている。ゲームコンソールとして見れば確かに高額だが、比較的性能の高いデスクトップPCと考えれば、それほど悪くない選択肢ではなかろうか。
コンパクトで置き場所を取らず、インテリアにもなじむ。何より、持っていて楽しいデバイスである。デュアルブートできるようになる日を夢見ながら、Steam OSにいそいそと戻すのであった。

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